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聖女としての働き
22.これも自業自得?
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周りから魔力を吸って、魅了し続けている。
ダニエル王子や若い隊員さんたちが一花に同情して優しくしていた状態が、
ユハエル国でも起きるということだろうか。
「それって、まずいよね?」
「まずいだろうな。
貴族にかかわらせずにイチカを隔離していればいいが、
あの国はちょっと変わっているからな。
瘴気の心配が無くなればイチカを後宮にいれたいとか思っていそうだ。
王族に会うようなことがあれば、あの国は混乱に陥る。」
「後宮…?」
「あの国は長子相続じゃなく、末子相続なんだ。
だから、なるべく自分の時代が続くように国王は後宮に妃を多く入れて、
たくさんの子どもを産ませるんだ。
一番下の王子が成人したら代替わりらしいから、そうなる前に次の子を産ませる。
今の国王は60歳過ぎなんだが、前の聖女アイ様が後宮に誘われたらしい。
聖女としての役目を終えたら妃になってほしいと。
当時は国王になったばかりだったようだけど、前国王からも誘いが来たらしい。
さすがに断ったって聞いているけれど…あの国は聖女への執着がある気がする。」
「えぇぇ。」
60歳過ぎの国王の後宮に入れられるとか…恐怖でしかない。
美里を見ると、美里も気持ち悪いのか腕をさすっていた。
うん。私も鳥肌が立ちそう。
「瘴気が消えたら後宮に入れられちゃうかもしれないのか~さすがに気の毒かも。」
美里でさえも一花が気の毒になったらしい。
私もそれはできれば何とかしてあげたいと思ってしまう。
でも、キリルがダニエル王子に話していた限りでは何もできないんだろうなぁ。
「助けるのは無理なんだよね?」
念のためにもう一度キリルに聞いてみる。
神官宮も軍も動かせないとは聞いたけど、確認はしたくなる。
「そんなに心配しなくてもいいと思うよ。」
「なんで?」
あまりにもあっさりとキリルに言われるものだから、
さすがにちょっとひどいんじゃないかと思ってしまう。
「いや、本気でひどい目にあいそうだったり、殺されそうになったとしたら、
さすがに向こうの世界に帰るだろう。」
「あ。」
そうだった。聞いたばかりなのに忘れていた。
一花が本気で帰りたいと願えば、向こうの世界に戻れるんだった。
「どういうこと?」
その話を知らない美里が首を傾げた。
それを見て、カインさんが美里へと丁寧に説明をする。
説明が終わる頃には美里も納得して、安心した顔になる。
美里から見て一花は友達どころか知り合いでもなかったけど、
やはり同世代の女の子がひどい目に遭うのは嫌だよね。
「一花が向こうに戻ったらわかる?」
「この砂が突然消える。」
「そっか……じゃあ、消えるのを期待するしかないか。」
この魔力計は部屋の窓際に置かれ、その日から毎日チェックされることになる。
日に日に上のガラス管の赤い砂の量が増えていく。
それはユハエル国の自業自得かもしれないけれど、
何も起こらないことを願うしかなかった。
「ねぇ、カイン。あの魔力計があるのに、
なんでダニエル王子は居場所を探してなんて言ったの?」
「おそらくハイドンはあえてダニエルには教えなかったんだろうね。
イチカをさらわれるきっかけを作っただけならまだしも、
それで軍を動かせだの神官宮に動いてだの言い出したら、
もう間違いなく王族から外される。
これ以上ダニエルに馬鹿なことをされる前に早く王族から外したいんだろう。」
「なるほどね~。ハイドン王子ってまだ成人前なのに賢いね。
もしかして腹黒王子?」
「まぁ、そうかも。」
ダニエル王子や若い隊員さんたちが一花に同情して優しくしていた状態が、
ユハエル国でも起きるということだろうか。
「それって、まずいよね?」
「まずいだろうな。
貴族にかかわらせずにイチカを隔離していればいいが、
あの国はちょっと変わっているからな。
瘴気の心配が無くなればイチカを後宮にいれたいとか思っていそうだ。
王族に会うようなことがあれば、あの国は混乱に陥る。」
「後宮…?」
「あの国は長子相続じゃなく、末子相続なんだ。
だから、なるべく自分の時代が続くように国王は後宮に妃を多く入れて、
たくさんの子どもを産ませるんだ。
一番下の王子が成人したら代替わりらしいから、そうなる前に次の子を産ませる。
今の国王は60歳過ぎなんだが、前の聖女アイ様が後宮に誘われたらしい。
聖女としての役目を終えたら妃になってほしいと。
当時は国王になったばかりだったようだけど、前国王からも誘いが来たらしい。
さすがに断ったって聞いているけれど…あの国は聖女への執着がある気がする。」
「えぇぇ。」
60歳過ぎの国王の後宮に入れられるとか…恐怖でしかない。
美里を見ると、美里も気持ち悪いのか腕をさすっていた。
うん。私も鳥肌が立ちそう。
「瘴気が消えたら後宮に入れられちゃうかもしれないのか~さすがに気の毒かも。」
美里でさえも一花が気の毒になったらしい。
私もそれはできれば何とかしてあげたいと思ってしまう。
でも、キリルがダニエル王子に話していた限りでは何もできないんだろうなぁ。
「助けるのは無理なんだよね?」
念のためにもう一度キリルに聞いてみる。
神官宮も軍も動かせないとは聞いたけど、確認はしたくなる。
「そんなに心配しなくてもいいと思うよ。」
「なんで?」
あまりにもあっさりとキリルに言われるものだから、
さすがにちょっとひどいんじゃないかと思ってしまう。
「いや、本気でひどい目にあいそうだったり、殺されそうになったとしたら、
さすがに向こうの世界に帰るだろう。」
「あ。」
そうだった。聞いたばかりなのに忘れていた。
一花が本気で帰りたいと願えば、向こうの世界に戻れるんだった。
「どういうこと?」
その話を知らない美里が首を傾げた。
それを見て、カインさんが美里へと丁寧に説明をする。
説明が終わる頃には美里も納得して、安心した顔になる。
美里から見て一花は友達どころか知り合いでもなかったけど、
やはり同世代の女の子がひどい目に遭うのは嫌だよね。
「一花が向こうに戻ったらわかる?」
「この砂が突然消える。」
「そっか……じゃあ、消えるのを期待するしかないか。」
この魔力計は部屋の窓際に置かれ、その日から毎日チェックされることになる。
日に日に上のガラス管の赤い砂の量が増えていく。
それはユハエル国の自業自得かもしれないけれど、
何も起こらないことを願うしかなかった。
「ねぇ、カイン。あの魔力計があるのに、
なんでダニエル王子は居場所を探してなんて言ったの?」
「おそらくハイドンはあえてダニエルには教えなかったんだろうね。
イチカをさらわれるきっかけを作っただけならまだしも、
それで軍を動かせだの神官宮に動いてだの言い出したら、
もう間違いなく王族から外される。
これ以上ダニエルに馬鹿なことをされる前に早く王族から外したいんだろう。」
「なるほどね~。ハイドン王子ってまだ成人前なのに賢いね。
もしかして腹黒王子?」
「まぁ、そうかも。」
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