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ジョージアという魔術師
40.双子の誕生
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「おそらく時間がかかると思う。…双子だから、その分の時間も。」
「魔力は安定してた?」
「ああ、さっき見た時は大丈夫だった。
だけど初産だし、心配はしてる。」
「…。」
「大丈夫だよ、マリーは優秀だし、
最初から双子ってわかっているから、対処できるよ。」
何度も何度も同じような会話をする。大丈夫、マリーなら大丈夫。
半分そう言って願をかけているような気分だった。
レオンハルト殿の顔色はずっと悪いままで、倒れるんじゃないかと思って少し心配だった。
自分の子どもが生まれる、妻が出産しているというのは、それほどまでに心配な出来事なのだろう。
俺だって、レイフィアのことも子どもたちのことも心配だけど、比べてはいけないのかもしれない。
あぁ、レイフィアのことを一番に心配するのは、もう俺じゃないんだな。
明け方近くになって、泣き声が聞こえた。
小さな泣き声が少し時間を置いて二つ重なって響いた。
生まれた。二人目まで。
「生まれた?」
「ああ、二人とも生まれたようだな。
って、ちょっと待て。まだそっちに行っちゃだめだって。」
「ええ!?」
「まだ終わってないから、落ち着いたら呼ばれるから待って。」
マリーから注意されていたことを思い出し、レオンハルト殿を必死で止める。ノックもせずに入っていきそうな勢いだった。ちゃんと注意を聞いていて良かった。
マリーに怒られるだけならまだしも、命の危険があるって言ってた。
だから、今はまだレイフィアは戦っている最中だということだ。もちろん、それと向き合うマリーも。
ちゃんと呼ばれるまで、待たなければいけない。
それから半刻ほど過ぎただろうか。
「入ってきていいですよ。」
ようやくマリーから許可が出ると、レオンハルト殿はすぐさま部屋に飛び込んでいった。
その後を追って部屋に入ると、寝台の上にレイフィアが横になり、子どもを抱いているのが見えた。
「マリー、レイフィアは無事だよな?」
「ええ、無事よ。まだ安静にしていてもらわなきゃ困るけど、
子どもたちも二人とも元気に生まれたわ。」
「良かった…ありがとう、マリー。」
無事だった。レイフィアも、子どもたちも。
双子の出産はただでさえ危険で、妊娠に気が付いても素直に喜んであげられなかった。
ずっと俺もレオンハルト殿もレイフィアの身体が心配で、無事に生まれるまで安心できなかった。
身体の力が抜けて、ふらっとしたらマリーに腕をつかまれた。
「大丈夫?」
「あぁ、大丈夫…。」
「泣き過ぎよ、伯父様。」
そう言われてみると、俺の視界がぼやけているのがわかった。
泣いてる…気が付いていなかった。そうか、うれしくても泣けるものなんだな。
「お兄様もこっちに来て、赤ちゃんの顔見てください。」
「…ああ!」
思ったよりも元気そうなレイフィアに呼ばれ、赤ちゃんを抱っこさせてもらった。
レオンハルト殿が男の子を、俺が女の子の方を。
「名前は決まったのか?」
「ああ。俺が抱いている男の子はジョルジュ。
ジョージア殿が抱いてる女の子はミリーリア。」
「ジョルジュとミリーリアか。よろしくな。」
どちらも小さく、すやすやと眠る顔はレイフィアに似ている気がした。
髪の色はどっちも銀色で、レオンハルト殿と同じ色だった。
「小さいなぁ。でも、力強い魔力を感じるよ。
将来、魔術師になりたかったら、俺が教えてやるよ。」
「お兄様、気が早いです。」
「わかってるよ。いいんだよ、こういうのは言いたいときに言うもんなんだ。」
「じゃあ、魔術師になりたがったらお兄様に。
医術士になりたいって言ったらマリー様に願いしようかな。」
「…俺は言ってみただけで、公爵家の者が目指すのは難しいだろうけどな。」
「いや、なりたいって言うなら、俺は止めないよ?
もし、なりたいって言ったらジョージア殿が面倒見てやってくれないか?」
「あぁ、それで良いなら、俺は構わないよ。
これからどんな風に育つのか楽しみだな。」
「さぁ、そろそろレイフィア様は休まないと。
今日はもう安静にして寝てなきゃダメですよ。
赤ちゃんたちも寝てるので、寝かせてください。
というか、お二人も寝ていないのでしょう?」
「レオンハルト様、お兄様、お二人もちゃんと休んでくださいね。」
「わかったよ。何かあれば呼んで。」
「マリーはどうするの?」
「今日はレイフィア様が体調の変化がないか心配なのでそばにいます。
急変する可能性もあるので。」
「そうか、わかった。レイフィアを頼んだよ。」
「魔力は安定してた?」
「ああ、さっき見た時は大丈夫だった。
だけど初産だし、心配はしてる。」
「…。」
「大丈夫だよ、マリーは優秀だし、
最初から双子ってわかっているから、対処できるよ。」
何度も何度も同じような会話をする。大丈夫、マリーなら大丈夫。
半分そう言って願をかけているような気分だった。
レオンハルト殿の顔色はずっと悪いままで、倒れるんじゃないかと思って少し心配だった。
自分の子どもが生まれる、妻が出産しているというのは、それほどまでに心配な出来事なのだろう。
俺だって、レイフィアのことも子どもたちのことも心配だけど、比べてはいけないのかもしれない。
あぁ、レイフィアのことを一番に心配するのは、もう俺じゃないんだな。
明け方近くになって、泣き声が聞こえた。
小さな泣き声が少し時間を置いて二つ重なって響いた。
生まれた。二人目まで。
「生まれた?」
「ああ、二人とも生まれたようだな。
って、ちょっと待て。まだそっちに行っちゃだめだって。」
「ええ!?」
「まだ終わってないから、落ち着いたら呼ばれるから待って。」
マリーから注意されていたことを思い出し、レオンハルト殿を必死で止める。ノックもせずに入っていきそうな勢いだった。ちゃんと注意を聞いていて良かった。
マリーに怒られるだけならまだしも、命の危険があるって言ってた。
だから、今はまだレイフィアは戦っている最中だということだ。もちろん、それと向き合うマリーも。
ちゃんと呼ばれるまで、待たなければいけない。
それから半刻ほど過ぎただろうか。
「入ってきていいですよ。」
ようやくマリーから許可が出ると、レオンハルト殿はすぐさま部屋に飛び込んでいった。
その後を追って部屋に入ると、寝台の上にレイフィアが横になり、子どもを抱いているのが見えた。
「マリー、レイフィアは無事だよな?」
「ええ、無事よ。まだ安静にしていてもらわなきゃ困るけど、
子どもたちも二人とも元気に生まれたわ。」
「良かった…ありがとう、マリー。」
無事だった。レイフィアも、子どもたちも。
双子の出産はただでさえ危険で、妊娠に気が付いても素直に喜んであげられなかった。
ずっと俺もレオンハルト殿もレイフィアの身体が心配で、無事に生まれるまで安心できなかった。
身体の力が抜けて、ふらっとしたらマリーに腕をつかまれた。
「大丈夫?」
「あぁ、大丈夫…。」
「泣き過ぎよ、伯父様。」
そう言われてみると、俺の視界がぼやけているのがわかった。
泣いてる…気が付いていなかった。そうか、うれしくても泣けるものなんだな。
「お兄様もこっちに来て、赤ちゃんの顔見てください。」
「…ああ!」
思ったよりも元気そうなレイフィアに呼ばれ、赤ちゃんを抱っこさせてもらった。
レオンハルト殿が男の子を、俺が女の子の方を。
「名前は決まったのか?」
「ああ。俺が抱いている男の子はジョルジュ。
ジョージア殿が抱いてる女の子はミリーリア。」
「ジョルジュとミリーリアか。よろしくな。」
どちらも小さく、すやすやと眠る顔はレイフィアに似ている気がした。
髪の色はどっちも銀色で、レオンハルト殿と同じ色だった。
「小さいなぁ。でも、力強い魔力を感じるよ。
将来、魔術師になりたかったら、俺が教えてやるよ。」
「お兄様、気が早いです。」
「わかってるよ。いいんだよ、こういうのは言いたいときに言うもんなんだ。」
「じゃあ、魔術師になりたがったらお兄様に。
医術士になりたいって言ったらマリー様に願いしようかな。」
「…俺は言ってみただけで、公爵家の者が目指すのは難しいだろうけどな。」
「いや、なりたいって言うなら、俺は止めないよ?
もし、なりたいって言ったらジョージア殿が面倒見てやってくれないか?」
「あぁ、それで良いなら、俺は構わないよ。
これからどんな風に育つのか楽しみだな。」
「さぁ、そろそろレイフィア様は休まないと。
今日はもう安静にして寝てなきゃダメですよ。
赤ちゃんたちも寝てるので、寝かせてください。
というか、お二人も寝ていないのでしょう?」
「レオンハルト様、お兄様、お二人もちゃんと休んでくださいね。」
「わかったよ。何かあれば呼んで。」
「マリーはどうするの?」
「今日はレイフィア様が体調の変化がないか心配なのでそばにいます。
急変する可能性もあるので。」
「そうか、わかった。レイフィアを頼んだよ。」
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