ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!

桜井正宗

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第27話 アクアドラゴンの経験値

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 通路を走って破棄場へ。
 背後からはバケモノと化したカイルが追い掛けて来る。まるでゾンビモンスターのそれだ。ズタズタになった身体からだからは臓物が飛び出ている。


 そんな目をおおいたくなるような光景だというのに、ヤツは元気よく動いていた。


 狂人だ――俺は、そう思った。


「よし、この角を行けば廃棄場だ」
「レイジさん、どうして廃棄場へ?」


「経験値クリスタルを作る……で、俺とルシアのレベルを上げる。ルシアは、確か今『38』だろ? 上げられるだけ上げておいて損はないさ。それに廃棄場でなら心置きなく戦える。あそこ、無駄に広いし」


 分かりましたと、ルシアは納得してくれた。

 よし、到着だ。


 中へ入って、すぐに製造スキルを発動。12個の収集品をどんどん経験値クリスタルに変えていく。その間にもカイルが向かって来ているだろう。


 はやく……はやく……・!

 もっとだ、もっと早く……!


 俺の為じゃない、ルシアの為に……!


 急げ、急げ、急げ、急げ、急げ。
 作れ、作れ、作れ、作れ、作れ。



「――――よし、成功率も高いお陰で20個出来た。今日はツイている。高レベルのアクアドラゴンのドロップ品があるとはな」


 アクアドラゴンは、この帝国アイギスより南方に棲む水属性モンスター。なぜか帝国を毛嫌いしており、度々襲い掛かってくるという。
 だから騎士達がこぞって狩るらしい。

 収集品の名は『アクアマリン』で、残念ながら価値のない宝石として認知されていた。その売価はたったの10セルしかない。その理由としては、供給過多のせいらしい。


 それほどにアクアドラゴンの出没頻度が高い、というわけだ。よって、廃棄物扱い。あんなに綺麗なのに。


 だが、おかげで経験値の塊だ。


「経験値クリスタル(アクアドラゴン)一個で『9660』もあるぞ! それが七個も製造できたから、67,620だ。この前のオーク分は売却中だからな、今はこれで我慢だ。ルシアは四個使え。俺は三個でいい」


「で、でも……」


「いいんだ。これはルシアを守る為だ」
「……分かりました。では、使わせて戴きますね、レイジさん」

 四個をいっぺんに使用し、ルシアのレベルは『38』→『42』へとアップした。まあ、経験値テーブル的に、こんなものだろう。



『――――グゥゥゥゥゥァ……!』



「来やがったか……バケモノ」


 ちょうどのタイミングでカイルが現れた。
 赤い眼光を放ち、口元は涎《よだれ》で塗れ、頭を左右に揺らしてこちらへ向かって来る。


『レ、イ、ジィィィィィィィィ……』


「黙れ、このイカレ野郎!」


 刀を抜き、応戦する。
 向こうも剣を乱暴に振り回し、刀に打ちつけて来る。なんて力だ。これはまるで、バーサーク状態のようだな。


「レイジさん! 支援スキルいきます! グロリアスブレッシングとグロリアスアジリティです……!」


 ステータス補正が上がって、移動速度もアップ。これなら、なんとか余裕が生まれ始めて来た。いける、これならカイルを止められる。


「たぁッ!」

『ガウッ!』


「このバケモノ、いい加減に沈みやがれ!」


 刀を滑らし、敵の手足を一刀両断した。
 スパッっと切れ味抜群の攻撃力を見せ、桜花の凄さを実感する俺。……ここまでだったとはな。


 これでもう動かないはずだ。


「も、もう大丈夫ですよね、レイジさん」
「ああ、手足を奪ったんだ。さすがに――」



『ゴォォォォォォォッ!』



 うそ……だろ……。
 突然、カイルに手足が生えていた。むちのように伸びて、ニョロニョロと宙を舞っていた。……おい、これはもうマジもんのバケモノじゃねぇか。何処どこのどいつだよ、カイルをここまでしやがったヤツ。許せねえ。


 けど、今は何とかしないと!


「ルシア! 他に何かないか!」



『グロリアエクソシズム……!』



 白い光が命中する。
 なるほど、不死属性モンスター用スキルか。けど、効いていない。どうやら、あのカイルは不死属性ではないようだ。


「だめでした……」
「不死でない事が分かっただけいい。ヤツは倒せるんだ」


 再び刀を構える。

 すると、異常を察知した騎士三名が廃棄場にやって来た。まずい!


「な、なんだあのバケモノ」
「心なしかカイルに見えるような」
「馬鹿な、あれが?」


「こっちに来るな!」


 警告は遅かった。
 カイルは騎士三名に振り向き、あの鞭の手足を飛ばし、男三人を絡めとった。


「ギャアアアアアアア!」
「うああああああああ!」
「なんだこりゃあああ!」


 そして、その三人と融合しちまった……。


「……と、取り込んだ……」
「……レイジさん、な、何なんですかあれ!」


 俺にも分からん。
 もはやカイルではない。
 あれはカイルだったものだ・・・・・・


 不本意ながら、殺すしかない。


「ルシア、ヒールを頼む」
「……了解です」


 男三人を取り込んだカイルの体は膨張し、顔が四つあった。手足は変わらず鞭のようにヒラヒラ動き、こちらに敵意を向けていた。


「ラティ、力を借りるぜ……!」


 刀自身の能力『紅桜』を発動した。

 桜吹雪が刃に取り巻く。


「レイジさん、それ!」
「ああ、見てろ。これはこの桜花専用奥義スキルだ」


 いくぜ……!
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