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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】
第291話 冷静に見極めろ!
しおりを挟む「どおっせぇぇい!!!」
(ズゥウン!!)
「グロッガ!!!」
僕とヴォルフさんの二人で巨体重装タイプのゴーレムと戦っている。ヴォルフさんは自分の三倍以上ある相手を面と向かって押しとどめている。僕は手数で攻めているが、牽制にすらならず、突進や盾での殴打を避けるだけで精一杯だった。
「このままでは埒があかない。決定打が見えてこない!」
侍さんやMrs.グランデのアドバイスは聞いた。でも、あのお二人は常人を遙かに超えた力の持ち主なので、僕の実力では再現できそうにない。速さも手数も追いつけない。
「赫灼の雨!!」
追従剣を展開し、自分も斬りかかることで相手を無数に切り刻む。普通の相手なら瞬時に細切れになるか、無数の火の粉と化して燃え尽きる。でも、目の前のゴーレムには傷一つ付けられていない。
「心が折れそうだ。僕の全てが通用しない相手に勝てるはずがない。」
もう弱音しか出てこない。こんな姿を見たらお嬢さんは何て言うだろう? 少なくとも今の自分は彼女に相応しい人間じゃないのは確かだろう。
「おいおい、もう諦めちまうのか? そんな事じゃクルセイダーズ失格だぜ?」
「ファルさん!」
振り向くとファルさんがいた。ここにいるということは……弓兵型を倒してきたということになる。
「もっと冷静になりな。良く観察しろ。お前の攻撃は完全には無効化されていない。」
相手の体は強固な上に攻撃を無効化する能力がある。無効化能力発動時は黒い霧のような物が攻撃を遮る様に現れる。そう、現れるはずなんだ。思い返すと僕の技の合間にはあまり出現していなかったような気がする……。
「気付いたか? お前の攻撃の速さにヤツも対応しきれていないんだ。あとの課題は攻撃の重さをどう稼ぐかだ。」
攻撃は何度か当たってはいる。赫灼の雨は切れ味を補うために火炎魔術を纏わせている。でも効いていないのは、相手の装甲は魔術に対しての効果もあるのだろう。
「僕にはパワーが足りない。どうすれば……。」
相手の攻撃を凌ぎながら打開策を考えるが、何も浮かんでこなかった。それでも傍らにいるファルさんは答えを与えてはくれなかった。打開策は自分で導き出せ、という無言のプレッシャーが伝わってくる。
「どおっ…せいっ!!」
ヴォルフさんは相手の巨体を体術で投げ飛ばし、上半身を地面にめり込ませた。凄い威力だ! 今気付いたが、彼の体術に例の防御法が発動していない? ヴォルフさんの為すがままに地面に叩きつけられたということになる。自分に向かって飛んでくる物にしか反応しないのだろうか?
「彼との合わせ技、豪熱爆炎火玉弾ならどうだろう?」
スピードと破壊力を併せ持つあの技は……威力はあるかもしれないけど、相手に反応されてしまうかもしれない。それにヴォルフさんを危険に曝す事になってしまう。
「それなら、いっそのこと、僕が突撃する役割をすれば……。」
スピードも重要だが、加えて攪乱するように動けば良いのでは? 追従剣をうまく使えば、可能かもしれない。片方が復帰するまでの間にヴォルフさんの協力をもらわないと。
「ヴォルフさん! 僕を相手の頭上付近に放り投げて下さい!」
敵の巨体すら投げ飛ばせるなら、僕に対して行えばかなりの勢いが出るに違いない!
「……!? わかったでゴワス!」
彼に担ぎ上げられ、放り投げられる体勢になった。迫り来る重装兵に狙いを定め、僕は放り投げられた。同時に追従剣を展開する。
「よし、このまま……。」
相手の頭上に投げられ、その先には追従剣を待機させておいた。到達前に自信の向きを反転させ、追従剣を足場にして再び飛んだ。
「今度はあっちだ!」
右斜め下に追従剣を移動させ、同じ要領で別方向に再び飛ぶ。これを何度も繰り返し、徐々にスピードを速めていく。
「へっ、考えやがったな、アイツめ!」
ファルさんは僕の狙いに気が付いたようだ。相手の重装兵は僕のスピードによって攪乱され、微動だに出来なくなっている。スピードが一定のレベルに達した時、僕は相手の頭上で、剣の切っ先を下に向けて飛び込んだ。
「赫灼彗星弾!!」
(ズンッ!!!)
相手の脳天に剣を突き立て、ダメ押しの魔術を体内に流し込む!
「バーニング・インターフュージョン!!」
全身の関節の至る所から炎を吹き出し、重奏兵は行動を停止した。
「フン、やりゃあ出来るじゃねえか。よくやった!」
「ありがとうございます!」
よろこんでばかりいられない。残りの一体も倒して、勇者さんのところに行かないといけない!
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