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第3章 迷宮道中膝栗毛!!
第87話 ガツ丼、一丁!
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「ていうか、おすすめは何なんだ?」
町に到着して、速攻で飲食店が立ち並ぶ一角へとやってきた。様々な店が誘惑してくる!色々目移りしている間に、何が何やらわからなくなってきた。
「そうじゃな。初心者には“ガツ森”じゃろうな。」
と言ってサヨちゃんは向こうにある看板を指差した。「ガツ森!!」とだけ書かれているだけで何の店かはわかんない。
「なにそれ?」
「正しくは“食べようぜ!肉メシのガツ森!!”じゃ。ライスの上に炒めた肉が乗った料理を提供しておる。ニンニクたっぷりでスタミナが付くぞい。ちなみに数年前にやってきた東洋人が経営しておる。今ハヤリのグルメじゃ!」
「今の俺にうってつけのメニューじゃねーか!」
「ええェ……、もっとおしゃれな物を食べましょうよ!私、ニンニク苦手なんですぅ。」
エルちゃんは半泣きになっていた。しまった。俺はデリカシーがなさ過ぎた。女の子に「男の食べ物」を食べさせるわけにはいかないか。
「まあ、アレじゃ。妾は元々、高級店にいく予定じゃったから、エル坊と行ってくる。そなたはそのまま、ここへゆけ。」
高級店だと?何食べる気だ!俺だけ何で仲間はずれなんだ。……ていうか、エルちゃんをそんな呼び方すんな!格闘の技みたいだろ!
「なんで俺だけここなんだよ!」
「すまんの。今から行く店はそれなりに高くてのお。予算が足りんのじゃ。残念じゃが出せるのは二人分までじゃ。妾は妥協したくはないのじゃ。堪忍せい。」
「なんだこの!意識高い系めぇ!!」
いいんだ!俺は俺で今ハヤリのグルメを堪能するから!食べまくるから!俺は店までダッシュした。
「おお、忘れておった。帰りにテイクアウトで妾の分も買ってくるように!」
知るかああ!ていうか、どんだけ食い意地張ってるんだ。
「うわあ!メチャクチャ混んでるよ、コレ!」
店の前には長めの行列ができていた。遠くからではわからなかった。でも、見てたら意外と前に進むのは早かった。回転率がいいのだろうか?
「おし、あと少しだ。」
もう一歩と言うところまでやってきた。ワクワクするな。腹はおもいっきり減っている。準備は万全だ。
「ちょいと、邪魔すんでえ!」
厳ついオッサンに割り込まれた。ずるい!こっちはちゃんと並んでるのに!邪魔するなら帰って!
「なんや!オッサン!何、割り込んでんねん!」
後ろから独特な口調の怒号が飛んできた。迫力は割り込みオッサンと負けず劣らずと言った所か?どんな人なんだろ?恐る恐る振り向いてみた……。
「豚じゃねえかあぁ!!」
「誰が豚やねん!」
豚がそこにいた。イヤ、ホント。毛むくじゃらの豚が真後ろに立っていた。
「豚ちゃうわ!猪や!……それより、オッサン、はよどかんかい!」
「なんだ、コラぁ!文句あるのか!」
「なんや?自分?ケツの穴から手ぇ突っ込んで、奥歯ガタガタ言わせたろか!」
豚の人はすごい勢いでまくし立てた。割り込みオッサンも怯んでいる。言葉の意味は良くワカランがとにかくすごい迫力だ!
「ひいい!お助けエエ!!」
オッサンは逃げていった。ビビりすぎだろ。そんなんなら、最初から割り込んでくるなよ。
「ホンマ、最近はしょうもないヤツが増えよったな。しゃらへんわ、ホンマ。」
「あの、ありがとう。助かりました。」
「かまへん、かまへん!当たり前のことしただけやで。」
俺の返礼にも気さくに気にするなと言わんばかりに気前よく振る舞っている。か、かっけえ!……豚だけど。
「おう、兄ィちゃん!ワシらの番やで。ついでやから、一緒に食べよか!」
「ガツ丼、ニクニクマシ、メシモリモリで!」
「こっちはゴチ丼、ジバラビリビリ、ピタリワン、グルグルナイでお願い!」
「あいよぅ!!」
店の中では何やら不思議なワードが飛び交っていた。全く意味が理解不能だった。わかるのは注文をしているということぐらいだ。
「あの、みなさん何を言ってらっしゃるんですかね?何言ってるかワカンナイ。」
「なんや?兄ィちゃん、初めてか?ええで、ワシが教えたるさかい、安心しぃや。」
「オナシャス!」
よ、よかった!一人だったら、一体どうなっていたんだろう?謎の魔法詠唱に失敗して、LOSTしてしまっていたかもしれない。
「じゃあ、俺、行きます!ゲリ丼、バリバリ、ベリベリキュー、マッシモンで!」
「何言うとんねん。意味わからんわ!おもろいな、自分!ナイスボケや!」
ワケワカランから適当にそれっぽく言ってみた!でも、なんか褒められたっぽい。何が悪くて、良かったのかわからない。
「まあ簡単に言うとな、料理の名前の後に付くのは、盛り方とか、トッピングの付け方とかや。」
「盛り方?トッピング?」
「自分、初心者やろ?せやったら、悪いこと言わへん、ガツ丼、ニクマシ、メシモリぐらいにしとき。」
「じ、じゃあ、それで!」
「あいよ!んで、猪の兄さんは?」
「ワシはガッツ丼、ニックゴリゴリ、メシバクバク、あと、ゴッツン・ゴーを付けてえや!」
「おお、やる気か、兄さん!久々に来たな、チャレンジメニューが!!こっちも腕が鳴るぜ!」
「オウ!前の記録、塗り替えたるで!」
周りからどよめきが起きる。中には立ち上がって、豚の人の姿を見ている。チャレンジ?一体、これから何が起きるのか?
「ガッツ丼とガツ丼の違いって何?」
「ガッツ丼はガツ丼のスペシャルバージョンや。メニュー名が似とるさかい、オーダーミスも多いんや。初心者が陥りやすいミスなんやで。」
なにそれ!罠すぎる!知らなくて、ヤベーもんが来たら大変だ!そうなると最悪、詰む。ベテランと一緒になってよかった。
「あとに続いた言葉も変わってたような気がするけど?」
「ああ、アレは要するに超爆盛り言う意味や。あそこまでするアホはなかなかおらへん。ワシ以外はな!」
この人、超大食いなのかな?ヤバイ注文しといて、すごい余裕そうだ!ひょっとしてすごい有名人だったりするんじゃないだろうか?
「ホレ、言うとる間に、兄ィちゃんのが来たで!」
さっき注文したばっかりなのに、意外と早かった。器に盛られた米と肉がやってきた。割と大きい。食べきれるだろうか?
「気にせんでええで。先食べとき。ワシのは時間かかるさかい。」
「じゃあ、遠慮なく。イタダキマス!」
とにかく、腹は減っていたので、すぐに食べ始めた。……ウマイ!やっぱり、携行食糧とはワケが違う。これならいくらでも食べられそうだ。
「おお、ええ食いっぷりやな。ガッツ丼でもいけたんちゃうか?」
いやいや、無理っす、先輩。これを食い切るだけでも精一杯っす!空腹がそうさせてるんです。
「ヘイ、お待ち!ガッツ丼スペシャルチャレンジバージョンマックス!」
「……!?」
それは 飯というには あまりにも大きすぎた。
大きく 大量に 重く そして 大雑把すぎた。
それは 正に 絶壁だった。
「な、なんじゃこりゃあああ!!」
大きすぎる器に大量の米と肉!それが壁のようにそびえ立っていた。コレ、食べれるの?食べ物なの?
「ついに来おったな!……さあ!遊ぼ!」
豚の人は立ち向かっていった。あまりにも無謀な挑戦に。勝てるんだろうか?こんな人知を超えた怪物に。
「あ、スンマセン!俺がさっき食べたヤツを一つ、テイクアウトで!」
「あいよ!どうもごひいきに!」
死闘は終わった。そして、豚の人は記録を塗り替えた。絶壁が消え失せたのだ。あとは器だけが残っている。
「ゲフゥ!……ああ、最後の方はちょっとやばかったけど、なんとかなったわ。」
「それでも、なんとかってレベルなんすか?」
「せやで。そういうもんや。ゴッツン・ゴーがあったさかい、なんとかなったんやで。」
尋常じゃない食べっぷりだった。プロだ。まさしく、プロだ!きっと、名の知れた人物に違いない!
「自分、テイクアウト頼んどったけど、帰ってから食うんか?」
「それはさすがに無理かと……。いや、友達にね、頼まれてたんすよ。他の店で食べるからって。」
「ほう、そら、なんとも豪気なやっちゃな!食べた後に、ガツ丼食うんかい!」
「そうなんすよ。それはそれは、大変な食いしん坊でして。それはそうと、俺をほったらかしにして、高級店に行っちゃったんすよ!」
「そら、災難やったな!……せや!ココの勘定、兄ィちゃんの分、払うといたるわ!」
「ええ!いいんすか?世話になってばっかなのに。」
「かまへん、かまへん!今日は気分ええさかい、まかしとき!」
なんとも気前のいい人だ!男ならこんな風になりたいな。そこに痺れる。憧れる!
「あいよ、ガツ丼テイクアウト一お待ち!」
「サーセン!」
「ほな、行こか!」
俺たちは店から出てきた。
「いやあ、ゴチソウサマデシタ!」
「かまへん、かまへん!兄ィちゃんが楽しんでくれてたら、それでええねん!ワシの心はそれでお腹いっぱいや!」
「じゃあ、俺はこれを持ってかないといけないんで!」
「せやな。はよ持っていったりや。冷めたらまずうなるさかい。……兄ィちゃん、結構、ええセンスしとるわ!楽しかったで!」
楽しんでくれてたのか。むしろ、こっちが楽しませてもらってたくらいなのに。
「ワシもこれから用事あるさかい、行くわ。ほな!」
豚の人は足早に去って行った。きっと仕事で忙しいんだろう。……しまった!名前聞くの忘れとったわ!……ありゃ?心の中の口調まで影響されちゃった!
町に到着して、速攻で飲食店が立ち並ぶ一角へとやってきた。様々な店が誘惑してくる!色々目移りしている間に、何が何やらわからなくなってきた。
「そうじゃな。初心者には“ガツ森”じゃろうな。」
と言ってサヨちゃんは向こうにある看板を指差した。「ガツ森!!」とだけ書かれているだけで何の店かはわかんない。
「なにそれ?」
「正しくは“食べようぜ!肉メシのガツ森!!”じゃ。ライスの上に炒めた肉が乗った料理を提供しておる。ニンニクたっぷりでスタミナが付くぞい。ちなみに数年前にやってきた東洋人が経営しておる。今ハヤリのグルメじゃ!」
「今の俺にうってつけのメニューじゃねーか!」
「ええェ……、もっとおしゃれな物を食べましょうよ!私、ニンニク苦手なんですぅ。」
エルちゃんは半泣きになっていた。しまった。俺はデリカシーがなさ過ぎた。女の子に「男の食べ物」を食べさせるわけにはいかないか。
「まあ、アレじゃ。妾は元々、高級店にいく予定じゃったから、エル坊と行ってくる。そなたはそのまま、ここへゆけ。」
高級店だと?何食べる気だ!俺だけ何で仲間はずれなんだ。……ていうか、エルちゃんをそんな呼び方すんな!格闘の技みたいだろ!
「なんで俺だけここなんだよ!」
「すまんの。今から行く店はそれなりに高くてのお。予算が足りんのじゃ。残念じゃが出せるのは二人分までじゃ。妾は妥協したくはないのじゃ。堪忍せい。」
「なんだこの!意識高い系めぇ!!」
いいんだ!俺は俺で今ハヤリのグルメを堪能するから!食べまくるから!俺は店までダッシュした。
「おお、忘れておった。帰りにテイクアウトで妾の分も買ってくるように!」
知るかああ!ていうか、どんだけ食い意地張ってるんだ。
「うわあ!メチャクチャ混んでるよ、コレ!」
店の前には長めの行列ができていた。遠くからではわからなかった。でも、見てたら意外と前に進むのは早かった。回転率がいいのだろうか?
「おし、あと少しだ。」
もう一歩と言うところまでやってきた。ワクワクするな。腹はおもいっきり減っている。準備は万全だ。
「ちょいと、邪魔すんでえ!」
厳ついオッサンに割り込まれた。ずるい!こっちはちゃんと並んでるのに!邪魔するなら帰って!
「なんや!オッサン!何、割り込んでんねん!」
後ろから独特な口調の怒号が飛んできた。迫力は割り込みオッサンと負けず劣らずと言った所か?どんな人なんだろ?恐る恐る振り向いてみた……。
「豚じゃねえかあぁ!!」
「誰が豚やねん!」
豚がそこにいた。イヤ、ホント。毛むくじゃらの豚が真後ろに立っていた。
「豚ちゃうわ!猪や!……それより、オッサン、はよどかんかい!」
「なんだ、コラぁ!文句あるのか!」
「なんや?自分?ケツの穴から手ぇ突っ込んで、奥歯ガタガタ言わせたろか!」
豚の人はすごい勢いでまくし立てた。割り込みオッサンも怯んでいる。言葉の意味は良くワカランがとにかくすごい迫力だ!
「ひいい!お助けエエ!!」
オッサンは逃げていった。ビビりすぎだろ。そんなんなら、最初から割り込んでくるなよ。
「ホンマ、最近はしょうもないヤツが増えよったな。しゃらへんわ、ホンマ。」
「あの、ありがとう。助かりました。」
「かまへん、かまへん!当たり前のことしただけやで。」
俺の返礼にも気さくに気にするなと言わんばかりに気前よく振る舞っている。か、かっけえ!……豚だけど。
「おう、兄ィちゃん!ワシらの番やで。ついでやから、一緒に食べよか!」
「ガツ丼、ニクニクマシ、メシモリモリで!」
「こっちはゴチ丼、ジバラビリビリ、ピタリワン、グルグルナイでお願い!」
「あいよぅ!!」
店の中では何やら不思議なワードが飛び交っていた。全く意味が理解不能だった。わかるのは注文をしているということぐらいだ。
「あの、みなさん何を言ってらっしゃるんですかね?何言ってるかワカンナイ。」
「なんや?兄ィちゃん、初めてか?ええで、ワシが教えたるさかい、安心しぃや。」
「オナシャス!」
よ、よかった!一人だったら、一体どうなっていたんだろう?謎の魔法詠唱に失敗して、LOSTしてしまっていたかもしれない。
「じゃあ、俺、行きます!ゲリ丼、バリバリ、ベリベリキュー、マッシモンで!」
「何言うとんねん。意味わからんわ!おもろいな、自分!ナイスボケや!」
ワケワカランから適当にそれっぽく言ってみた!でも、なんか褒められたっぽい。何が悪くて、良かったのかわからない。
「まあ簡単に言うとな、料理の名前の後に付くのは、盛り方とか、トッピングの付け方とかや。」
「盛り方?トッピング?」
「自分、初心者やろ?せやったら、悪いこと言わへん、ガツ丼、ニクマシ、メシモリぐらいにしとき。」
「じ、じゃあ、それで!」
「あいよ!んで、猪の兄さんは?」
「ワシはガッツ丼、ニックゴリゴリ、メシバクバク、あと、ゴッツン・ゴーを付けてえや!」
「おお、やる気か、兄さん!久々に来たな、チャレンジメニューが!!こっちも腕が鳴るぜ!」
「オウ!前の記録、塗り替えたるで!」
周りからどよめきが起きる。中には立ち上がって、豚の人の姿を見ている。チャレンジ?一体、これから何が起きるのか?
「ガッツ丼とガツ丼の違いって何?」
「ガッツ丼はガツ丼のスペシャルバージョンや。メニュー名が似とるさかい、オーダーミスも多いんや。初心者が陥りやすいミスなんやで。」
なにそれ!罠すぎる!知らなくて、ヤベーもんが来たら大変だ!そうなると最悪、詰む。ベテランと一緒になってよかった。
「あとに続いた言葉も変わってたような気がするけど?」
「ああ、アレは要するに超爆盛り言う意味や。あそこまでするアホはなかなかおらへん。ワシ以外はな!」
この人、超大食いなのかな?ヤバイ注文しといて、すごい余裕そうだ!ひょっとしてすごい有名人だったりするんじゃないだろうか?
「ホレ、言うとる間に、兄ィちゃんのが来たで!」
さっき注文したばっかりなのに、意外と早かった。器に盛られた米と肉がやってきた。割と大きい。食べきれるだろうか?
「気にせんでええで。先食べとき。ワシのは時間かかるさかい。」
「じゃあ、遠慮なく。イタダキマス!」
とにかく、腹は減っていたので、すぐに食べ始めた。……ウマイ!やっぱり、携行食糧とはワケが違う。これならいくらでも食べられそうだ。
「おお、ええ食いっぷりやな。ガッツ丼でもいけたんちゃうか?」
いやいや、無理っす、先輩。これを食い切るだけでも精一杯っす!空腹がそうさせてるんです。
「ヘイ、お待ち!ガッツ丼スペシャルチャレンジバージョンマックス!」
「……!?」
それは 飯というには あまりにも大きすぎた。
大きく 大量に 重く そして 大雑把すぎた。
それは 正に 絶壁だった。
「な、なんじゃこりゃあああ!!」
大きすぎる器に大量の米と肉!それが壁のようにそびえ立っていた。コレ、食べれるの?食べ物なの?
「ついに来おったな!……さあ!遊ぼ!」
豚の人は立ち向かっていった。あまりにも無謀な挑戦に。勝てるんだろうか?こんな人知を超えた怪物に。
「あ、スンマセン!俺がさっき食べたヤツを一つ、テイクアウトで!」
「あいよ!どうもごひいきに!」
死闘は終わった。そして、豚の人は記録を塗り替えた。絶壁が消え失せたのだ。あとは器だけが残っている。
「ゲフゥ!……ああ、最後の方はちょっとやばかったけど、なんとかなったわ。」
「それでも、なんとかってレベルなんすか?」
「せやで。そういうもんや。ゴッツン・ゴーがあったさかい、なんとかなったんやで。」
尋常じゃない食べっぷりだった。プロだ。まさしく、プロだ!きっと、名の知れた人物に違いない!
「自分、テイクアウト頼んどったけど、帰ってから食うんか?」
「それはさすがに無理かと……。いや、友達にね、頼まれてたんすよ。他の店で食べるからって。」
「ほう、そら、なんとも豪気なやっちゃな!食べた後に、ガツ丼食うんかい!」
「そうなんすよ。それはそれは、大変な食いしん坊でして。それはそうと、俺をほったらかしにして、高級店に行っちゃったんすよ!」
「そら、災難やったな!……せや!ココの勘定、兄ィちゃんの分、払うといたるわ!」
「ええ!いいんすか?世話になってばっかなのに。」
「かまへん、かまへん!今日は気分ええさかい、まかしとき!」
なんとも気前のいい人だ!男ならこんな風になりたいな。そこに痺れる。憧れる!
「あいよ、ガツ丼テイクアウト一お待ち!」
「サーセン!」
「ほな、行こか!」
俺たちは店から出てきた。
「いやあ、ゴチソウサマデシタ!」
「かまへん、かまへん!兄ィちゃんが楽しんでくれてたら、それでええねん!ワシの心はそれでお腹いっぱいや!」
「じゃあ、俺はこれを持ってかないといけないんで!」
「せやな。はよ持っていったりや。冷めたらまずうなるさかい。……兄ィちゃん、結構、ええセンスしとるわ!楽しかったで!」
楽しんでくれてたのか。むしろ、こっちが楽しませてもらってたくらいなのに。
「ワシもこれから用事あるさかい、行くわ。ほな!」
豚の人は足早に去って行った。きっと仕事で忙しいんだろう。……しまった!名前聞くの忘れとったわ!……ありゃ?心の中の口調まで影響されちゃった!
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