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2章 新しい暮らし
13、愛しいアラン
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「ワンワン、クイーン」
長椅子に寝転がって本を読んでいると、甘えた声をだしてシロが私と本の間にはいりこんでくる。
「読書の邪魔をしないでちょうだい。
さっき読み始めたばっかりなんだから」
上半身を起こしてシロを軽く睨むと、シロは首を左右にふってサイドテーブルの置時計を見つめた。
「いやだわ。
まだてっきりお昼前だと思ってたのにもうオヤツの時間じゃない。
ごめんね。シロ。
お腹がすいたでしょう」
スリスリと両手をあわせてシロに頭をさげると、部屋の奥の方から聞き覚えのある声がとんできた。
「シロだけじゃない。
僕も朝から飲まず食わずでずーとアナタを待ってたんだけどな」
「え?
その声はアランよね」
驚いて声の方へ視線を移すと、ドカンと机に両脚をのせてアランが椅子に座っている。
「もう。
部屋に入ってきたなら声をかけてくれれば良かったのに」
「何度も声をかけた。
けど、オリビアは本に夢中で全然気がつかなかったんだぞ」
その通り!というように、シロも「ウオン」とほえた。
「ごめんなさい。
私は本に集中すると周囲が見えなくなるみたいね」
「ま、いい。
オリビアの綺麗な横顔をたっぷり拝ましてもらったから」
「もうアランたら調子がいいんだから」
「オリビアをこれほど夢中にさせる本ってどんな本なのか興味があるな」
赤面してうつむいたとたん、手にしてた本をアランに奪われた。
「あ! かえしてよ。
私、自分が読んでいる本を人に知られたくないの。
だから表紙をカバーでかくしているでしょ」
「いやだね。
僕とシロを腹ペコにした罰さ。
ムキになって隠したがるとは、さてはエッチな本を読んでいたな」
口元をゆるめながら、アランはパラパラと本のページをめくる。
「これは……」
そして手を止めると私の方へ完璧に綺麗な顔をむけた。
「そうよ。
ハミルトン語で書かれているの」
「そうか。
話せるだけじゃなくて、読めるようにもなっていたのか。
さすがだね」
「それがちゃんと理解できているか自信がないのよ」
ため息を1つついて本を恨めしそうに見つめる。
「難解なのはしかたない。この本はわが国の大学の教科書に採用されているほどだからな」
白い布に紫の花の刺繍が施されたカバーの下にあるのは、「人間と魔法」という専門書だった。
「なら大学すらでていない私には無理だわね」
「どうしてこれに興味をもったんだ?」
「ルネを見ていて不思議に思ったの。
どうして同じ人間なのに、魔法が使える者と使えない者に分かれるのかってね。
その謎をとく手がかりがこの本にあるような気がして」
「オリビア!まさに僕も同じ事を考えてこの本を書いてみたんだ」
「ちょっと待って。
この本はアランが書いたってことなの?
だからさっきあんなに驚いていたの?」
「ああ。オリビアがこの本を選んでくれたなんて光栄だな。
実は僕はハミルトン大学院を卒業して、そのまま研究者として大学に残っているんだ」
「う、嘘でしょ」
「どうしてもアランと難関大のハミルトンが結びつかないわ」
ボソボソ言っていると、アランに指でコツンと額をはじかれた。
「失礼だぞ。
けど明日から僕の講義を毎日聴くなら許してやる」
グイと顔を寄せてきたアランの瞳は
とろけそうに優しい。
「もちろんテキストはこの本よね」
「ああ」
「なら私の方からお願いしたいぐらいよ」
私の言葉がおわるやいなや、チュッと頬にキスをされた。
「これで契約成立だな」
ドヤ顔をするアランに胸のキュンキュンがなりやまない。
長椅子に寝転がって本を読んでいると、甘えた声をだしてシロが私と本の間にはいりこんでくる。
「読書の邪魔をしないでちょうだい。
さっき読み始めたばっかりなんだから」
上半身を起こしてシロを軽く睨むと、シロは首を左右にふってサイドテーブルの置時計を見つめた。
「いやだわ。
まだてっきりお昼前だと思ってたのにもうオヤツの時間じゃない。
ごめんね。シロ。
お腹がすいたでしょう」
スリスリと両手をあわせてシロに頭をさげると、部屋の奥の方から聞き覚えのある声がとんできた。
「シロだけじゃない。
僕も朝から飲まず食わずでずーとアナタを待ってたんだけどな」
「え?
その声はアランよね」
驚いて声の方へ視線を移すと、ドカンと机に両脚をのせてアランが椅子に座っている。
「もう。
部屋に入ってきたなら声をかけてくれれば良かったのに」
「何度も声をかけた。
けど、オリビアは本に夢中で全然気がつかなかったんだぞ」
その通り!というように、シロも「ウオン」とほえた。
「ごめんなさい。
私は本に集中すると周囲が見えなくなるみたいね」
「ま、いい。
オリビアの綺麗な横顔をたっぷり拝ましてもらったから」
「もうアランたら調子がいいんだから」
「オリビアをこれほど夢中にさせる本ってどんな本なのか興味があるな」
赤面してうつむいたとたん、手にしてた本をアランに奪われた。
「あ! かえしてよ。
私、自分が読んでいる本を人に知られたくないの。
だから表紙をカバーでかくしているでしょ」
「いやだね。
僕とシロを腹ペコにした罰さ。
ムキになって隠したがるとは、さてはエッチな本を読んでいたな」
口元をゆるめながら、アランはパラパラと本のページをめくる。
「これは……」
そして手を止めると私の方へ完璧に綺麗な顔をむけた。
「そうよ。
ハミルトン語で書かれているの」
「そうか。
話せるだけじゃなくて、読めるようにもなっていたのか。
さすがだね」
「それがちゃんと理解できているか自信がないのよ」
ため息を1つついて本を恨めしそうに見つめる。
「難解なのはしかたない。この本はわが国の大学の教科書に採用されているほどだからな」
白い布に紫の花の刺繍が施されたカバーの下にあるのは、「人間と魔法」という専門書だった。
「なら大学すらでていない私には無理だわね」
「どうしてこれに興味をもったんだ?」
「ルネを見ていて不思議に思ったの。
どうして同じ人間なのに、魔法が使える者と使えない者に分かれるのかってね。
その謎をとく手がかりがこの本にあるような気がして」
「オリビア!まさに僕も同じ事を考えてこの本を書いてみたんだ」
「ちょっと待って。
この本はアランが書いたってことなの?
だからさっきあんなに驚いていたの?」
「ああ。オリビアがこの本を選んでくれたなんて光栄だな。
実は僕はハミルトン大学院を卒業して、そのまま研究者として大学に残っているんだ」
「う、嘘でしょ」
「どうしてもアランと難関大のハミルトンが結びつかないわ」
ボソボソ言っていると、アランに指でコツンと額をはじかれた。
「失礼だぞ。
けど明日から僕の講義を毎日聴くなら許してやる」
グイと顔を寄せてきたアランの瞳は
とろけそうに優しい。
「もちろんテキストはこの本よね」
「ああ」
「なら私の方からお願いしたいぐらいよ」
私の言葉がおわるやいなや、チュッと頬にキスをされた。
「これで契約成立だな」
ドヤ顔をするアランに胸のキュンキュンがなりやまない。
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