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第3章 迷宮道中膝栗毛!!

第88話 秘密の女子会♪

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「フルコースを頼む。それから、ゴッツン・ゴーも出してくれい。」


 私たちは高級店にやってきていた。サヨさんのお気に入りのお店があるということで。こんなお店、両親にも連れてきてもらったことない。一体何が出てくるんだろう?……それと、ゴッツン・ゴーって何だろう?


「たまにはこういうのも良かろう。特にそなたはまともな生活など、しばらく無縁じゃったろう?」

「え、ええ。」


 体内のデーモン・コアの力が強くなってからは人間らしい生活を送ってなかった。殺処分、実験の対象等、まともな扱いを受けてなかった。食事も……当然まともな物は与えられなかった。


「でも、勇者様が気の毒です。おいしい物を食べられないなんて。」

「いいんじゃ、彼奴は。男はガツ丼で十分じゃ。それに、彼奴はこの店にはあわん。ドレスコード的にもな。」


 ドレスコード?店に入る直前に魔法で衣装チェンジしたのは、そのためだったんだ。でも、勇者様も同じようにすれば良かったのでは……。


「彼奴は服装を変えただけではどうにもならんのじゃ。どうにも彼奴は芋臭くてのう。妾の力でも彼奴の庶民臭さはごまかせんのじゃ。」

「エェ……!?」


 酷いよ、サヨさん。いくらなんでもあんまりじゃ。確かに勇者様は親しみやすい感じがするけど、臭くはないと思います!


「まあ、予算的に足りぬ、という理由もあるがのう。妾はどうしても妥協はできんのじゃ。ここの料理は絶品じゃからの。」


 この人、ホントに食べるの大好きなんだ。旅の途中でも、勇者様の料理に点数を付けて批評してたし。点数が高い日もあれば、低い日もあった。全部おいしかったと思うけどなあ。


「今は彼奴のことは忘れろ。今のこの場の雰囲気を楽しむがよい。」


 勇者様、ごめんなさい。私、サヨさんとの女子会を楽しみます!……あ!早速、お料理が来ました!


「お待たせしました。前菜とゴッツン・ゴーでございます。」


 エェ……!?これがゴ、ゴッツン・ゴー?衝撃です!全然、想像が付きませんでした……。
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