ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!

桜井正宗

文字の大きさ
11 / 64

第11話 帝国アイギス

しおりを挟む
 帝国アイギス・中央東。

 城を囲むように大きな屋敷は点在し、その中のひとつがライトニング家だった。建物も庭も何から何まで広い。


「こんな所に住めるだなんて……」


 ルシアを連れて、外へ向かっていた。
 国の事を知ったり、これからの事をろうと思ったからだ。


「皇帝陛下がお認めになった三大騎士ですからね。その家柄も、名声も、権力も国中にとどろいています」


 腰まで伸びる銀髪が風にれている。思わず見惚れそうになり、俺は前を向く。


「……そ、そうだな。いつかその三大騎士を超えられるといいな」


 なんて冗談のつもりだったが「ええ、いつか超えましょう」とルシアは、まるで確信があるかのようにうなずいた。

「いつか、ね」


 門を出て、久しぶりに大通りの方へ出た。
 三大騎士や騎士団などの固まっている地区を抜ければ、すぐに露店や冒険者で溢れている光景が目に入る。お祭りのような活気があっていいねぇ。


「こっちは騒がしいです」
「ルシアは、こういう雑踏ざっとうが苦手なのかい?」
「ええ、ちょっとだけ」


 はぐれないようルシアには、俺のそでまんで貰う事にした。これが逆効果だったのか、分からないけど周囲から注目を浴びた。


「……なんかジロジロ見られてる」
「レイジさんは有名人ですから」
「俺が? どうして?」
「この前、カイルさんを倒されましたから」


 ……いや、どちらかと言えば、みんなルシアを見ている。彼女は、枢機卿カーディナルだし、そもそもの容姿が一般人を超えている。

 豪華な礼服も必ずといって視界に入るし、嫌でも目立つ。


「おいおい、ルシア様だろ」「そうだよな、あのド派手な礼服」「枢機卿カーディナル!? わぁ、ちっさくて可愛いなぁ」「あの銀髪のお嬢ちゃんが?」「初めて見たぞ、あんなお人形みたいな子」「男の方は誰だ?」「さあ? 連れ去り?」「やばくね?」


 ――っておい、後半は俺が疑われてるじゃないか。まずいな、このままだとマジでそう認識されかねん。


 ので、俺はルシアの手を取る事に――う。


「……? レイジさん?」
「……その」


 迷っていると、群衆の中から男が現れた。
 コイツは……。

「おい、レイジ! この前はカイルをよくもやってくれたな!」
「あんた、ジョンか」


 カイルの悪友、ジョンだ。
 茶髪の感じの悪いヤツ。


「ああ、お前のせいで俺たちはどん底だよ。カイルは寝込んだまま起きやがらねえ。分隊長からは待機命令を下された。俺たちはしばらく動けねえし、下手すりゃクビだ。お前のせいだぞ!」


 いきなり剣を抜き、構えるジョン。横暴な。


「知るかよ。そもそものきっかけは、カイルから難癖付けてきたんだぞ。それで決闘が決まったんだ。文句を言われる覚えはねえよ」

「ンだとぉ! ……っ、ルシア様」


 ジョンが俺の背後にいるルシアの存在に気づき、顔を青くした。


「……」
「なぜお前がこの方を連れ歩いている!」

「騎士団は追い出されちまったからな。二人でこれからどう動くべきか考えようと思っていたところだ。そこにアンタが現れた。それだけの話だ」


 そう言い放つと、ジョンがキレた。


「っざけんな!! その方はケラウノス騎士団の名医だぞ。お前なんかが近寄っていい存在ではない! 今すぐ返して貰おうか」


 剣が向けられて、俺はルシアを守る姿勢に入った。この子だけは守る。けれど、ルシアが前へ出た。


「やめてください。レイジさんは、わたしの大切なパートナーです。彼を傷つけるなら許しませんよ」


「バカな。そんなクソガキのどこが良いんだ! 最早、ただの雑兵ですらない庶民だぞ! そんなヤツ、誰も必要としないし、むしろゴミですよ、ゴミ! 雑兵すらも相応しくない。あの廃棄物と一緒ですよ、そいつ!」


 むちゃくちゃ言われ、さすがの俺も怒りが込み上げてきた。そこまで言うか!?


「最低ですね……彼の事、何も知らないクセに。……もういいです、行きましょ、レイジさん」

「え……あ!?」


 自然と手を繋がれ、俺は引っ張られた。


「まて! 逃げるのかレイジ!」


 いや、逃げたくて逃げているわけではない。ルシアが引っ張るから! ……ああ、もう人混みに入ったから見失ったよ。


 まあいいか、おかげで戦わずに済んだ。
 それに手も繋げた。


 そっか、俺を引っ張ってくれるのか……嬉しいな。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

処理中です...