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第4章 勇者の剣と剣の巫女
第217話 猪突猛進!
しおりを挟む「ヴァル様、一大事です!魔王軍が攻め込んで来ました!」
「ほう。」
兵の一人が報告にやってきた。魔王軍の動きが活発化し始めたという情報が発覚してから数日後、突如、それはやってきた。大胆不敵にも我らドラゴンズ・ヘブンの本拠地へと魔王軍が攻めてきたというのだ。
「ヴァル様!」
「慌てずとも良い。十分想定していた事態だ。私直々に対処するとしよう。」
さすがはヴァル様。私でさえ想定できなかった魔王軍の動きにも冷静に対処なさるなんて。
(ボガァァァァン!!!!)
いきなり壁の一部に大穴が空いた。一瞬何事かと思ったら、黒く大きな猪が姿を現した。夥しい獣臭を漂わせ、どす黒く汚らしいオーラを纏った獣だ。
「グヘヘヘ!悪い、悪い!ついつい勢い余って突っ込んじまったわ!」
その獣は下品な笑いを上げながら、不躾な態度むき出しで私たちと対峙した。
「貴公、魔王八傑のガノス・グルンブル殿とお見受けするが、間違いないな?」
「なんでえ!俺のことを知ってやがるとは中々筋がいいじゃねえか!」
やはり魔王か。私はデーモン共が嫌いだ。世間的には間違いなく強者で人間達にはおそれられてはいるが、下品極まりない輩だ。それ故、生理的に受け付けない。反吐が出る。
「気に入ったぜ!それでこそ潰し甲斐があるってもんよ!」
「それはよかった。我が居城に正面から押し入ってきた貴公の勇猛さに敬意を表して、私直々に相手をするとしよう。」
獣風情とは対照的に流麗且つ洗練された態度で歴然と対処するヴァル様がより際だった。ヴァル様の前では何者であろうと陳腐な存在になる。
「それじゃ行くぜ!挨拶代わりの……ブチカマシだぁ!」
猪はヴァル様が相対するとわかるやいなや、頭から突撃してきた。全く以て、品のない攻撃だ。ヴァル様とは比べるべくもない。
「……!?」
猪はヴァル様の目前で停止していた。停止してはいるが、前傾姿勢で勢いはまだ死んでいない。不自然な体勢になっていた。
「何だ!?どういうこった!?」
ヴァル様は一度たりとも動いてはいなかった。それでも、ヴァル様が猪を止めているということは理解できた。
「貴公、私の力が見た目だけの肉体で構成されているとでも思ったのかね?私は竜帝の力を取り込んだ。それ故、肉体以上の範囲の魂を擁する事となった。」
「何が言いてえんだ!さっぱりわからねえ!」
「貴公は私から迸る魂の斥力のみで押さえれているのだよ。よって、今の私は何の防御行動も行使してはいない。私が存在しているというだけで、貴公の攻撃を押し留めているのだよ。」
ヴァル様は日々鍛錬を欠かさない。それは勇者や魔王に勝つためだけではなく、名実共に世界の覇者となる為。
「そんな事があり得るかよ!……こうなったら、最大最強のヤツをブチかましてやるよ!」
魔王と言えど、所詮は獣ね。自分の力が及ばないことを理解できないみたい。憐れすぎて何も言えないわ。
「魔王の一撃!猪突直進攻!!!」
(ドン!!!!!!!!!!)
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