【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

文字の大きさ
9 / 401
第1章 英雄と竜帝

第9話 鍛錬の日々。 ~はちくげき~

しおりを挟む
 ――戦技一0八計の一つ、破竹撃。その一撃は鉈で竹を割るかのごとく、相手を断ち割る技である。かつて名を馳せた猛将が立て続けに敵軍を破り抜き勢い良く進軍する様に例えられ、その逸話にあやかり付けられたと言われている。

「お前、いつまで薪割りなんかしてるつもりなんだ?」

 ロアは朝からずっと薪割りを続けていた。梁山泊には薪を割る音が朝から鳴り続けていた。

「お前は薪割りの修行に来たのかよ。」

「よっ、薪割り名人!」

 ロアと同世代の門下生が時おりからかいに来る。いつまでたっても破竹撃が習得できないからだ。その習得のための基礎練習、それが薪割りである。だが、ロアはそんな野次など耳を貸さずに黙々と薪割りを続ける。

「いつまで続くかなあ。……おっといけねえ。そろそろ行かねえと、師範にどやされる。」

 野次を入れに来た門下生たちがその場を去っていく。そんなことは彼にはどうでもいいことであった。少しでも早く技を習得し、遅れを取り戻したかった。屈辱感に耐えつつただひたすらに鍛練を続けた。

(……いいですか、ロア。この破竹撃は力任せに叩き斬る技ではありません。物の壊れやすいい一点、人に置き換えれば、相手の僅かな隙を突くというのがこの技の本質です。)

 師父に教わった技についての本質を頭に思い浮かべながら、ひたすら鍛練に励んではいるが、なかなか、それを体現できないでいた。薪割りを続けていても、木片が増えていくだけで、ちっとも糸口は見えはしなかった。

 ――その日も日が傾き始めても、一向に出来はしなかった。

「……あ、やべっ!もうない!」

 あまりにも夢中になりすぎたためか、薪割りをするための木片がもうそこにはなかった。
あるのは薪割りの済んだ木片しかそこにはない。新たに木材を調達しにいかなくてはならなかった。しかし、今からそれを行うには、不十分であり、日も暮れてしまうだろう。

「じゃあ、今日はこれで終わりか。」

 突きつけられた現実にロアはがっくりとかたを落とした。しかし、あきらめきれなかった。また明日も同じことを続けるのかと思うと、気が滅入る。

「……まてよ。同じ木片なら、これでも一応出来るじゃないか。」

 自分が割った薪そのものを見つめ、発想の転換をした。とはいえこの木片をさらに割るには
細すぎで、下手をすれば鉈を振り下ろしたときの衝撃で折れてしまうだろう。

「一か八か、駄目元でやってみるか。」

 強風が吹いただけで倒れてしまいそうな木片を慎重に薪割台へと立たせた。

「よし!慎重にやるぞ。風なんか吹いたりするなよ。」

 鉈を振り上げ、肩の力を抜き、木片を狙って正確に振り下ろした。木片は音をたてず、まるで、紙でも裂いたかのように易々と切断されていった。

「……おおっ!」

 思わず感嘆の声を上げてしまった。そして勢い余って薪割台まで真っ二つにしてしまっていた。

「やべっ!やっちまった。……でも、これって、もしかして技ができたってことなのか?」

 薪割りにしては大それた威力である。これはある意味、破竹撃の完成を意味していた。

「なら、一回試しにやってみりゃいいんだ。」

 破竹撃の修練の最終目標は大岩を剣で断ち割ることである。さっそく、ロアは傍らにおいてあった剣を手にし近くにあった石壁と向き合った。

「今一度、破竹撃!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...