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聖女の旅立ち
10.二つの拠点
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夕食が終わってから時間が過ぎ、就寝してもおかしくない頃に子爵領地へと入った。
辺りは真っ暗で何も見えない。
静まり返っている気がするのは瘴気の影響もあるのかもしれない。
平民たちが生活している場所を通り抜けたのに、人の気配を感じなかった。
「これから森の中で滞在するのにちょうどいい平地を見つけたら降りる。
そこでテントを張って、隊員たちからの報告を待つことになる。
この暗さだと隊員たちも朝になってから出ると思う。
早ければ明日の午前中から瘴気の場所へ行くことになる。」
「わかった。じゃあ、この鈴を持って降りればいいのかな。」
「他の荷物はテントへ運ぶの?」
「いや、荷物はこのままでいいよ。鈴だけは二人が持っていて。
それで、今回の子爵領地の森は広いから二か所に拠点を作ることになる。
隊員の半分たちはこの後、もう一つの拠点を探しに行く。」
「二か所?じゃあ、美里たちとは別々になる?」
ここまで一緒だったのに離れるのかと思うと少し不安になる。
瘴気との初めての対決だし、一緒にいられるなら心強いと思っていたのに。
「えー別々なの?ずっと一緒なんだと思ってた。」
同じように美里も不満を口にする。
カインさんがいるとはいえ、少しでも人数が多いほうがいい。
私と美里が不満を口にしているのに、キリルとカインさんは相変わらず笑ってる。
…ん?また何かある?
「なぜ二台の馬車で来たのか言ってなかったね。
馬車は二か所にわけて置いておくんだけど、
ユウリとミサトは同じ拠点にいることになる。」
「そうなの?」
「うん、瘴気の発生場所がもう一つの拠点のほうが近かったら、
馬車とこの部屋を使って移動したらすぐ行けるだろう?」
「……あぁ、そういうこと!」
「すごい!だから二台で来たんだ!」
「今回は広い森の中を探さなきゃいけないからね。
そうじゃなかったら一か所の拠点にしたほうが安全だから、
通常は一台で移動することになると思う。」
この馬車付きの部屋は快適に過ごすためのものだけじゃなかったんだ。
まさかそんな風に役立つとは思っていなかった。
「ものすごく離れていても行けるの?」
「少なくとも子爵領地の端と端くらいなら余裕。
ここと王都くらい離れていると無理だろうけど。」
「どこまで離れていても大丈夫ってわけじゃないんだ。
それに隊員さんたちの移動もこの馬車を使うの?」
「隊員たちの馬車も二台で一組になっているから大丈夫。
隊員たちは自分たちの馬車を使って移動することになるよ。
隊員たちは六人で一つの班。本拠点の警護に二班。
瘴気の確認に本拠点から三班。
もう一つの拠点から三班が出る。
今回の遠征は全部で八班、四十八人の隊員が来ている。」
「了解です!」
なんだか班とか言われると軍隊とか遠征ぽくなる。
ちゃんとしなきゃという気分になって、背筋を伸ばして座り直した。
美里も同じように座り直し、緊張が高まっていく。
キリルの話が終わったところでリンゴーンとベルの音がした。何の音?
「あ、着いたみたいだよ。降りよう。」
キリルを先頭に四人で同じ馬車から下りる。
三日ぶりの地面と外気に少しだけ解放感がある。
「はぁぁ。真っ暗だね。」
「本当に森の中だね。建物は何も見えない。」
そこは何もない原っぱが広がっていた。
小さな運動場くらいの平地があり、その周りは木々に囲まれている。
道が奥まで続いているようだったけれど、暗くて何も見えなかった。
辺りは真っ暗で何も見えない。
静まり返っている気がするのは瘴気の影響もあるのかもしれない。
平民たちが生活している場所を通り抜けたのに、人の気配を感じなかった。
「これから森の中で滞在するのにちょうどいい平地を見つけたら降りる。
そこでテントを張って、隊員たちからの報告を待つことになる。
この暗さだと隊員たちも朝になってから出ると思う。
早ければ明日の午前中から瘴気の場所へ行くことになる。」
「わかった。じゃあ、この鈴を持って降りればいいのかな。」
「他の荷物はテントへ運ぶの?」
「いや、荷物はこのままでいいよ。鈴だけは二人が持っていて。
それで、今回の子爵領地の森は広いから二か所に拠点を作ることになる。
隊員の半分たちはこの後、もう一つの拠点を探しに行く。」
「二か所?じゃあ、美里たちとは別々になる?」
ここまで一緒だったのに離れるのかと思うと少し不安になる。
瘴気との初めての対決だし、一緒にいられるなら心強いと思っていたのに。
「えー別々なの?ずっと一緒なんだと思ってた。」
同じように美里も不満を口にする。
カインさんがいるとはいえ、少しでも人数が多いほうがいい。
私と美里が不満を口にしているのに、キリルとカインさんは相変わらず笑ってる。
…ん?また何かある?
「なぜ二台の馬車で来たのか言ってなかったね。
馬車は二か所にわけて置いておくんだけど、
ユウリとミサトは同じ拠点にいることになる。」
「そうなの?」
「うん、瘴気の発生場所がもう一つの拠点のほうが近かったら、
馬車とこの部屋を使って移動したらすぐ行けるだろう?」
「……あぁ、そういうこと!」
「すごい!だから二台で来たんだ!」
「今回は広い森の中を探さなきゃいけないからね。
そうじゃなかったら一か所の拠点にしたほうが安全だから、
通常は一台で移動することになると思う。」
この馬車付きの部屋は快適に過ごすためのものだけじゃなかったんだ。
まさかそんな風に役立つとは思っていなかった。
「ものすごく離れていても行けるの?」
「少なくとも子爵領地の端と端くらいなら余裕。
ここと王都くらい離れていると無理だろうけど。」
「どこまで離れていても大丈夫ってわけじゃないんだ。
それに隊員さんたちの移動もこの馬車を使うの?」
「隊員たちの馬車も二台で一組になっているから大丈夫。
隊員たちは自分たちの馬車を使って移動することになるよ。
隊員たちは六人で一つの班。本拠点の警護に二班。
瘴気の確認に本拠点から三班。
もう一つの拠点から三班が出る。
今回の遠征は全部で八班、四十八人の隊員が来ている。」
「了解です!」
なんだか班とか言われると軍隊とか遠征ぽくなる。
ちゃんとしなきゃという気分になって、背筋を伸ばして座り直した。
美里も同じように座り直し、緊張が高まっていく。
キリルの話が終わったところでリンゴーンとベルの音がした。何の音?
「あ、着いたみたいだよ。降りよう。」
キリルを先頭に四人で同じ馬車から下りる。
三日ぶりの地面と外気に少しだけ解放感がある。
「はぁぁ。真っ暗だね。」
「本当に森の中だね。建物は何も見えない。」
そこは何もない原っぱが広がっていた。
小さな運動場くらいの平地があり、その周りは木々に囲まれている。
道が奥まで続いているようだったけれど、暗くて何も見えなかった。
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