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6章 迷路と残酷な一つの事実(10)
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「セイジは、通常の人間より肉体が頑丈なんだ。彼は肉弾戦を主とした部隊員で、こちら側には九十パーセント以上の戦闘能力が持ちこめた。そして、今回の任務で欠けてはならないのがログの存在だろう。彼なしに、暴走してしまった仮想空間内の支柱や、プログラムの破壊は不可能だ。現状の『エリス・ブログラム』は外の司令が一切通用せず、データ・ウィルスも徹底して拒絶しているからね」
エルは相槌を打ちながら、スウェンはリーダー的存在なのだろうと考えた。三人がこれまで過ごした中で、お互いの役割がしっかり確立されている様子が見て取れるような気がした。
ログとセイジはほとんどが聞き手で、大事な事を話しまとめるのは、いつもスウェンの役目のようだと把握した。
「つまり、今回の任務では、ログの持つ『破壊の能力』に頼るしかないんだ。彼の能力は『生命以外のすべての物質を壊せる』ことでね、仮想空間に反映されたのはごく一部だけれど、解明出来ていない支柱の存在でさえ、こちらの世界に反映された分の能力値だけで、ログは消滅する事が出来た」
「生命以外のすべて?」
「命を持たない物の事だよ、エル君。自然界で誕生していない、人間によって造られた機器などの構造物のこと。能力の反映値は半分だけど、現に支柱を消滅出来ている実績があるのだから、任務達成に支障はない。まぁ現実世界よりも負荷がかかるみたいだから、連続した発動になると限りはあるけどね」
スウェンがログに目配せをすると、ログが面倒そうに立ち上がった。それを見届けてから、スウェンがエルへと視線を戻した。
「いいかい、エル君。これから起こる事をよく見ているんだよ。現実世界で起こる分解反応とは少し違うけれど、仮想空間内での対象物の消滅を見ると、結局は現実世界ではないんだなぁと思える光景でもある」
スウェンは、そこで一度深く息をついた。
「――でも、ごめんね。正直にいうと、ここの支柱の様子については、僕らにとっても想定外だった。見る事が辛いなら、次に持ち越しても構わないよ」
「ううん、次には持ちこさない。俺はきっと、それを知らなければならないから」
先へ進むのであれば、必要な事は最低限理解し受け入れなければいけない。それが戦い抜く為には必要なのだと、そう教えてくれた人の言葉が、エルの勇気を奮い立たせた。
スウェンが、半ば諦めたように肯いたので、エルは呼吸を落ち着けてから支柱を振り返った。
ログが、真っ赤な血だまりの中にある支柱に向かって、進んでいく姿があった。彼の靴底には血がまとわりつき、歩くたびに跳ねた雫が嫌な音を立てていた。
中央で佇む支柱は、苦しそうな稼働音を上げ続けていた。まるで、呼吸をするたびに吐血を繰り返す生き物のようにも思えて、エルは改めてそのおぞましさに小さく身震いしてしまった。
支柱へ辿り着いたログが、左手を当てた。彼の髪や衣服が静電気をまとって膨らみ始め、支柱に触れたログの左手が青白く発光して、指先から腕に掛けて、赤黒い模様のような柄が透けて浮かび上がった。
瞬間、発生した力に反応するかのように、支柱が一度だけ大きく振動した。空間内が小刻みに揺れたかと思うと、ぴたりと稼働音が鳴り止む。
ハラハラ、と灰が風に運ばれて崩れていくような音が上した。
電気ケーブルの一番遠い先から、急速に風化するように白く寂れて、柔らかく散り散りに剥ぎ取られ始めた。それは次第に分解される速度を上げ、上空へ向けて舞い上がる白い残滓が、粉々になりながら部屋内を満たしていった。
柔らかな風が、下から巻き起こっていた。仮想空間に投影されていた物質が、粒子となってデータの中から消去されてゆくみたいだった。
白化はとうとう支柱本体にも及び、白い灰と化して脆く崩れていく。その光景を、エルは呆けたように眺めていた。ボストンバッグから顔を出したクロエも、髭を揺らしながら、つぶらな黒い瞳でじっと見据えていた。
不意に、女の子の笑い声が聞こえたような気がして、エルは顔を上げた。
崩れ落ちる支柱の白が空間を染めるよう、舞い上がる中、沢山の白く柔らかな欠片を背景に、まるでスクリーンに投影される映像が浮かび上がった。映し出される場面は大小様々で、次々と切り替わって流れていく。
小さな女の子が、両親と何事かを約束している光景。次に、遊園地で父親に肩車をされて楽しそうな女の子と、風船を持ってくれている母親のいる風景……場面は切り替わり、毎年行われた誕生日で、父親から手渡された立派なテディ・ベアが、一際大きく映った。
残された記憶のような映像の中で、おさげ髪の女の子が、しだいに少女へと成長していった。
思春期に入り、父親が突然死んで悲しみにくれた時期、ちょっとしたきっかけで家出をしてしまう。少女は悪い友達の家に泊まるようになり、そして、帰らないまま年月が過ぎ去る。
雪の降るある日、彼女が路頭で座り込んでいるところを一人の男が見付ける。男は座り込む少女の隣に腰かけて話を始めた。また明日も回って来るからと微笑んだ男は、保護指導員だった。
少女は、男の言葉に次第に心を動かされ始め、同じ年頃の少年少女たちがいる家に住み、共同生活を送った。彼女は様々な事を学び、母親とようやく電話で連絡を取るまでになった。
十八歳を迎える前の日、彼女は、とうとう実家に帰る決意をした。指導員たちに感謝を述べ、旅立ちの日まで新しい入居者たちを元気づけ、そして彼女は、子共の家から旅立った。
少女は、あまり大きなお金を持っていなかったから、帰りの駅に乗る際に、安いテディ・ベアのストラップを一つだけ買った。昔、両親にもらったテディ・ベアが懐かしかった。
『帰ろう。もう一度あの家に帰って、一からやり直す事だって、出来るはずなんだわ』
駅を降りた後、彼女はバスに乗る前に家に電話連絡を入れた。部屋はそのままにしてあるから、と母親が電話越しに言った。亡くなった父親との思い出がたくさん詰まった、たくさんのテディ・ベアや人形たちの部屋の様子を、携帯電話に贈られてきた写真越しに見て、少女は微笑みながら泣いた。
――帰りたい、帰りたい。何度も諦めてしまったけれど、私は、幸せだったあの家に、もう一度帰りたいのよ。
映像は、そこでプツリと途切れた。
気付くと、支柱は完全にその形を失くしてしまっていた。大量に舞う白い灰は、まるで少女の悲しみのように吹き荒れて、エルの耳元では、髪や衣服がバタバタと煩く鳴っていた。
エルは、舞い狂う柔らかで凶暴な嵐に、少女の心が痛いほど溢れているような気がした。セキュリティー・エリアは、支柱となってしまった人間の心で出来ているのだろう。エルは科学というものを知らないが、少女の未来を奪ってしまった事実は許せないと思えた。
帰りたいと願った少女の想いが、無くなってしまった家に帰りたいと願っていた頃の自分を彷彿とさせて、エルの胸が激しく痛んだ。いつしか、オジサンのいる場所がエルの帰る場所になっていたのに、もう叶わない寂しさばかりが募るのだ。
悲しい、苦しい、会いたい、帰りたい……――
消えてゆく支柱の少女の心は、一体どこへ還るのだろう。家族のもとへ戻るのだろうか。それとも、彼女はテディ・ベアを抱えて、天国で父親に抱きしめられる夢を見るのだろうか。
エルは、崩れ散ってゆく大量の白い塵を眺めていた。
不意に、はらはらと瞳から暖かい何かが零れ落ちて、エルは、しばらく自分が泣いている事に気付けなかった。ボストンバックから身を乗り出したクロエが、忙しなくエルの袖をひっぱり何度も鳴く。
セイジに声をかけられて初めて、エルは、自分が泣いている事に気付いた。我に返って顔を上げると、妙な顔をした三人の男と目が合った。
巻き起こる風に煽られながら、エルは慌てて袖で涙を拭った。
「――ごめん、大丈夫。何でもないんだ」
弱い自分は、早く隠してしまわなければならない。エルは、自分の願いの為だけに、クロエを連れ出したのだから。
鳴き続けていたクロエが、痺れを切らしたようにエルのコートに爪を立てた。エルは、這い上ろうとした彼女の身体を抱き上げると、柔らかな身体に顔を寄せた。クロエがエルの鼻先を一度舐め、満足げな顔で頭をすり寄せた。
「――ごめんね、クロエ。君を連れ回す俺は、きっとひどい奴なんだ。それでも、それでも俺は……」
一人にしないで。誰も、いなくならないで。ずっと傍にいて……
一人で泣き続けた夜の自分が、エルの押し込めた記憶の底で揺らいでいた。
エルは相槌を打ちながら、スウェンはリーダー的存在なのだろうと考えた。三人がこれまで過ごした中で、お互いの役割がしっかり確立されている様子が見て取れるような気がした。
ログとセイジはほとんどが聞き手で、大事な事を話しまとめるのは、いつもスウェンの役目のようだと把握した。
「つまり、今回の任務では、ログの持つ『破壊の能力』に頼るしかないんだ。彼の能力は『生命以外のすべての物質を壊せる』ことでね、仮想空間に反映されたのはごく一部だけれど、解明出来ていない支柱の存在でさえ、こちらの世界に反映された分の能力値だけで、ログは消滅する事が出来た」
「生命以外のすべて?」
「命を持たない物の事だよ、エル君。自然界で誕生していない、人間によって造られた機器などの構造物のこと。能力の反映値は半分だけど、現に支柱を消滅出来ている実績があるのだから、任務達成に支障はない。まぁ現実世界よりも負荷がかかるみたいだから、連続した発動になると限りはあるけどね」
スウェンがログに目配せをすると、ログが面倒そうに立ち上がった。それを見届けてから、スウェンがエルへと視線を戻した。
「いいかい、エル君。これから起こる事をよく見ているんだよ。現実世界で起こる分解反応とは少し違うけれど、仮想空間内での対象物の消滅を見ると、結局は現実世界ではないんだなぁと思える光景でもある」
スウェンは、そこで一度深く息をついた。
「――でも、ごめんね。正直にいうと、ここの支柱の様子については、僕らにとっても想定外だった。見る事が辛いなら、次に持ち越しても構わないよ」
「ううん、次には持ちこさない。俺はきっと、それを知らなければならないから」
先へ進むのであれば、必要な事は最低限理解し受け入れなければいけない。それが戦い抜く為には必要なのだと、そう教えてくれた人の言葉が、エルの勇気を奮い立たせた。
スウェンが、半ば諦めたように肯いたので、エルは呼吸を落ち着けてから支柱を振り返った。
ログが、真っ赤な血だまりの中にある支柱に向かって、進んでいく姿があった。彼の靴底には血がまとわりつき、歩くたびに跳ねた雫が嫌な音を立てていた。
中央で佇む支柱は、苦しそうな稼働音を上げ続けていた。まるで、呼吸をするたびに吐血を繰り返す生き物のようにも思えて、エルは改めてそのおぞましさに小さく身震いしてしまった。
支柱へ辿り着いたログが、左手を当てた。彼の髪や衣服が静電気をまとって膨らみ始め、支柱に触れたログの左手が青白く発光して、指先から腕に掛けて、赤黒い模様のような柄が透けて浮かび上がった。
瞬間、発生した力に反応するかのように、支柱が一度だけ大きく振動した。空間内が小刻みに揺れたかと思うと、ぴたりと稼働音が鳴り止む。
ハラハラ、と灰が風に運ばれて崩れていくような音が上した。
電気ケーブルの一番遠い先から、急速に風化するように白く寂れて、柔らかく散り散りに剥ぎ取られ始めた。それは次第に分解される速度を上げ、上空へ向けて舞い上がる白い残滓が、粉々になりながら部屋内を満たしていった。
柔らかな風が、下から巻き起こっていた。仮想空間に投影されていた物質が、粒子となってデータの中から消去されてゆくみたいだった。
白化はとうとう支柱本体にも及び、白い灰と化して脆く崩れていく。その光景を、エルは呆けたように眺めていた。ボストンバッグから顔を出したクロエも、髭を揺らしながら、つぶらな黒い瞳でじっと見据えていた。
不意に、女の子の笑い声が聞こえたような気がして、エルは顔を上げた。
崩れ落ちる支柱の白が空間を染めるよう、舞い上がる中、沢山の白く柔らかな欠片を背景に、まるでスクリーンに投影される映像が浮かび上がった。映し出される場面は大小様々で、次々と切り替わって流れていく。
小さな女の子が、両親と何事かを約束している光景。次に、遊園地で父親に肩車をされて楽しそうな女の子と、風船を持ってくれている母親のいる風景……場面は切り替わり、毎年行われた誕生日で、父親から手渡された立派なテディ・ベアが、一際大きく映った。
残された記憶のような映像の中で、おさげ髪の女の子が、しだいに少女へと成長していった。
思春期に入り、父親が突然死んで悲しみにくれた時期、ちょっとしたきっかけで家出をしてしまう。少女は悪い友達の家に泊まるようになり、そして、帰らないまま年月が過ぎ去る。
雪の降るある日、彼女が路頭で座り込んでいるところを一人の男が見付ける。男は座り込む少女の隣に腰かけて話を始めた。また明日も回って来るからと微笑んだ男は、保護指導員だった。
少女は、男の言葉に次第に心を動かされ始め、同じ年頃の少年少女たちがいる家に住み、共同生活を送った。彼女は様々な事を学び、母親とようやく電話で連絡を取るまでになった。
十八歳を迎える前の日、彼女は、とうとう実家に帰る決意をした。指導員たちに感謝を述べ、旅立ちの日まで新しい入居者たちを元気づけ、そして彼女は、子共の家から旅立った。
少女は、あまり大きなお金を持っていなかったから、帰りの駅に乗る際に、安いテディ・ベアのストラップを一つだけ買った。昔、両親にもらったテディ・ベアが懐かしかった。
『帰ろう。もう一度あの家に帰って、一からやり直す事だって、出来るはずなんだわ』
駅を降りた後、彼女はバスに乗る前に家に電話連絡を入れた。部屋はそのままにしてあるから、と母親が電話越しに言った。亡くなった父親との思い出がたくさん詰まった、たくさんのテディ・ベアや人形たちの部屋の様子を、携帯電話に贈られてきた写真越しに見て、少女は微笑みながら泣いた。
――帰りたい、帰りたい。何度も諦めてしまったけれど、私は、幸せだったあの家に、もう一度帰りたいのよ。
映像は、そこでプツリと途切れた。
気付くと、支柱は完全にその形を失くしてしまっていた。大量に舞う白い灰は、まるで少女の悲しみのように吹き荒れて、エルの耳元では、髪や衣服がバタバタと煩く鳴っていた。
エルは、舞い狂う柔らかで凶暴な嵐に、少女の心が痛いほど溢れているような気がした。セキュリティー・エリアは、支柱となってしまった人間の心で出来ているのだろう。エルは科学というものを知らないが、少女の未来を奪ってしまった事実は許せないと思えた。
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悲しい、苦しい、会いたい、帰りたい……――
消えてゆく支柱の少女の心は、一体どこへ還るのだろう。家族のもとへ戻るのだろうか。それとも、彼女はテディ・ベアを抱えて、天国で父親に抱きしめられる夢を見るのだろうか。
エルは、崩れ散ってゆく大量の白い塵を眺めていた。
不意に、はらはらと瞳から暖かい何かが零れ落ちて、エルは、しばらく自分が泣いている事に気付けなかった。ボストンバックから身を乗り出したクロエが、忙しなくエルの袖をひっぱり何度も鳴く。
セイジに声をかけられて初めて、エルは、自分が泣いている事に気付いた。我に返って顔を上げると、妙な顔をした三人の男と目が合った。
巻き起こる風に煽られながら、エルは慌てて袖で涙を拭った。
「――ごめん、大丈夫。何でもないんだ」
弱い自分は、早く隠してしまわなければならない。エルは、自分の願いの為だけに、クロエを連れ出したのだから。
鳴き続けていたクロエが、痺れを切らしたようにエルのコートに爪を立てた。エルは、這い上ろうとした彼女の身体を抱き上げると、柔らかな身体に顔を寄せた。クロエがエルの鼻先を一度舐め、満足げな顔で頭をすり寄せた。
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