王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)

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6章 つながる世界

16.助ける

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目を開けると寝かされていて、自分の部屋にいるようだった。
寝台の横にミーシャが座っているのを見て、何が起きたのか思い出した。
そうか。また俺はあいつの言動に我慢しきれずに暴走してしまったのか…。


「また暴走したのか…俺。
 すまない。ミーシャに助けてもらってばかりだな…。」

声をかけると、きゅっと手を強く握られた。
いつから手をつないでいてくれたんだろう。
視線を合わせると、泣いていたのかミーシャの目は赤かった。
起き上がってミーシャを抱き寄せるとサラサラの銀髪が指にからんでくる。
少し乱してしまった髪を指でとかしながら撫でると、俺の胸に頬をすり寄せてくれた。



「リオルが暴走する時は私が止めるって約束したでしょう。
 我慢しなくていいわ。
 あれは怒るのも無理ないから…。」

そう言われて思い出すと、また腹が立ってくる。
どうして一度もまともに会話していないのに、運命の相手だなんて言えるんだ。
最初から拒否されているのに、どうして自分を愛してくれていると思い込めるんだ。


「あれは…人の形をした化け物だな。
 少しも話が通じない。
 入学当初からずっとあんな感じだった。
 ここ最近特にひどいけど、入学当初はミーシャがいないから…
 ジーンとブランが盾になって逃がしてくれていたんだ。

 ホント…一言も好意を示したことがないのに、
 どうしてあんな誤解ができるのか理解できない。」

「…もしかして、同じように操られているのかしら。
 この間の嫌がらせの令嬢たちのように…。
 エリザが操っているのかと思ったけど、
 もしエリザ自身が操られているのだとしたら?」

「魔道具か…。
 父上に聞いてみるか。
 それで、あの後はどうなったんだ?」

暴走して思いっきり魔力を解き放った記憶がある…
あんなのをぶつけられたら、怪我くらいはしているよな。


「レイモンドに後をお願いしたから、わからないわ。
 エリザと令息たちは王宮に連れて行かれて調べられていると思うけど。
 あれだけ不敬な発言を公の場でしてしまったのだから。
 一人ずつ幽閉部屋に入れられてるんじゃないかしら。
 レオ義父様ならわかるんじゃない?
 幽閉部屋に入れたなら申請が来ているはずでしょう?」

「あぁ、それもそうか。」

「あ、リリー義母様が心配してた。
 異常を察知して公爵家から飛んできたらしいわ。
 動いて大丈夫ならリビングに行きましょう?」

「ああ。わかった。」
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