【完結】猫の魔術師が美男の剣士にお礼をしたら…

秋良

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13. そんなの、決まってる *



「そ、そうです! ルカスさん、アルファですよね……? このままじゃ、いろいろとまずいので……っ」

 僕がオメガだっていうのが変えようがない事実のように、ルカスさんはアルファだ。ルカスさんがアルファなのは町でも有名な話だし、僕は直接お会いしたときに「この人、アルファだ!」って気づいた。

 オメガとアルファは、互いに互いの性別がわかる。
 それはそれぞれが放つフェロモンによるものが大きいらしくて、効率よく相手を見つけるための生物的なあれこれなんだそう。僕は学者じゃないから、そこらへんはよく知らないけど。

 で、何がまずいって、僕の体は今、発情期に入ろうとしていた。月に一度の発情期がきてしまっていた。
 発情期に入ると、オメガは強いフェロモンを発して、アルファを惹きつけるんだ。そしてアルファはそれに逆らえない。オメガに誘惑されたアルファは、理性を失うほどにオメガの体内に雄を穿ち、精を注ぐ。そんなアルファをオメガはもっともっとと誘惑し続ける。

 もっと俗っぽく言うと、発情したオメガの僕と一緒にいると、アルファのルカスさんは僕を抱きたくなっちゃう。ほぼ、確実に。
 だから、この場から離れてほしかったんだけど……。

「……っ、んぅ⁉︎」

 僕が促した退室の言葉は、残念ながら無駄に終わった。
 逃げてくださいって言う前に、唇をなにか熱いもので覆われた。至近距離にルカスさんのきらきらの顔があって。夜空みたいな瞳が、僕の青空色の瞳を射抜いてた。
 それでようやく、僕の唇を覆っているのはルカスさんの唇なんだって気づく。

「はぁ……アンデシュ……っ」

 キスの合間に、ルカスさんは僕の名前を呼んだ。男の色気を含んだ声で譫言みたいに呼ばれると、僕の体は火がついたみたいに熱くなる。
 発情期はアルファと交わりたくて仕方なくなる。それがオメガの習性だから、僕にもそういう衝動がある。

 けれど、僕は恋人がいないから、その衝動を抑えるために薬を飲んでた。人によって効き目はまちまちなんだけど、僕の場合は発情期に入る数日前から薬を飲んで、発情期が終わるまで飲み続ければ、その衝動は収まる。フェロモンだって抑えられるから、人前にも出られる。町はずれの魔術堂で商売をする分には全然平気だったんだ。

 でも、今日は別だ。
 薬を飲むのをすっかり忘れちゃってたから、抱かれたいっていう性衝動もアルファを誘惑するフェロモンも抑えられない。

「あっ……ルカス、さ……んっ」

 早く離れてと言うために、キスの合間に声をかけようとして、それは毎度ルカスさんの口の中へと吸い込まれてしまう。息継ぎすらも許さないってくらいに濃厚なキスに翻弄されて、唇が離れた頃には、僕はすっかり体の芯から熱くなっていた。

「ごめん。俺、止まらない」

 謝罪の言葉を呟いて、ルカスさんは僕のボトムスを下穿きごとずり下ろした。すると、すでに半勃ちになっていた僕の性器が飛び出す。
 僕だって……もう理性なんか溶け始めちゃってたから、止めてなんて言えなかった。

 露わになった性器をルカスさんは躊躇うことなく口に咥える。その衝撃に僕は今まで上げたことのないような声を上げた。
 僕はあと数ヶ月で二十歳になるけど、性交の経験は一度もない。精通はしてるし、最低限の知識はあるから、僕は自分を立派な大人なんだって思ってるけど、実経験はないから性器を咥えられただけで混乱の境地に陥った。

「あっ! そ、そんな……ひゃぁっ」
「俺に任せておいて」

 ルカスさんはきっと僕が初めてなのに気がついてる。
 だから、そんな安心するようなことを言って。なのに、見上げてくるルカスさんの瞳は雨に濡れたみたいにしっとりと情欲を帯びていた。

「んんぅっ……あ、ぅんっ。それ……きもち、っ」

 ルカスさんの熱い口の中で、僕の性器は舌で弄ばれて、舐めしゃぶられて、ちゅぱちゅぱと吸われる。初めての口淫は僕の理性なんて簡単に吹き飛ばした。同時に、熱は体の中を駆け巡って。一際強く、ぢゅっと吸われると呆気なく、外へと迸ってしまう。

「ん……。ははっ、いっぱい出た」
「はぁ……はぁ……。ん……は、っ……」
「次はこっち。優しくはするけど、俺、我慢はできないから」

 そう言うと、ルカスさんの手は性器の裏をたどって、その奥で熱を待ち侘びていた後孔を探る。発情期のオメガは、そこが雄を受け入れやすいように濡れることは僕も知ってる。でも、そこを自分で弄ったことはない。後孔どころか、前のほうだって大して自慰なんてしないんだけど。
 それに、後孔を弄ったことがないのは、抑制する薬がしっかり効いていたからっていうのもある。発情期はちょっぴり気怠いくらいで、前で達しておけば僕は生活に支障がなかった。薬が効かない人は大変らしいけど、僕は大丈夫だったんだ。

 けど、今はもう切なくて、熱くて……猛ったものを挿れてほしいって、自然と思ってしまった。挿れてほしいのなんて、決まってる。アルファの——ルカスさんの、熱くて大きいもの。

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