悪役令嬢は自重しない!

ゆうみ

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第2話

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この世界ではチェスや将棋などテーブルゲームや音楽は現代と同じ、いやそれ以上に発展している。なのに、小説や同人誌、料理などはなぜか底辺と言っても過言ではないほど進んでいない。そう、音楽やテーブルゲームは和洋折中といったごちゃ混ぜになっているのに、羊皮紙は貴族でも正式な書類程度でしか使われておらず、平民にも植物紙が安価で出回っているのにだ。この歪な世界の現実に彼女は呆然としていた。

きっかけは前日、アナスタシアが令嬢にあるまじき言葉使いで何かよくわからないことを叫んだことだった。

(あぁ、でもまさか医者を呼ばれるとは思わなかったわね。)

すぐさま、医者が飛んできて、診察を軽くして異常がないことがわかると、皆どこかホッとしつつも証のせいで人格が変わられてしまった……!。と私が叫んでいてもなんだかよくわからない生暖かい視線を向けられ、複雑な気持ちになったのだった。
落ち着いたアナスタシアはとりあえずこの世界のことを使用人や医者に聞くと残酷な事実を告げられたのだった。 

「え、小説や物語なんてものはこの世界に存在しない?またまた冗談言わなくても。そんな~ありえないでしょ~。だって音楽も将棋もウノもトランプもあるじゃない。え?………そんな………嘘でしょ、ありえないって………」 

どうやらマジもんの冗談ではなく本気でなんのことかわからないようだった。何度言っても冗談と受け取る私に、無駄だと悟ったようで最終的に小さな図書室のような書庫へ連れて行かれ、私は残酷な事実を認めることとなるのだった。ははは、嘘でしょ……と頬を引きつらせながら呆然とつぶやく私を医者たちは生暖かい目で見つめていた。そして、まるで魂が抜けたかのように呆けた私を侍女がそろそろ昼食の時間でございますと言われるがままに、(ちなみに朝は部屋で取った)若干ふらふらとしながら案内されたのだった。
そこで待っていたのは追い打ちをかけるような現実であった。

「アナスタシア、大丈夫かい?」
「私たちやレナス先生がいるから何かあったら言ってちょうだいね。」
「アナスタシア、無理をしてないかい?」
「アナスタシア 、わからないないことがあってら私にもちゃんと頼るのよ?」
「何、これ………?」

家族が何やら温かい言葉をかけてくれたが、私は追い打ちをかけるような目の前の事実に呆然とするほかなかった。そう、目の前にあるのはただ野菜をちぎっただけのドレッシングもかけていないサラダ。かすかに血の匂いがする血抜きもまともにされていない、焼き加減も何もあったもんじゃないカッチカチのステーキ。塩水に野菜が浸かっただけのスープ。石と見間違うほどのカチコチとした黒パン。などなどだ。正直言って、酷過ぎる。ステーキは味付けをされておらず、テーブルに塩と胡椒の容器がおいてあるため、自分で好みの量を振りかけて食べるスタイルのようだった。
美食の国の日本人から見ればありえない、それだけだった。かすかな希望を探して周りを見ても当たり前のように食べ進めていた。カタカタと震える手でナイフで小さく切ったステーキを口元まで持って来るとゴクリと、唾を飲んだ。覚悟を決めて、口に入れると、かすかな希望を裏切り、とてもマズカった。ろくに血抜きもされておらず、血生臭い。噛んでも噛んでも、ろくに噛み切ることができなかった。カチャリとナイフとフォークを置くと先ほどから全然食事が進んでいない私を家族が心配そうに声をかけてくる。

「……けんな。」
「え?」

疑問の声が上がる。けれど、

「ふっざっけんなあぁぁああああ!!小説も同人誌もゲームもない上にぃ、こんなクソマズイ飯しかない世界に転生だなんてふっざっけんじゃねぇぇえええ!! ふ、つ、う!物語の一冊や二冊あるだろおぉおお!!
ふ、つ、う!文化は食から発展するに決まってんだろおぉおがあぁあああ!!魔法とかあんのにこっちの方が進んでんのにぃおかしいだろぉおおお!」

突然、ガタッと立ち上がり絶叫した私を見てポカンと為る両親と兄と姉たち。こんなの食えるわけないと再び絶叫し、とうとう
近くにいた侍女に血走った目で調理場はどこだぁあああ!!と掴みかかるとヒィイ、と情けない声をあげるのをにらめつけて急いで案内されると私は扉をビビる騎士たちに開けさせて、開口一番に、

「トップはだれだぁああ!」

と、憤怒の形相で叫ぶのだった。
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