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第15話

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ガラガラ。
「よっ!」
そういって部室にやってきたのは学人だった。
「おそかったな」
「すまいな。少し生徒会の方で盛り上がってな」
「そうか、それは奇遇だな。こっちも盛り上がっているところだ」
「ん?そうみたいだな……一体なにで盛り上がっているんだ?」
そういうと学人は部室で息を切らしている女子三人を見ていた。
「内緒だ」
俺は学人に秘密にした。特に隠す必要はないのだが、まぁそのほうが面白そうだから隠すことにした。
「それよりも何を持っているんだ?」
と俺は部室のドアの前で立ち尽くしていた学人が手に持っている紙を指差した。
「あぁ、これか?これはだなさっき話していた盛り上がったことに関係しているものだ」
そういうと学人はその紙を机の中央に皆に見えるように置いた。その紙に皆の視線が集中した。
「体育祭だ」
そうそれは俺たちが先ほどまで論争を繰り広げて決着の着かなかった題材だった。
「それでいっぱい書いてあるな。何々。えっと……今年から、中高合同で競技するって書いてあるのか」
「そうだ」
「「「え……」」」
そこにいた俺含め女子二人からも声が出てしまった。あれ、中高合同で今までしてなかったのか?
「これはさっき決まってな。なかなか問題が生じるのではないかとかで反対意見などが多くてな苦労したぞ」
さっき決まっただと?
「紅羽ちゃんはしってたのか?」
「ん?いや知らないぞ。それがどうした」
俺は紅羽ちゃんを見た。顔はどや顔である。どうしてそんな顔ができるのか教えてほしい。
こいつ知らなかったな。なのにあんな論争をしていたのか。後ちょっとで無駄な戦いになっていたかもしれない。
まぁ、いいか。
「それとあと何が書いてあるんだ。えっと男女混合競技追加。ムカデ競争、玉いれ、綱引き、二人三脚……」
ん?二人三脚?
「そうだぞ。なんか知らんが、皆からの熱い要望があってな」
なぜ、それの理由が分からないんだ、お前は。ほんとに男か?
「それじゃあ、二人三脚は男女ペアってことなの」
「そういうことになるな」
ニヤリッ。
背筋がぞっとした。
女子三人が不適な笑みを浮けべているのだ。学人にわからないように。
そして俺に見えるように。
あぁ、そういうことか。
俺は、悔しそうに机に額をこすりつけた。
「ど、どうした!」
学人は俺の行動にびっくりしているようだ。
俺はまったく残念ではないのだが、女子たちにあぁいった手前こうするのが一番よさそうだ。
まったく悔しくないんだからね。
女子たちは嬉しそうに笑みを浮けべていた。
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