32 / 401
第1章 英雄と竜帝
第32話 魔術師、辿り着く。
しおりを挟む
「なんだ、これは?」
ファルは目の前の光景に驚愕した。ロアとヴァル・ムングの捜索途中で突然地形が変化したのだ。
「いったい、どういうこと?」
当然のことながら、ジュリアも困惑していた。突然異常事態が起きたのだ。
「とにかく、何が起こったのか調べるんだ。ヴァルのやつが何かしたのかもしれない。」
確信は持てないが、可能性はある。他に有力な手がかりはない以上、念のため調べてみるしかない。景色が変化した辺りへと、二人は足を進めた。進むうちに次第に、山の岸壁に沿って住居らしきものが見えてきた。そして、何やら戦いの喧騒らしきものが二人の耳に入ってきた。竜の雄叫びと悲鳴だろうか。住居がある場所には不釣り合いな怪物の声が聞こえるのである。
「こんなところに村なんてあったっけ?それに結構、人も多そうだし。」
パッと見ただけで住居は思ったよりも数がありそうだった。少なくとも、竜帝の討伐隊が拠点にしていた村よりは大きいかもしれない。
「まさかとは思うが、これは伝説の竜の隠れ里かもしれんな。」
「うそでしょ?あのおとぎ話に出てくる?」
ファルは無言で頷いた。ジュリアはおとぎ話程度の知識しかないようだが、魔術師たる彼は古今東西、様々な知識に精通している。竜族について記された書物はいくらでも存在しているので、彼はしょっちゅう目にしていた。今回の任務に赴く前にも資料に目を通してきたのだ。その中に竜族の隠れ里についての記載はあった。
「何も不思議な話ではないさ。あの竜帝がいたぐらいなんだ。近くに隠れ里が存在していてもおかしくはない。おそらく、幻術や結界で隠しきっていたんだろうな。こんな規模の集落を隠すんだからな。相当、高度な魔術でないと不可能だ。」
魔術の専門家である彼でさえ舌を巻く程の高度な魔術が使われているのだ。竜族の力は計り知れない。
「なんだか、現実味がなさすぎて、信じられないんですけど。」
彼女がそう言うのも無理はなかった。あまりにも途方もない手段で隠されていたのだから。二人は話ながらも、喧騒のする方向へと向かった。すると、数体の竜が広場にいるのが見えてきた。
「ん~!前言撤回!」
信じられないとは言っていても、実際目にしてしまうと信じないわけにもいかなくなった。竜の群れは何かと戦っているようだった。中には傷ついた者、絶命した者等様々だった。大勢いるが決して決して優勢とは言い難かった。
「竜を相手にここまで出来るのは、やつしかいない!やっぱり、やつはここにいるんだ。」
ファルはこの光景を目の当たりして、そう結論付けた。しばらく様子を見ていると、竜たちに取り囲まれるような形で戦っているヴァルの姿が見えてきた。このような状況下でも、余裕の表情を浮かべている。
「ほう。貴様らもやってきたか。私に就く気になったかね?」
ヴァルは二人がやって来たことに気が付いた。それに合わせて、竜たちも一斉にふたりのほうへと顔を向ける。
「何をバカなことを!アンタは絶対、あたし達が倒す!」
ヴァルの一言に腹を立てたジュリアが殺気立つ。いつの間にか戦槌を抜き、構えをとっている。その姿を見たファルも合わせて身構える。
《あなた方は勇者様のお仲間のクルセイダーズか?》
竜族の中の一体が思念波で二人に話しかける。勇者に対して言及しているところをみると、何か事情は知っているようだ。
「そやつらも勇者を探しているはずだ。そろそろ、居場所を白状してはどうだ?そうでなければ、貴様らは全滅するぞ?」
《黙れ!》
竜族は激昂している。多くの仲間の命を奪われたのだから無理もないだろう。それにしても、ヴァルの言動からすると、まだ、彼も勇者を見つけていないようである。竜族が匿ってくれているのだろうか。
「くわしい事情はわからないが、あとは俺たちに任せてくれ。」
《しかし!》
ファルの申し出に反対しようとしている。誇り高い竜族が人間やエルフ族に守られるというのには耐えられないのかもしれない。しかし、今のあの男に対してだけは引き下がって欲しいと感じざるを得なかった。
「下がった方がいい。あいつには魔剣があるんだ。如何に竜族といっても、あの剣の相手をするのは危険すぎる。」
「ふはは、竜族とあろう者が、エルフや人間風情に守られるとはな。これは傑作だ!」
ヴァルは大袈裟に笑い飛ばす。明らかに竜族を煽っている。
「挑発に乗ってはいけない。心苦しいだろうが、引き下がってくれ。」
ファルは竜族をなだめつつ、風刃の剣を形成していった。
「あんたたちの無念は必ず晴らして見せる!」
そのまま、ファルは切りかかっていった。
「無駄だ!誰であろうと、この私を止めることはできん。」
魔剣でファルの攻撃を易々と受け止める。
「たしか貴様はそうとうな武闘派だそうだな。魔術師でありながら、前線にしゃしゃり出てくるのはどうやら本当のようだな。」
ヴァルは受け止めたまま、後ろへと押し返す。
「魔術師は大人しく、後方で小細工でも企てておればよいのだ。」
魔術師の存在そのものを揶揄するかのように言った。この男は基本的に自分以外を見下している。自分に敵うもの等いないと言っているかのようだった。
「生憎、黙って見ているのは性分に合わなくてな。ついつい、手が出てしまうんだ。」
その間にヴァルの体のあちこちから、血が流れ始めた。全身に小さな切り傷ができていたのである。先程の攻撃は受け止められてはいたが、風刃の剣から生じた鎌鼬をヴァルが気がつかないうちに無数の傷を付けていたのだ。
「俺のヴォルテクス・ソードと切り結んだら、たとえ防いだとしても、ただでは済まん。並みの相手ならとっくにバラバラになってしまうぜ?」
「フン!魔術師ごときが小賢しい。」
物ともしていない。そればかりか、身体中の傷が何事もなかったかのように元に戻っていく。尋常ではない再生力だった。
「ドラゴン・スケイルを貫くとは大したものだが、これしきの傷など、ドラゴン・フレッシュの力をもってすれば、どうと言うことはない。」
上位の竜族は尋常ならざる再生能力をもつという。それをドラゴン・フレッシュという。それ故、竜は不死の象徴ともされている。竜帝の力を取り込んだヴァルには造作もないことだった。ドラゴン・スケイルと合わされば、傷を付けるのは相当に困難といえた。
「じゃあ、いっそのこと、首でも落としちまうのはどうかな?いったいどこまで不死身なのか、気になるぜ。」
「やれるものならば、やって見せてもらおうではないか!」
売り言葉に買い言葉。まさに言葉の上でも二人は戦っていた。
「じゃあ、こういうのはどう?頭を粉砕してしまうのはどうかしら?」
二人の横から急に現れた、粉砕の戦姫は戦槌をヴァルに向かって振り下ろした。
「その意気だ!そうでなくては、私を倒すのは夢のまた夢だぞ。」
ヴァルは彼女が向かって来た方向に向き直ることもなく、涼しい顔で攻撃を受け止めていた。しかも、素手である。
「必ず、いい夢見させてやるよ!覚悟しろ。」
再びファルも斬りかかっていった。
ファルは目の前の光景に驚愕した。ロアとヴァル・ムングの捜索途中で突然地形が変化したのだ。
「いったい、どういうこと?」
当然のことながら、ジュリアも困惑していた。突然異常事態が起きたのだ。
「とにかく、何が起こったのか調べるんだ。ヴァルのやつが何かしたのかもしれない。」
確信は持てないが、可能性はある。他に有力な手がかりはない以上、念のため調べてみるしかない。景色が変化した辺りへと、二人は足を進めた。進むうちに次第に、山の岸壁に沿って住居らしきものが見えてきた。そして、何やら戦いの喧騒らしきものが二人の耳に入ってきた。竜の雄叫びと悲鳴だろうか。住居がある場所には不釣り合いな怪物の声が聞こえるのである。
「こんなところに村なんてあったっけ?それに結構、人も多そうだし。」
パッと見ただけで住居は思ったよりも数がありそうだった。少なくとも、竜帝の討伐隊が拠点にしていた村よりは大きいかもしれない。
「まさかとは思うが、これは伝説の竜の隠れ里かもしれんな。」
「うそでしょ?あのおとぎ話に出てくる?」
ファルは無言で頷いた。ジュリアはおとぎ話程度の知識しかないようだが、魔術師たる彼は古今東西、様々な知識に精通している。竜族について記された書物はいくらでも存在しているので、彼はしょっちゅう目にしていた。今回の任務に赴く前にも資料に目を通してきたのだ。その中に竜族の隠れ里についての記載はあった。
「何も不思議な話ではないさ。あの竜帝がいたぐらいなんだ。近くに隠れ里が存在していてもおかしくはない。おそらく、幻術や結界で隠しきっていたんだろうな。こんな規模の集落を隠すんだからな。相当、高度な魔術でないと不可能だ。」
魔術の専門家である彼でさえ舌を巻く程の高度な魔術が使われているのだ。竜族の力は計り知れない。
「なんだか、現実味がなさすぎて、信じられないんですけど。」
彼女がそう言うのも無理はなかった。あまりにも途方もない手段で隠されていたのだから。二人は話ながらも、喧騒のする方向へと向かった。すると、数体の竜が広場にいるのが見えてきた。
「ん~!前言撤回!」
信じられないとは言っていても、実際目にしてしまうと信じないわけにもいかなくなった。竜の群れは何かと戦っているようだった。中には傷ついた者、絶命した者等様々だった。大勢いるが決して決して優勢とは言い難かった。
「竜を相手にここまで出来るのは、やつしかいない!やっぱり、やつはここにいるんだ。」
ファルはこの光景を目の当たりして、そう結論付けた。しばらく様子を見ていると、竜たちに取り囲まれるような形で戦っているヴァルの姿が見えてきた。このような状況下でも、余裕の表情を浮かべている。
「ほう。貴様らもやってきたか。私に就く気になったかね?」
ヴァルは二人がやって来たことに気が付いた。それに合わせて、竜たちも一斉にふたりのほうへと顔を向ける。
「何をバカなことを!アンタは絶対、あたし達が倒す!」
ヴァルの一言に腹を立てたジュリアが殺気立つ。いつの間にか戦槌を抜き、構えをとっている。その姿を見たファルも合わせて身構える。
《あなた方は勇者様のお仲間のクルセイダーズか?》
竜族の中の一体が思念波で二人に話しかける。勇者に対して言及しているところをみると、何か事情は知っているようだ。
「そやつらも勇者を探しているはずだ。そろそろ、居場所を白状してはどうだ?そうでなければ、貴様らは全滅するぞ?」
《黙れ!》
竜族は激昂している。多くの仲間の命を奪われたのだから無理もないだろう。それにしても、ヴァルの言動からすると、まだ、彼も勇者を見つけていないようである。竜族が匿ってくれているのだろうか。
「くわしい事情はわからないが、あとは俺たちに任せてくれ。」
《しかし!》
ファルの申し出に反対しようとしている。誇り高い竜族が人間やエルフ族に守られるというのには耐えられないのかもしれない。しかし、今のあの男に対してだけは引き下がって欲しいと感じざるを得なかった。
「下がった方がいい。あいつには魔剣があるんだ。如何に竜族といっても、あの剣の相手をするのは危険すぎる。」
「ふはは、竜族とあろう者が、エルフや人間風情に守られるとはな。これは傑作だ!」
ヴァルは大袈裟に笑い飛ばす。明らかに竜族を煽っている。
「挑発に乗ってはいけない。心苦しいだろうが、引き下がってくれ。」
ファルは竜族をなだめつつ、風刃の剣を形成していった。
「あんたたちの無念は必ず晴らして見せる!」
そのまま、ファルは切りかかっていった。
「無駄だ!誰であろうと、この私を止めることはできん。」
魔剣でファルの攻撃を易々と受け止める。
「たしか貴様はそうとうな武闘派だそうだな。魔術師でありながら、前線にしゃしゃり出てくるのはどうやら本当のようだな。」
ヴァルは受け止めたまま、後ろへと押し返す。
「魔術師は大人しく、後方で小細工でも企てておればよいのだ。」
魔術師の存在そのものを揶揄するかのように言った。この男は基本的に自分以外を見下している。自分に敵うもの等いないと言っているかのようだった。
「生憎、黙って見ているのは性分に合わなくてな。ついつい、手が出てしまうんだ。」
その間にヴァルの体のあちこちから、血が流れ始めた。全身に小さな切り傷ができていたのである。先程の攻撃は受け止められてはいたが、風刃の剣から生じた鎌鼬をヴァルが気がつかないうちに無数の傷を付けていたのだ。
「俺のヴォルテクス・ソードと切り結んだら、たとえ防いだとしても、ただでは済まん。並みの相手ならとっくにバラバラになってしまうぜ?」
「フン!魔術師ごときが小賢しい。」
物ともしていない。そればかりか、身体中の傷が何事もなかったかのように元に戻っていく。尋常ではない再生力だった。
「ドラゴン・スケイルを貫くとは大したものだが、これしきの傷など、ドラゴン・フレッシュの力をもってすれば、どうと言うことはない。」
上位の竜族は尋常ならざる再生能力をもつという。それをドラゴン・フレッシュという。それ故、竜は不死の象徴ともされている。竜帝の力を取り込んだヴァルには造作もないことだった。ドラゴン・スケイルと合わされば、傷を付けるのは相当に困難といえた。
「じゃあ、いっそのこと、首でも落としちまうのはどうかな?いったいどこまで不死身なのか、気になるぜ。」
「やれるものならば、やって見せてもらおうではないか!」
売り言葉に買い言葉。まさに言葉の上でも二人は戦っていた。
「じゃあ、こういうのはどう?頭を粉砕してしまうのはどうかしら?」
二人の横から急に現れた、粉砕の戦姫は戦槌をヴァルに向かって振り下ろした。
「その意気だ!そうでなくては、私を倒すのは夢のまた夢だぞ。」
ヴァルは彼女が向かって来た方向に向き直ることもなく、涼しい顔で攻撃を受け止めていた。しかも、素手である。
「必ず、いい夢見させてやるよ!覚悟しろ。」
再びファルも斬りかかっていった。
0
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる