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6章 つながる世界
9.容赦はしない
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「リオル!どうして!?
あなたと結婚するのは私でしょう?どうしてミーシャなのよ!
違うって、はっきり言って!」
食堂中に響き渡る声でエリザが叫んだ。
思わず魔術をぶつけたくなるのを咄嗟にジーンが止めてくれた。
落ち着けと自分に言い聞かせながら答えるが、思った以上に低い声が出てしまう。
「どうして俺がお前なんかと結婚しなきゃいけないんだ!
俺はミーシャと結婚するって、もう何年も前から約束してるんだよ!
いいかげん、つきまとうのはやめてくれ。お前なんか大嫌いなんだよ!」
「うわぁ…容赦ねぇ。」
「言いすぎだよ、リオル…。」
「言い過ぎで構わない。これでミーシャに誤解されたらどうするんだ。
いいか、ここで聞いていたらお前ら。
もしこれで誤解するような噂をばらまいたら、容赦しないぞ。
俺が好きなのはミーシャ、ただ一人だ。
浮気したこともないし、する予定もない!
陛下にも認められて、ミーシャが15歳になったら結婚するって、
もう何年も前から決まってるんだよ!
わかったら、そこのお前ら。エリザを連れて帰れ!次来たら許さない。」
ハラハラと涙を流して、今にも倒れそうになっているエリザを見て舌打ちしそうになる。
こいつの本性を知っている俺は騙されないが、他の者は違うだろう。
だが、はっきりと否定しておかなければ揉め事に繋がるのは間違いない。
「何度でも言う。俺が好きなのはミーシャだけだ。他はあり得ない。
わかったら、そいつを連れてどこか消えろ!」
もう一度令息たちの顔を見渡して言うと、青ざめた顔で令息たちはエリザを連れて行った。
令息たちの顔はわかった。あとで宰相に連絡しておこう。
エリザ側につくようなら容赦しない。
「リオル…うれしいけど、少し落ち着こうか?」
「ミーシャ…悪い。」
「うんうん、わかってるからいいよ。ほら、ご飯食べて落ち着こう?」
いつの間にか隣に来ていたミーシャに肩をたたかれて我に返った。
おとなしくうなずいてご飯を食べ始めると周りからほっとした雰囲気が伝わってくる。
「…ミーシャ様天使。
リオル様があんなに怒るなんて見たことなかったけど、
ミーシャ様がいれば大丈夫なのね。」
「本当に。お似合いすぎて、悔しいとか思う気持ちにもならないわ。
あの令息たちも馬鹿なことしたわね。」
「ええ、お二人の仲は公表されてはいませんでしたけど、見ていたらわかりますわ。
本当にお似合いですもの。間に入ろうとするなんて…信じられません。」
どこかの席に座っている令嬢たちが小声で話しているのが聞こえる。
俺に聞こえないように小声で話しているのだろうが、話声って、小声にした方が聞こえることもあるんだよな…。
まぁ、文句じゃないようだし、ミーシャとの仲を祝ってくれているようだからいいんだけど。
「はー。また宰相に報告することが増えそうだな。
これで落ち着くとは思えん。」
「まったくだ。」
あなたと結婚するのは私でしょう?どうしてミーシャなのよ!
違うって、はっきり言って!」
食堂中に響き渡る声でエリザが叫んだ。
思わず魔術をぶつけたくなるのを咄嗟にジーンが止めてくれた。
落ち着けと自分に言い聞かせながら答えるが、思った以上に低い声が出てしまう。
「どうして俺がお前なんかと結婚しなきゃいけないんだ!
俺はミーシャと結婚するって、もう何年も前から約束してるんだよ!
いいかげん、つきまとうのはやめてくれ。お前なんか大嫌いなんだよ!」
「うわぁ…容赦ねぇ。」
「言いすぎだよ、リオル…。」
「言い過ぎで構わない。これでミーシャに誤解されたらどうするんだ。
いいか、ここで聞いていたらお前ら。
もしこれで誤解するような噂をばらまいたら、容赦しないぞ。
俺が好きなのはミーシャ、ただ一人だ。
浮気したこともないし、する予定もない!
陛下にも認められて、ミーシャが15歳になったら結婚するって、
もう何年も前から決まってるんだよ!
わかったら、そこのお前ら。エリザを連れて帰れ!次来たら許さない。」
ハラハラと涙を流して、今にも倒れそうになっているエリザを見て舌打ちしそうになる。
こいつの本性を知っている俺は騙されないが、他の者は違うだろう。
だが、はっきりと否定しておかなければ揉め事に繋がるのは間違いない。
「何度でも言う。俺が好きなのはミーシャだけだ。他はあり得ない。
わかったら、そいつを連れてどこか消えろ!」
もう一度令息たちの顔を見渡して言うと、青ざめた顔で令息たちはエリザを連れて行った。
令息たちの顔はわかった。あとで宰相に連絡しておこう。
エリザ側につくようなら容赦しない。
「リオル…うれしいけど、少し落ち着こうか?」
「ミーシャ…悪い。」
「うんうん、わかってるからいいよ。ほら、ご飯食べて落ち着こう?」
いつの間にか隣に来ていたミーシャに肩をたたかれて我に返った。
おとなしくうなずいてご飯を食べ始めると周りからほっとした雰囲気が伝わってくる。
「…ミーシャ様天使。
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俺に聞こえないように小声で話しているのだろうが、話声って、小声にした方が聞こえることもあるんだよな…。
まぁ、文句じゃないようだし、ミーシャとの仲を祝ってくれているようだからいいんだけど。
「はー。また宰相に報告することが増えそうだな。
これで落ち着くとは思えん。」
「まったくだ。」
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