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聖女としての働き
21.魔力計
「それはイチカのだな?魔力計を登録していたのか。」
「魔力計?砂時計じゃないの?」
砂時計だと私たちが思っていたものを、カインさんは魔力計だという。
それも一花のを登録ってどういうことなんだろう。
「これはハイドンが命じてイチカの魔力を登録したものだ。
魔力計というのは登録した者の魔力の状態を見るものなんだが、
これに登録しておくことで居場所も特定できる。
あまりにもダニエルがイチカを無断で連れ出すものだから、
王宮から抜け出したら衛兵に連れ戻させるために登録していたようなんだ。」
「それじゃあ、一花の居場所がわかるの?」
居場所がわかるのなら助けに行くこともできるんじゃないかと思って、
期待して聞いてみたが、そう簡単に済む話では無かった。
「イチカが今いるのは、ユハエル国だ。
六か国の中でも北部に位置する国で、向こうの世界で言うと秋と冬しかない国だ。
鉱山があることでそれなりに力はあるが、万年食料不足に陥っている。
その国の大使から聖女が二人いるなら一人を派遣してほしいと要請があった。
もちろん断ったのだが、おそらくその大使がずっと隙を窺っていたのだろう。」
「聖女と間違われて一花が連れて行かれたってことだよね?
違うってわかったら帰してもらえるの?」
「…聖女の力がどういうものか、聖女がどうやって瘴気を消すのか、
神官宮にいるもの以外は知らない。
神剣のことはわかっていても、それがどうやって作られるのかは知られていない。
イチカが聖女なのかどうか判別はできないだろう。」
「そんな…じゃあ、ずっと聖女だと思われてたら、帰してもらえない?」
「そうなるだろうね。
まぁ、救いなのは聖女は清らかなものというのは伝わっている。
そういう意味での安全は守られると思うよ。
少なくとも瘴気の危険が無くなったとわかるまでは大丈夫なはずだ。」
「そっか……それならそれほど危険はないのかな。
聖女が必要だと思っているなら大事にしてくれるよね?」
「イチカは安全だとは思う。
まずいのはユハエル国の方だろうな…。」
「え?」
「魔力計を見てくれ。
あ、念のためにさわらないようにして見て。
二人は他の者の魔力にはあまりふれないほうがいい。」
そう言われて、私と美里は魔力計にはふれないようにして見る。
テーブルに置かれた魔力計を見ると、上のガラス管には赤い砂が半分ほどあるのに、
真ん中の細い管を通って下に行くと、砂は溜まらずに消えていく。
「ん?砂が下に溜まらないのはなんで?」
「これはイチカの魔力の動きを表しているんだ。
上の砂がイチカの今体内にある魔力。
下に砂が流れて落ちているのは魔力を使っているということ。」
「下に溜まらないのは力を使っちゃっているから消えるってこと?」
「そう。それで、この魔力なんだけど。
イチカにはもともとの魔力は無いはずなんだ。
だけどイチカは寄生者だから、人の魔力を吸って自分の魔力にすることができる。
上のガラス管にこれだけ砂があるというのは、
間違いなく周りにいる人間から魔力を吸っている。
それと、魔術が使えないイチカの砂が落ち続けているってことは……
ずっと魅了の力を使い続けているってことだ。」
周りから魔力を吸って、魅了し続けている。
ダニエル王子や若い隊員さんたちが一花に同情して優しくしていた状態が、
ユハエル国でも起きているということだろうか。
「それって、まずいよね?」
「魔力計?砂時計じゃないの?」
砂時計だと私たちが思っていたものを、カインさんは魔力計だという。
それも一花のを登録ってどういうことなんだろう。
「これはハイドンが命じてイチカの魔力を登録したものだ。
魔力計というのは登録した者の魔力の状態を見るものなんだが、
これに登録しておくことで居場所も特定できる。
あまりにもダニエルがイチカを無断で連れ出すものだから、
王宮から抜け出したら衛兵に連れ戻させるために登録していたようなんだ。」
「それじゃあ、一花の居場所がわかるの?」
居場所がわかるのなら助けに行くこともできるんじゃないかと思って、
期待して聞いてみたが、そう簡単に済む話では無かった。
「イチカが今いるのは、ユハエル国だ。
六か国の中でも北部に位置する国で、向こうの世界で言うと秋と冬しかない国だ。
鉱山があることでそれなりに力はあるが、万年食料不足に陥っている。
その国の大使から聖女が二人いるなら一人を派遣してほしいと要請があった。
もちろん断ったのだが、おそらくその大使がずっと隙を窺っていたのだろう。」
「聖女と間違われて一花が連れて行かれたってことだよね?
違うってわかったら帰してもらえるの?」
「…聖女の力がどういうものか、聖女がどうやって瘴気を消すのか、
神官宮にいるもの以外は知らない。
神剣のことはわかっていても、それがどうやって作られるのかは知られていない。
イチカが聖女なのかどうか判別はできないだろう。」
「そんな…じゃあ、ずっと聖女だと思われてたら、帰してもらえない?」
「そうなるだろうね。
まぁ、救いなのは聖女は清らかなものというのは伝わっている。
そういう意味での安全は守られると思うよ。
少なくとも瘴気の危険が無くなったとわかるまでは大丈夫なはずだ。」
「そっか……それならそれほど危険はないのかな。
聖女が必要だと思っているなら大事にしてくれるよね?」
「イチカは安全だとは思う。
まずいのはユハエル国の方だろうな…。」
「え?」
「魔力計を見てくれ。
あ、念のためにさわらないようにして見て。
二人は他の者の魔力にはあまりふれないほうがいい。」
そう言われて、私と美里は魔力計にはふれないようにして見る。
テーブルに置かれた魔力計を見ると、上のガラス管には赤い砂が半分ほどあるのに、
真ん中の細い管を通って下に行くと、砂は溜まらずに消えていく。
「ん?砂が下に溜まらないのはなんで?」
「これはイチカの魔力の動きを表しているんだ。
上の砂がイチカの今体内にある魔力。
下に砂が流れて落ちているのは魔力を使っているということ。」
「下に溜まらないのは力を使っちゃっているから消えるってこと?」
「そう。それで、この魔力なんだけど。
イチカにはもともとの魔力は無いはずなんだ。
だけどイチカは寄生者だから、人の魔力を吸って自分の魔力にすることができる。
上のガラス管にこれだけ砂があるというのは、
間違いなく周りにいる人間から魔力を吸っている。
それと、魔術が使えないイチカの砂が落ち続けているってことは……
ずっと魅了の力を使い続けているってことだ。」
周りから魔力を吸って、魅了し続けている。
ダニエル王子や若い隊員さんたちが一花に同情して優しくしていた状態が、
ユハエル国でも起きているということだろうか。
「それって、まずいよね?」
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