Destiny epic

ミヤビ

文字の大きさ
9 / 11

第7話 「機械仕掛けの神」

しおりを挟む
ーー広い部屋。そこには、人が一人分だけ入れる11の小さなポッドと、その真ん中にある
翡翠の色をした炭酸水のようなものに満ちている巨大なカプセルがある。そして、その中に浮いている、「少年」の姿があった。もう長い間放置されていたのか、髪は乱雑に伸び、液体内を漂っていた。その身体から大量のコードやパイプが伸びており、それは、よくわからない機械類へとつながっている。
「これが....サイボーグ........。」
「....すげえ...」
初めに出た感想はそれだった。淡く緑に光るカプセル。それは人に見捨てられ、なおも神々しくこの地下に在る。いわばそれは、
「機械仕掛けの神...か...」
その妙な機械的な雄々しさに魅了され、その手をカプセルに伸ばす...その瞬間。
ーーサイレンが鳴り響いた。
「外部の謎の敵性存在が、code:rolandに干渉しました。これより、対象の削除と、自爆プログラムを決行します。」
「な....自爆プログラム!?」
「おいギル!あれを見ろ!」
ジークに言われて、カプセルを見ると、そこには、中の少年が苦しそうに頭を抱え、悶えていた。
「ぐ、ぅぅぅ!!うぁああああ!!」
「ちっ...奪われるくらいなら、自我を削除するってか....?そうはさせねえぞ!」
ジークは機械の元へ向かい、キーボードを叩く。
「ジーク!解除出来るのか!?」
「いや、見よう見まねだが、この際やるしかない....!ギルはもしもの時に備えて、物理的破壊を!」
「よし!わかった!」
「うおおおおお!!!!!!」
ギルバートはアサルトライフルを取り出し、銃弾を撃ち込む。ーーだが。
「くっ....効いてねえのか....?」
ガラスには傷一つつかない。それは防弾ガラスで出来ていた。
「ちくしょう!!!」
ギルバートは殴ったり蹴ったりで割ることを試みた。一方、ジークは無限に連なる文字を解読し、キーボードに打ち込む。
「削除完了まで、10秒前。9...8...7...6...」
「くそっ....!」
「頼む、間に合え!!」
「5....4...3..2..」
「「いっけええええええ!!!」」
ジークがエンターキーを力の限り押したのと同時に、ギルバートの渾身の頭突きによりーーー
カプセルは割れ、液体が漏れ出し、少年がコード類から解放され、倒れこんできた。それをギルバートが抱え込む。
「おっとと....間に合ったか!?」
「ぅ.....ぅぁ.....」
「大丈夫だ、生きてる!だが自爆プログラムの方は解除できなかった!急いで出よう!」
「ああ!」
ジークが少年を担ぎ二人はそのまま走り去って言った。
外はもう既に夜で、空には満天の星が満ちていた。暗い研究所の中から二人と少年は現れた。そしてー。
まもなくして研究所は、大爆発を起こした。元あった建物は、跡形もなく消え去り、その爆風に押され、ジークたち二人は転げた。
「....はぁ....!はぁ...!間に...合った....!」
「はぁ...!おい!大丈夫か!?しっかりしろ!」
「うぅ....ぅぁ...こ...ここは....君たち...は.....?」
「よかった...説明は後。ひとまず、俺たちはアンタを助けにきた。これから部屋に連れてくから、安心して寝ててくれ。」
そういうと、少年はそのまま、されるがままに担がれていった。
かくして、サイボーグの救出劇は終わった。ただ一人、ヒトの域を超えた存在は、ヒトである二人によって助けられたのだ。

to be continued...
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...