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7章 新たな未来へ
11.魔力と生命力
思ったよりもあっさりとエリザは見つかった。
馬車置き場に一台、隅の方に置かれていた馬車。
ドアを開けると、中にはくずれ落ちるように倒れているエリザがいた。
仰向けになっていて、髪が乱れたままになっている。
いくつかの魔術具が床に転がっているのが見えた。
この中に王女の身体を乗っ取って操っていた魔術具があるはずだ。
「ひぃっ…リオル、これって…どういうこと?」
俺の後ろから中が見えたミーシャが、悲鳴をあげそうになって口元を押さえた。
こわごわとエリザをのぞき込んで、俺に問いかける。
「以前、母上から聞いたことがある。
魔力と生命力はつながっているって。
魔力を使いすぎると、生命力を魔力に変換して使ってしまうんだ。
それが使い切ってしまうと、一気に身体が老化してしまう。」
「今のエリザもそうだっていうの?」
「おそらくね。ロードンナの強力な魔術具だ。
普通に使うだけでも術者の負担は大きかったはずだ。
その上で父上の魔術具で魔力を吸い取られている。
こうなったとしても不思議じゃない…。」
意識はなさそうだが、目は見開いたままのエリザ。
その顔や首、手は干からびたようになっていて、生きているのかもわからない。
父上が人を殺すような魔術具を作るとは思えなかったけど、
あの恨みならそれもわからない。
「…生きているみたい。」
ミーシャが魔力でエリザの身体を探ったようだ。
まだ生きていると言われて、どちらとも言えない感情になる。
生きていてほしいのか死んでいてほしいのか、わからなかった。
「エリザもシーナに頼むしかないな…。
もう少し落ちついてから頼むか。」
「そうね…下手に動かしたらまずいわ。」
ミーシャはエリザが生きていてほしいのか。
そう思ったけどそれについては何も言う気はなかった。
「こんな風に急に現れるとは思ってなかった。
エリザはいったい何がしたかったんだ?」
「…多分、噂を聞いたんだわ。」
「噂ってなに?」
「リオルがロザリー王女を側妃に迎え入れることになったって。」
「はぁ?俺、王女とは一度も会ってないよ!?」
「わかってるわ。
だけど、そんな噂が流れていたのよ。
さすがに私に聞いてくる人はいなかったけど、
レイモンドは何度か聞かれたらしいわ。」
「え…というか、側妃ってなんだよ。
俺、王族ではあるけど、ただの公爵令息なんだけど。」
「そういう誤解されやすいのよ。
レオルド義父さまも同じ誤解されたことがあるらしいから。」
「…うわぁ。なんでだよ。
俺、ミーシャ以外と結婚する気ないからな!」
「大丈夫。わかっているわ。
まぁ、その噂のせいでエリザが出てきたのなら…いいのかしら?」
「少しは妬いてよ…。まぁ、ミーシャが誤解しないのならいいけど。」
「ふふ。こんなことでは妬かないわ。」
いつも通りの笑顔のミーシャに安心はするけど、
今はのんびり話している場合じゃなかったことを思い出す。
「そうだ…父上のほうはどうなったんだ。」
父上に助けが必要だとは思っていない。
それでもどうなったのかが気になった。
「学園内にいるとは思う。探そう。」
エリザが倒れている馬車に結界を張って、誰にも入れないようにだけしておく。
また誰かに連れて行かれて行方不明になっても困る。
学園内で戦うのにちょうど良さそうな場所を一つずつ探していくと、
父上は中庭の奥で見つかった。
馬車置き場に一台、隅の方に置かれていた馬車。
ドアを開けると、中にはくずれ落ちるように倒れているエリザがいた。
仰向けになっていて、髪が乱れたままになっている。
いくつかの魔術具が床に転がっているのが見えた。
この中に王女の身体を乗っ取って操っていた魔術具があるはずだ。
「ひぃっ…リオル、これって…どういうこと?」
俺の後ろから中が見えたミーシャが、悲鳴をあげそうになって口元を押さえた。
こわごわとエリザをのぞき込んで、俺に問いかける。
「以前、母上から聞いたことがある。
魔力と生命力はつながっているって。
魔力を使いすぎると、生命力を魔力に変換して使ってしまうんだ。
それが使い切ってしまうと、一気に身体が老化してしまう。」
「今のエリザもそうだっていうの?」
「おそらくね。ロードンナの強力な魔術具だ。
普通に使うだけでも術者の負担は大きかったはずだ。
その上で父上の魔術具で魔力を吸い取られている。
こうなったとしても不思議じゃない…。」
意識はなさそうだが、目は見開いたままのエリザ。
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父上が人を殺すような魔術具を作るとは思えなかったけど、
あの恨みならそれもわからない。
「…生きているみたい。」
ミーシャが魔力でエリザの身体を探ったようだ。
まだ生きていると言われて、どちらとも言えない感情になる。
生きていてほしいのか死んでいてほしいのか、わからなかった。
「エリザもシーナに頼むしかないな…。
もう少し落ちついてから頼むか。」
「そうね…下手に動かしたらまずいわ。」
ミーシャはエリザが生きていてほしいのか。
そう思ったけどそれについては何も言う気はなかった。
「こんな風に急に現れるとは思ってなかった。
エリザはいったい何がしたかったんだ?」
「…多分、噂を聞いたんだわ。」
「噂ってなに?」
「リオルがロザリー王女を側妃に迎え入れることになったって。」
「はぁ?俺、王女とは一度も会ってないよ!?」
「わかってるわ。
だけど、そんな噂が流れていたのよ。
さすがに私に聞いてくる人はいなかったけど、
レイモンドは何度か聞かれたらしいわ。」
「え…というか、側妃ってなんだよ。
俺、王族ではあるけど、ただの公爵令息なんだけど。」
「そういう誤解されやすいのよ。
レオルド義父さまも同じ誤解されたことがあるらしいから。」
「…うわぁ。なんでだよ。
俺、ミーシャ以外と結婚する気ないからな!」
「大丈夫。わかっているわ。
まぁ、その噂のせいでエリザが出てきたのなら…いいのかしら?」
「少しは妬いてよ…。まぁ、ミーシャが誤解しないのならいいけど。」
「ふふ。こんなことでは妬かないわ。」
いつも通りの笑顔のミーシャに安心はするけど、
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「そうだ…父上のほうはどうなったんだ。」
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それでもどうなったのかが気になった。
「学園内にいるとは思う。探そう。」
エリザが倒れている馬車に結界を張って、誰にも入れないようにだけしておく。
また誰かに連れて行かれて行方不明になっても困る。
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父上は中庭の奥で見つかった。
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