9 / 61
1章 可愛いは無敵
9、似た者同士?
しおりを挟む
「ありがとうございます。
それとさきほどのお話には驚きました。
もしかしたら、この子は王様に飼われていたのかもしれないのね」
お父様とマリーが去った後、貴公子に深く頭をさげると彼は顔を真っ赤にして吹きだしたのだ。
「プッ。このチビが王様の犬だって!
ない。ない。それは絶対にない」
片手で口元をおさえ、もう片方の手をせわしく左右にふる。
「でも、さっきあなたは……」
「すまない。
あれは嘘なんだ」
「どうして、あんな嘘をついたの?」
貴公子のくだけた態度にため口になってしまったけど、見たところ年も変わらないようだし、いいわよね。
「そんな事もわからないのか?
このチビを助けるために決まってるだろう」
貴公子は悪戯っぽい目をすると、私の耳元でささやいた。
「しっかりしてるようだけど、案外鈍感なんだな」
「まあ失礼ね、鈍感だなんて」
プウッと頬をふくらませる。
「妹はね。
可愛い顔をしてるけど、1度言い出したら何があろうときかない頑固者なの。
もしあなたの嘘がなかったら、今頃この子は狼の餌になっていたわ」
「あの妹が可愛いって?」
「そうよ。
現にこのパーティーに招待されている人達も、皆、マリーのトリコになってるわ」
「皆じゃない。
僕はああいうタイプは苦手だ」
「なんて言いながら、本心はどうかしら」
私は肩をすくめてクスリと笑った。
『マリーみたいなタイプは苦手』と言ってたくせに、結局はマリーを好きになってしまう。
そんな男の人をたくさん知っているから。
「僕は妹の話なんかより、もっと君の話が聞きたいな。
さっきチラッと耳にしたけど、本当に王太子と婚約してるのかい?」
「残念ながらそうなの」
と本音をポロリともらして、あわてて口に手をそえる。
「残念だなんて不敬だわよね。
お願い。
さっきの言葉は忘れてちょうだい」
「貴族の令嬢なら誰もが王太子妃の座を狙ってるはずだろ?
ひょとして他に好きな人でもいるのか?」
「いません!
私はただ……」
「ただ、何?」
貴公子はそう言うと、真剣な目をして私の顔をのぞきこんだ。
その瞳があまりに美しいから、私の心臓の鼓動が激しく高鳴る。
「自分らしく生きたいだけ。
王太子妃教育をうけて気がついたの。
王太子妃になると、いっぱい自分を殺さないといけない事に」
顔をほてらせて早口でまくしたてると、貴公子は沈黙したままだった。
そして、しばらくして。
「僕と全く同じ事を考えている女性がいたとは面白すぎる」
と破顔した。
「たしか名前はオリビアだったね。
どうやら僕たちは似た者同士のようだ。
1度ゆっくり話が」
と貴公子が言いかけた時だった。
シロがモゾモゾともがいて、私の腕の中をすり抜けていったのは。
「またパーティーをメチャクチャにしたら、こんどこそオワリだわ」
私は貴公子に背をむけて夢中でシロを追った。
そして、シロを捕まえて戻ってきた時は貴公子の姿は消えていたのだ。
あまりに残念すぎて、一筋の涙がツーと頬をつたった。
さっき会ったばかりなのに。
一体なぜ?
その答えはわからないけれど、私はそれからあの貴公子を「プラチナ王子」と呼んでまだ忘れられないでいる。
それとさきほどのお話には驚きました。
もしかしたら、この子は王様に飼われていたのかもしれないのね」
お父様とマリーが去った後、貴公子に深く頭をさげると彼は顔を真っ赤にして吹きだしたのだ。
「プッ。このチビが王様の犬だって!
ない。ない。それは絶対にない」
片手で口元をおさえ、もう片方の手をせわしく左右にふる。
「でも、さっきあなたは……」
「すまない。
あれは嘘なんだ」
「どうして、あんな嘘をついたの?」
貴公子のくだけた態度にため口になってしまったけど、見たところ年も変わらないようだし、いいわよね。
「そんな事もわからないのか?
このチビを助けるために決まってるだろう」
貴公子は悪戯っぽい目をすると、私の耳元でささやいた。
「しっかりしてるようだけど、案外鈍感なんだな」
「まあ失礼ね、鈍感だなんて」
プウッと頬をふくらませる。
「妹はね。
可愛い顔をしてるけど、1度言い出したら何があろうときかない頑固者なの。
もしあなたの嘘がなかったら、今頃この子は狼の餌になっていたわ」
「あの妹が可愛いって?」
「そうよ。
現にこのパーティーに招待されている人達も、皆、マリーのトリコになってるわ」
「皆じゃない。
僕はああいうタイプは苦手だ」
「なんて言いながら、本心はどうかしら」
私は肩をすくめてクスリと笑った。
『マリーみたいなタイプは苦手』と言ってたくせに、結局はマリーを好きになってしまう。
そんな男の人をたくさん知っているから。
「僕は妹の話なんかより、もっと君の話が聞きたいな。
さっきチラッと耳にしたけど、本当に王太子と婚約してるのかい?」
「残念ながらそうなの」
と本音をポロリともらして、あわてて口に手をそえる。
「残念だなんて不敬だわよね。
お願い。
さっきの言葉は忘れてちょうだい」
「貴族の令嬢なら誰もが王太子妃の座を狙ってるはずだろ?
ひょとして他に好きな人でもいるのか?」
「いません!
私はただ……」
「ただ、何?」
貴公子はそう言うと、真剣な目をして私の顔をのぞきこんだ。
その瞳があまりに美しいから、私の心臓の鼓動が激しく高鳴る。
「自分らしく生きたいだけ。
王太子妃教育をうけて気がついたの。
王太子妃になると、いっぱい自分を殺さないといけない事に」
顔をほてらせて早口でまくしたてると、貴公子は沈黙したままだった。
そして、しばらくして。
「僕と全く同じ事を考えている女性がいたとは面白すぎる」
と破顔した。
「たしか名前はオリビアだったね。
どうやら僕たちは似た者同士のようだ。
1度ゆっくり話が」
と貴公子が言いかけた時だった。
シロがモゾモゾともがいて、私の腕の中をすり抜けていったのは。
「またパーティーをメチャクチャにしたら、こんどこそオワリだわ」
私は貴公子に背をむけて夢中でシロを追った。
そして、シロを捕まえて戻ってきた時は貴公子の姿は消えていたのだ。
あまりに残念すぎて、一筋の涙がツーと頬をつたった。
さっき会ったばかりなのに。
一体なぜ?
その答えはわからないけれど、私はそれからあの貴公子を「プラチナ王子」と呼んでまだ忘れられないでいる。
221
あなたにおすすめの小説
矢車菊の花咲く丘で
六道イオリ/剣崎月
ファンタジー
ある日カサンドラは
墓地で怪我をした老人と見知らぬ男に遭遇した
その老人から行方不明になった娘を探して欲しいと頼まれる
行方不明になった娘の行方を
墓地で会った見知らぬ男ことトリスタンを手下に加え娘の行方を追うことに――
「そんなこともあったわね」
「はいはい、ありましたね、姫さま」
二人は小高い丘から青い花が咲く平原を眺める
※重複投稿※
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
婚約者はメイドに一目惚れしたようです~悪役になる決意をしたら幼馴染に異変アリ~
たんぽぽ
恋愛
両家の話し合いは円満に終わり、酒を交わし互いの家の繁栄を祈ろうとしていた矢先の出来事。
酒を運んできたメイドを見て小さく息を飲んだのは、たった今婚約が決まった男。
不運なことに、婚約者が一目惚れする瞬間を見てしまったカーテルチアはある日、幼馴染に「わたくし、立派な悪役になります」と宣言した。
【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ
リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。
先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。
エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹?
「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」
はて、そこでヤスミーンは思案する。
何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。
また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。
最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。
するとある変化が……。
ゆるふわ設定ざまああり?です。
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
はい!喜んで!
みおな
恋愛
伯爵令嬢のシリルは、婚約者から婚約破棄を告げられる。
時を同じくして、侯爵令嬢のリエルも、婚約者から婚約破棄を告げられる。
彼女たちはにっこりと微笑んで答えた。
「はい。喜んで」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる