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第一章 〜尾行から始まるバイオレンス〜
その7 第一部、完
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「ねえ、なにやってんの?」
「……いや、その、こいつらそんな悪いやつじゃないなと」
「なにしてたか訊いてんの」
車塚は腕を組み、悪魔のような半笑いの表情でキムを睨み付ける。俺だったらもう土下座してそうな怖さだ。それを受けてキムは下を向き搾り出すように言う。
「……すみません」
「ねえ、”なにやってたか”訊いてんのが理解できないの? 誰が謝れって言ったの? アホなの」
軽く首を傾げながら問いただす。訊かれていることは理解できるが、見ていて分かるだろうし、それが答えにくいないようであることがまるで分かっていないかのような態度。普通だったらただのアホであるだとか、どんだけ意地悪なんだとおちょくりたくなるような態度だが、それをさせない狂気がにじむ。それでもキムは言う。
「……雑談してました」
バチン! という甲高い音と共にキムがのけぞった。殴られたのだ。本来パンチが当たったときというのは漫画のような鈍い音はあまりしないのだが、鋭いパンチが綺麗に入ると、ビンタされた時の音を鋭く、大きくしたような音がなる。
これは痛いだろうと思いながらキムの方に目をやると、キムの殴られたであろう左の頬は肉がパックリと5センチほど割れていて、そこからは血がゆっくりと流れ落ちている。それでもキムは下を向いたまま、
「……すみません」
と呟いた。きっと彼はこうなることが分かっていたから何をしていたか中々答えられなかったのだろう。
「ねえ、アタシが何するように言ってたか覚えてる?」
車塚はキムに顔を寄せ問いかける。自分がやられているわけではないが、俺は怖くて動けなくなっている。別に悪いことしてないのに、命令聞かなきゃいけないってのがそもそもおかしいのに、さっき知り合ったばかりだけど、キムは多分いいやつだ。そう思うと腹が立つ。けれど動けない。ムカついて、怖くて、怖いほうが上で、でもムカつくの方がきっと正しくて、怖いを優先してしまう自分に腹が立つ。
「おい! オメー頭おかしいんじゃねえの?」
そんな時、車塚に向かって雅人が叫ぶ。彼はいつだってそうだった。どんな時でも気まぐれで、適当で、自分の失敗を反省しない。なんどひどい目にあっても態度はでかいし口も悪い。けれどそれは逆に言うと、度胸があってさっぱりとしているとも言える。そんな彼が俺はいつもうらやましかった。
「アンタにはカンケーないの。これはアタシらの問題よ? ねえ、キム?」
「……はい」
「だったらしゃきしゃき答えなさいよ? アタシアンタに何するように言ったっけ?」
車塚は再びキムを問い詰める。雅人が口を挟んだことまでもキムを責める方向に結びつける。こいつ、なんかヤクザみたいな考え方してんな。
チラリとゆーくんの方を見ると、下を向いて震えている。自分が発端なのに、俺達に迷惑をかけているとずっと気にしていた彼のことだ、キムが今殴られていることにも責任を感じ苦しんでいるのだろう。
「……」
「……っ」
ゆーくんの方を見て、『今は我慢だ』とばかりに目配せをすると舌唇を噛みながら頷く。
「……ねぇ、僕が悪いんだからキムくんは関係ないよね?」
車塚の方を向いたゆーくんは絞り出すように言う。……全く伝わってなかった。
「はぁ? 何言ってんの? これはアタシとキムのケジメの問題なの? アンタなんかに文句言われる筋合いはないわけ。それとも何なの? これでアンタの言う通りアタシがキム甘やかして舐められてなんかあったらアンタ責任取れんの?」
睨みながら返されるとゆーくんは俯きながら言葉を探す。しかしその姿はいささかキレた車塚の眼には不思議に写ったようだ。
「は? なんなの? 偉そうな事いうだけ言ってなにもうびびってんの? 言いたかっただけなの? ほら、キム庇うんじゃないの? 早く立ち上がってこっちきたらいいじゃない。ねえ」
「……」
追求をうけるもゆーくんは動けないでいる。思いつめた表情を見ていると、助け舟を出すことさえ躊躇われる。俺の中で必死で自分で頑張ろうとしてる奴は黙って見守るべきだと言う気持ちと、ただビビっているだけの自分への言い訳として使っちゃいないか? という気持ちが交差する。こんな時に自分の情なさに対して言い訳をしてしまう自分の心には嫌気が刺す。
何を恐れているのだろう? きっとその恐怖は物理的な”死”に対する恐れだけではないはずだ。見栄と罪悪感、そんな薄っぺら鋳物と根源的な暴力への恐怖が入り混じり、脳がいうことを利かない。ここに居る男たちはそんな俺をきっと許すのだろう、そりゃあ仕方ないよ、なんてね。
……けれどそれは違うだろう。俺は今どうしてここに居るのだろう。最初から関係ねーって逃げちゃえば、俺が悪かったって嘘でもいいから謝っちゃえばこんなことにはなっていない。雅人にゆーくん、キムだってこんな目にはあっていなかったかも知れない。今雅人が縛られたまま叫んでいるのも、ゆーくんが思いつめたように下を向いているのも、キムが酷く流れる血を抑えながら痛みを我慢してるのも俺のせいだ。終わらせよう、こんなことは。でもどうやって? ことの発端は車塚晶の跡をつけたこと、車塚晶はどんな女だった? 思い込みの激しい頭の悪い女だ。彼女に対してどんな対策をした? 彼女は学校では優等生ぶっている。少なくともこんな極悪な振る舞いは見せていない。だからそんな彼女の発言や行動を記録して、それを材料に脅してやろうと思ってこの部屋にカメラと盗聴器とセンサーを取り付けたけど、センサーは意味を成さなかったし、盗聴器は見つかり壊された。カメラだけはまだ生きているが、俺達を縛って転がしたのはキム達だし、車塚がキムを殴るシーンは多分写っていないし、場所が場所だけに、『襲われそうになって…』
とか言ってバックれることも出来るだろう。
「ねえねえ、立ちなさいよ、ボコボコにしたげるから」
車塚はゆーくんの胸ぐらを掴み引っ張る。
「テメー、頭おかしいんじゃねーのか? 何にそんなに執着してやがんだ? 引っ込みつかなくなってんだけじゃねーの?」
「は? 誰が執着してるって? そっちこそなに頑張って意地張っちゃってんのよ? 早く服従すりゃ痛い目見ずに家に帰れるのよ?」
何やらゴールの見えない会話を繰り広げる二人に口を挟む。
「おいおい雅人、あんま失礼なこと言うなよ」
「は? テメーいきなり何言ってんの? 失礼もクソもねーべ? こいつ無茶苦茶な事しか言わねーじゃねーか」
「いやいやいや、無茶苦茶言ってんのはワザとだろ? 意味分からん奴って強い奴よりこえーじゃん?」
「そりゃ、……まぁ」
「だからさ、ほんとは車塚だって落としどころ見つけて話つけたいだけなんだよ。ある程度俺らの意見だって飲む気でいるわけだ、よほどのアホじゃ無けりゃあふつーそうするよ。なあ?」
「え?! あー、そ、そうね、バレちゃあしょーがないわ!」
「それでも最初からそれを俺らに提示すると舐められて足元見られるから、最初は思いっきり脅すんだ。必要以上にね、キム達を従える晶さんならそれくらいやってのけるって」
嘘八百だ。最初から最後までこの女の発言は全く筋が通っていなくて勢いだけしかない。それでも今までやってこれたのは、本人の強さと怖さが頭の悪さと上手く噛み合っていたからってだけ。それできっと疑いもせず一度成功したやり方を繰り返し、ただワガママにいきてきたのではなかろうか? そう考えると必要以上に腹が立ってくる。
俺が調子よくべんちゃら立ててるところを雅人が睨んでくる。
「ちょ!…、いや、そうか」
反論しようとした雅人は俺の目を見て納得したようにそれを収めた。誰かを嵌めようとする時、俺は話しぶりが大げさになり、普段よりも自信ある風の空気感を無理やり作る癖がある。それを思い出し、俺の意図を見抜いたのだろう、伊達に付き合いは長くない。
「あ、当たり前じゃない! アホじゃあるまいし! しかしバレちゃあしょーがないわね。……かといってあんまし舐められちゃあアタシらだって無茶するってことは覚えておきなさいね!」
取り繕うように"アホ"と言う言葉に過剰反応する車塚。いやー、なんかアホって思われるの嫌いそーだなこいつとは思っていたが、予想以上にちょろいな。もうなんか俺の言った理屈に乗っかって喋ってるだけのクセしてちょっと得意げだもんね。
「わ、わかってるって、あれだろ? ホントは、こーすれば許してあげるって条件が決まっちゃいるんだけど、それを自分から言っちゃあさ、もっと緩い条件でもいけんじゃね? とか思われて文句が出るから、俺らから『〇〇するからゆるしてー』って言ってくんの待ってだよね?」
「そ、そうよ、意外とやるわねアンタ。でも、どうせアホなアンタには何をすれば手打ちに出来るかまでは分かってなかったんでしょ? アホなアンタには」
うわー、すげードヤ顔だ。目がキラキラしてるよ……。さてはこいつ、アホだと思われてないかどうかに目が行き過ぎて、自分が乗せられてる事に1ミリも気づいてないだろ。
「そーなんだよね、中々それがわかんなかったから俺達はこんなとこでふん縛られたり怖い思いしたわけだ。だから縛られてる間に必死で考えてさ、さっきやっと答えが出たよ」
俺の適当な決めつけに、頷き耳を傾けるアホ女。どうせ手打ちにするための条件なんて考えちゃいないだろう。
「なるほど、なら聞かせてもらおーじゃないの?」
ふんぞり返って腕を組むアホに俺は言う。
「それはズバリ! チ○コの写真を撮影させることだ!」
「は、はぁ? なんでそ~なるのよ?」
ぎょっとするも理由を尋ねる、思惑通りだ。
「いやさ、お前は最初、ゆーくんの弱みを欲しがった。そんで俺らはゆーくんの女装した写真を用意したが土壇場になってそれを渡すことを拒否したよな? そんでそん時お前キレた! 劣化の如く。それはお前が執拗に俺らを脅していた目的が、俺らの恥ずかしい弱みを握ることであることを意味する! 違うか?」
「そ、そこまでは当たってるわ、と、取り敢えず続けなさい。」
いやいや、当たってるわて……、思惑バラしたら舐められるんじゃなかったの? 舐められたら終わりなんじゃなかったの?
「でも、今更そんな恥ずかしい弱みなんて出てくるはずがない! 大体、自分から言い出した恥ずかしい弱みなんて嘘の可能性が高い!」
「……そうだったんだ」
小さく呟く車塚。あれバレてなかったのか。嘘の弱みだってバレたからあんなにキレてたのかと思ったのに。ならあれは単純に言ってた通り舐めた態度に腹がたっただけ? それであんな般若のような威圧感を? ……逆に怖くなってきたんですけど。
「……そ、そこで頭のいい車塚晶は考えた。ならば今から作ればいいと、その恥ずかしい弱みってやつを!」
「……わかってるじゃない」
ヒクついたしたり顔でニヤリと言うアホ女、……アホ過ぎて怖いんですけど、人ってあんまり殴ったら死んじゃう事とかマジに知らなそう、マジに怖いんですけど。
「そしてそれは俺らに訊いて答えるような恥ずかしいものじゃ物足りない! 弱い! 嘘くさい! ならば問答無用で恥ずかしいものってなんだ? それはチ○コだ! それも縛られながら無理やり晒されるチ○コだ! それを見越して頭のいい車塚晶はこんな場所に俺らを呼び出した、いや、呼び出すようしむけた! いや、実際恐れいったよ、ヤバそうなやつたくさん集めて追い回されたり、急にキレて胸ぐら掴んで凄まれたりするのもチ○コへの伏線だったとは、それも知らず俺達はノコノコと」
頭がいい、してやられたをことさら強調して弁を回す。……ちょっとやりすぎたかな?
「ふふん、そうでしょーよ、アホな奴ってのはホント行動がワンパターンなんだから」
今度は純度100%のしたり顔でドヤっている。……ちょっとうまく行き過ぎて恐ろしくなってきたんですけど。ていうかこんなバカはこの世に車塚晶1人にほかならないはず。
……ていうか、いくら打ち解けたとはいえ車塚晶の舎弟的なポジションのキム、ギョロ、宮脇は親分がここまでコケされて黙ってないんじゃなかろうか? 思い付いて得意になりすぎて今の今まですっかり忘れていた。これじゃこのアホ女と一緒じゃないか。先程から口を挟んでは来ないが場面が来たら俺をやってしまおうとしてるんじゃ……。
恐る恐る奴らの方に顔を向けると、三人とも下を向いてプルプルと震えている。怒りがそろそろ最高潮に達し、……そうなのではなくこいつら笑いを堪えてやがる。全く冷たい子分どもだ、……いや、いつも偉そうにしてる奴がここまでアホだったら誰でも笑うな。笑いを堪えているあたり相当な忠誠心と言えよう。
「……悔しいけどまんまとハメられたよ、ハメるわけでもないのに女の前でチ○コを晒すことになるなんて、……くそう、一生の不覚だ」
吹き出してしまいそうな心を無理やりねじ伏せて悔しそうな声色を作りながら言う。
「ふっ、なによ、うまいこと言ったつもり? こうなったらもう遅いんだから、諦めてチ○コ出しなさい、キム! こいつらもっかい後ろ手に縛ってズボンとパンツ下ろしちゃいなさい?」
「ふっ…は、ふぁい!」
鼻から勢いのある息を小刻みに吐き出しながら返事をしてこちらに近づいてくるキム。顔は真っ赤だがもう少しだ、全てが終わったら思い切り笑い転げられるんだ、だから頑張るんだ!
キムは俺達の前に来ると、顔を下げたまま
「……ふぁるく思うなよ」
もはやマトモに喋ることも出来ないまま俺たちを結束バンドで一人ずつ後ろ手に縛っていく。
それが終わると俺の下をすべて脱がし、俺のマーズ系入ってるジュニアをポロリと露出させると、次はゆーくんのレッドスネークヘッドをポロリさせる、……ゆーくんでけぇ。
そして雅人も脱がせてダブルエックス(雅人自作の勃起がバレないための革製の拘束具)だけの状態にした。
「ふぐぉっ……ごほっ、かはっ」
キムはプルプルと震えたままむせ始める。
「テメー笑ってんじゃねーよハゲ!」
「い、いや、そぉの、これは一体、いや、ふぐっ、やっぱ言わなくていい」
今まで笑いを堪えていたキムは雅人の拘束具でトドメを刺されかかっている。いや、気持ちはわかるよ? 笑っちゃいけない場面で面白くなってきた時って、ほんとしょーもないことでもメチャ面白いからね。……けど頑張れ!
「あ、キム、そいつはそのままでいーわ! その方が完全に恥ずかしいでしょ?」
「テメェ……」
「ふん、そんな恥ずかしいもの付けてるアンタが悪いんだっての」
悔しそうに俯く雅人に得意げな笑みを向ける車塚。雅人ナイス演技! ……あれ、こいつマジで悔しがってる?
「あははは、ほんとに情けないわねあんたたち! もう好きにしてー、チ○チ○好きにしてー、って感じね? これ広めたらあんたら人気者ね」
「ちょ、広めるのか? 広められたくなかったらって感じの取引じゃないの?」
「あたりまえじゃない、あんただって気づいたんでしょうが、取り敢えずこれ晒して、それでも由美に近づくようなら今度は本当に殺すに決まってんじゃない? アタシが甘い顔見せたら舐められるからとことんやる女だったって、その様子じゃそこまでは見抜けなかったようね? ふふん」
「くそ……」
ニヤニヤとしたアホはスマホのカメラを起動させこちらに向ける。それを見た雅人とゆーくんが不満げな視線をこちらに向けてきたので、俺は片眉を上げ、底意地の悪い目線で頷き返すと、二人は少し不満を残しながらも頷き返してくる。
「なに合図してんのよ? もう逃げようったって無駄よ? それにしてもあんたらキモいチ○コね? まあいいわ、はい、チー……」
「あ、ちょっと待って?」
脇を閉じたり開いたりもぞもぞとしながら待ったをかける。
「何よ?」
期限悪そうにこちらを向くアホは放っておいてキムに言う。
「なあ、一瞬でいいから腕解いてくれない?」
「は? 何言ってんのよ?」
「いや、ほんとすぐだから、ションベン漏れそうなんだよ? 車塚さんだって俺の放尿シーンなんて見たかないだろ?」
今度は下半身をモジモジとさせながらいう。
「……何か企んでるわけ? ……まあいいわ、今更暴れだしても殺すだけだし、キム、解いてやりなさい、そんで暴れだしたら尿道に釘かなんか突っ込んでやりなさい?」
「ウス」
キムがパチリとニッパーで腕を縛るバンドを切ってくれる。俺はすかさず上着からスマホを取り出し操作すると、画面を車塚の前に突き出した。
「ちょ……、何これ……」
凍りつく車塚晶、それもそのはずだ。俺のスマホに写っていたのはチンコ丸出しの俺たちに、ニヤニヤしながらスマホを向けるアホな女子高生の姿。その嬉しそうな表情までバッチリと撮れている。
俺はここで話し合いを始める前、天井のライトに隠しカメラを設置しておいた。そのカメラは俺の上着のポケットにあるスイッチがシャッターとなっており、さきほどそのシャッターを肘で押したのだ。また、このカメラで撮影した写真は自動で俺のクラウドに保存される仕様で抜かりは全くない。
「いやー、どうよ! よく撮れてるだろ?
男子高校生を監禁してどす黒い性癖をぶちまける淫乱女子高生ってか……っ! 」
言いながら強い視線を感じ車塚の方を見る。
「こ、……殺す」
車塚の顔は瞬時に今まで見た事もない恐ろしいものに変化し、思わず俺は固まった。般若のような顔だとか、人を貫いて殺しそうな視線だとか揶揄できているうちは人は本当に恐れてはいないのだと実感させられる。その視線に捉えられると、先程までの調子に乗ったテンションは跡形もなく消え去り、ただ単に『殺される』という想像だけが頭に浮かび思考が止まりそうになる。……返事をしなければ殺される、それだけをやっと考えられる状態で必死に言葉を絞り出す。
「あ、い、いや、そ、そ、そじゃ、な、……なく、なく」
「何? ちゃんとしゃべりなさいよ? おい!」
ここでビビっては全てが水の泡。逆にここで冷静に話を進められればまだ交渉の余地はある。わかっちゃいるが身体と頭がうまく動かない。
チ○コ丸出しのまま車塚に胸ぐらを捕まれガクガクと揺さぶられながら、なんとか平静を取り戻せるよう務めるが、一度脳裏に浮かんだ、死ぬかもしれないという想像が思考を停止させようとする。
「あ、晶さん」
「何よ? あ、ちょっと待って」
キムが車塚に呼びかけると、ピリピリとした空気を纏いながらも、俺に詰め寄ってる時よりは幾分か人間らしい声で返答すると、手に持っていた俺のスマホを床に落とすとぐしゃりと踏み潰す。……おいおい、まだローン残ってるのに。
「あの、もうちょっとこいつの話を聞いてやっては?」
「なんで? 写真のデータも消去したし、改めてチ○コ撮るだけよ?」
「いえ、多分データはまだ残っています」
俺が説明しようとしていた事を話し始める、ナイス!
「は? どこに?」
「多分、カメラからスマホへ写真を送る際、ネットを経由してるんじゃないですかね。あくまで予想ですが、そのデータはカメラから健二のスマホへ直接送ったんじゃなくてクラウドに保存して、それをスマホでダウンロードしたんじゃないかと」
大当たり、こいつ、ハゲのくせにそういうの詳しいのかよ。流石は工業高校生の電気化だね。
「は? クラウド? じゃあアンタそれ壊してきなさいよ?」
「いや、あの、クラウドは機械とかそんなんじゃなくてネット上のサーバー内に……」
「は? アンタ舐めてんの?」
車塚はキムの胸ぐらを掴んで持ち上げる。……こいつキムにやたら厳しくない?
「おい、キム!」
「ん、どうした?」
二人のやり取りを見ていて、幾分か精神の落ち着いた俺がキムに呼びかけるとフツーな感じでこちらを向く。やはりこいつは俺の作戦を潰そうとしてではなく助け舟的な意味で口を挟んだようだ。
「スマホ貸してくれよ?」
「ほらよ」
胸ぐらを掴まれて宙に浮いたままポケットからスマホを取り出し渡してくれる。俺はそれを操作して、また画面に先程の画像を表示させ車塚に見せる。
「は? ちょ! ……キム! アンタもグルか!」
「ちょちょちょ……! 待って苦しい、死ぬ、死にます!」
「違うっての。誰のスマホからでも見れるんだって! 取り敢えずキム離してやってよ」
俺が言うと、車塚は片手でキムを持ち上げたまま、もう片方の手でスマホを差し出してくる。その姿を見て俺は喉がきゅーっとなってくる。
「じゃ、アタシのスマホにもその写真写せるわよね?」
「……ああ、できるよ」
先程と同じようにスマホを操作し、車塚に渡す。
「ちょ、……あるじゃないの? なんで? あんたインターネット作ってる人なの?」
「……違うって、詳しくは説明できんけど、写真は俺がパスワード入れてわざわざ消したりしない限り俺はいつでもどの端末でも表示させられるんだよ。どこかのサイトにアップしたわけじゃないから今は俺しか見れないけどね」
「ふーん、なんかよくわかんないけど引き続きアタシを脅そうってわけね? もう腹は括ったわ。ばら撒くならばら撒いたらいいじゃない? そのあと殺すだけだし」
ふむ、やはりそうきたか。いくら頭が悪くても、相手に対して絶対に引かないその精神力は大したもの、俺にはとても真似できないや。最初はこいつにムカついてしょーがなくて、なんとかギャフンと言わせてやろうと思ったけど、今はこの場を生きて切り抜けるだけで精一杯か。
「いや、別に言いなりになれとかゆーくんの件には目を瞑れって言うんじゃないんだ。ただ、もう一度由美ちゃん呼んで話してみてくれないか? 俺らと車塚、そんで由美ちゃんも一緒にいる中で話し合って欲しいんだ、その結果やっぱ許せないってんならそれはまたその時考えるっていうかさ」
ならせめて、誤解を説いておきたい。ゆーくんはヤバイやつじゃないし、ストーキングしてないって話を俺らに嘘もついていないはずだ。感情がすぐ顔に出て、気ぃ使いーなこの男が、別に悪いことはしちゃいないはずだ。それをせめて証明したい。勘違いしたままでも、弱けりゃ勘違いされる方が悪くて、やられりゃやられっぱなし。そんなのムカつくから、せめて自分が何をしたのかくらいは思い知らせてやりたい。
「ま、いーわ。そんでこいつがいかにキモくて最低だかわかったら躊躇いなくしばけるし。 キム! 電話して」
「ウス!」
2
車塚に命じられ、キムが由美ちゃんに電話してから30分、ドアがバンと開いた。
「晶さーん、どーしたんすか? ケンカっすか?」
ドアから入ってきた由美ちゃんは上下グレーのスウェットにクロックスと言う出で立ちだ。髪も明るい茶色に染まっていてモロにヤンキーなファッションセンスだが、その顔立ちは少しおっとりした感じでわりと可愛らしい。
「アンタ、もう一度詳しく話してくれない? コイツのこと」
そう言いながら車塚がゆーくんの方を向いて顎をしゃくると、由美ちゃんは一瞬ハッとすると、とてとてとゆーくんの方へ歩いていき、
ひしっ!
……抱きついた。
「「「え?」」」
ん?
「あ、アンタ、何やってんの?」
「どーしたのゆーくん? なんで縛られてるの? どこも痛くない?」
由美ちゃんはショルダーバッグからニッパーを取り出すとゆーくんを拘束する結束バンドをプチプチと切り離す。……なんで女子中学生がニッパー持ち歩いてんだよ。
「いや、大丈夫だよ、ありがとう」
そう言いながらゆーくんが由美ちゃんの頭をポンポンと擦ると、彼女は顔を赤らめる。
「えへへー、……あいたっ!」
車塚がそんな由美ちゃんの後ろ頭をゴンと殴り、振り返った彼女をギロリと睨みつける。
「アンタ、どーいうことよ?」
「え、何がですか~?」
「コイツにストーカーされてたんじゃないの?」
「なんすかそれー? あ、なんかそんな感じなこと言ったかも? あれっすよ~、ゆーくんって高校の時尖った感じでもっとかっこよくて~、私が話しかけてもそっけなくて~、でもなんか大学入ったくらいから優しくなっちゃってー、それは嬉しいっちゃ嬉しいんすけどね? そんでなんか前よりはストーカーチックってゆーかね? そんな感じの意味っす!」
「……アンタ、他にもキモいだとか、色々言ってなかったっけ?」
頭を抱える車塚。もしかしなくてもこの由美という女、車塚と同じくらいにはアホだ。
「それはですね、昔はあんなにかっこよかったゆーくがっすよ? なんか前よりなよっちくなって~、なんかそれってキモくないですか? いや、もちろん今でも超かっこいいっちゃいいんすけど~、なんかキモく……ゴファっ!」
話し終わる前に車塚の完璧なボディブローが由美ちゃんの脇腹にめり込んでいた。
……それ、女の子に絶対やっちゃいけないパンチだろ。
3
「由美ちゃーん、調子どう?」
「いやー、お陰様でだいぶもういい感じっすよ。あ、梨剥いてくれません?」
「はいよー」
ここは近所の市民病院。ここに今由美ちゃんは入院中だ。車塚に殴られて肋が2本折れ、もう少しで肺に刺さるところだったらしい。あれから2週間が経ち、そろそろ痛みも落ち着いてきたみたい。
「しかしあの女ヒデーよなー、確かに由美もバカだけどあいつだって無茶苦茶バカだってのにな? バカな奴殴る資格ねーんだっての」
「あー、まーさん! バカとか言わないで下さいよー! まーさんだって毎日エッチことしか考えてないじゃん!」
「バカヤロー! 俺の崇高なる性欲をバカにすんじゃねーよ。頭よくないと気持ちいいオナニーとかできねーんだぜ? 毎日頭フル回転だよ! 例えばだな……」
「やめてくっさいよ~、そんなきちゃない話聞きたくないっすよ」
あれから車塚はしゅんとして、「……悪かったわね」と一言残し、その場を去っていった。
あれだけのことをしておいてそりゃないんじゃないの? とも思ったが俺はどうやら自分で思っている以上にビビっていたらしく言葉も出ず、動けもせずその場にへたりこんだ。
バカなことは罪なのだろうか? ヘタレなことは罪なのだろうか? 何が悪いかわからないまままた日常に平和が訪れた。
本当は誰も悪くはないのかもしれない。けれども人と人の間に悲しいことは起こってしまうのだろう。なんにせよ、ひどいことにならずかたがついて良かったが、スッキリとしない気持ちも少しは残っている。
けれども俺はこれからもこいつらと関わり、まだ見ぬ誰かと関わりながら生きていくのだろう。
誰かと関わるってことは、なんてものに答えはでにいけど、自分とは違う他者と認めたり許されたりするってことが嬉しいってのはわかるし、なんだか楽しいんだ。
またそのうち悲しいこととか腹立つことは起こるのだろう。
しかし今はそんなことは忘れて今を感じていたい。
「……いや、その、こいつらそんな悪いやつじゃないなと」
「なにしてたか訊いてんの」
車塚は腕を組み、悪魔のような半笑いの表情でキムを睨み付ける。俺だったらもう土下座してそうな怖さだ。それを受けてキムは下を向き搾り出すように言う。
「……すみません」
「ねえ、”なにやってたか”訊いてんのが理解できないの? 誰が謝れって言ったの? アホなの」
軽く首を傾げながら問いただす。訊かれていることは理解できるが、見ていて分かるだろうし、それが答えにくいないようであることがまるで分かっていないかのような態度。普通だったらただのアホであるだとか、どんだけ意地悪なんだとおちょくりたくなるような態度だが、それをさせない狂気がにじむ。それでもキムは言う。
「……雑談してました」
バチン! という甲高い音と共にキムがのけぞった。殴られたのだ。本来パンチが当たったときというのは漫画のような鈍い音はあまりしないのだが、鋭いパンチが綺麗に入ると、ビンタされた時の音を鋭く、大きくしたような音がなる。
これは痛いだろうと思いながらキムの方に目をやると、キムの殴られたであろう左の頬は肉がパックリと5センチほど割れていて、そこからは血がゆっくりと流れ落ちている。それでもキムは下を向いたまま、
「……すみません」
と呟いた。きっと彼はこうなることが分かっていたから何をしていたか中々答えられなかったのだろう。
「ねえ、アタシが何するように言ってたか覚えてる?」
車塚はキムに顔を寄せ問いかける。自分がやられているわけではないが、俺は怖くて動けなくなっている。別に悪いことしてないのに、命令聞かなきゃいけないってのがそもそもおかしいのに、さっき知り合ったばかりだけど、キムは多分いいやつだ。そう思うと腹が立つ。けれど動けない。ムカついて、怖くて、怖いほうが上で、でもムカつくの方がきっと正しくて、怖いを優先してしまう自分に腹が立つ。
「おい! オメー頭おかしいんじゃねえの?」
そんな時、車塚に向かって雅人が叫ぶ。彼はいつだってそうだった。どんな時でも気まぐれで、適当で、自分の失敗を反省しない。なんどひどい目にあっても態度はでかいし口も悪い。けれどそれは逆に言うと、度胸があってさっぱりとしているとも言える。そんな彼が俺はいつもうらやましかった。
「アンタにはカンケーないの。これはアタシらの問題よ? ねえ、キム?」
「……はい」
「だったらしゃきしゃき答えなさいよ? アタシアンタに何するように言ったっけ?」
車塚は再びキムを問い詰める。雅人が口を挟んだことまでもキムを責める方向に結びつける。こいつ、なんかヤクザみたいな考え方してんな。
チラリとゆーくんの方を見ると、下を向いて震えている。自分が発端なのに、俺達に迷惑をかけているとずっと気にしていた彼のことだ、キムが今殴られていることにも責任を感じ苦しんでいるのだろう。
「……」
「……っ」
ゆーくんの方を見て、『今は我慢だ』とばかりに目配せをすると舌唇を噛みながら頷く。
「……ねぇ、僕が悪いんだからキムくんは関係ないよね?」
車塚の方を向いたゆーくんは絞り出すように言う。……全く伝わってなかった。
「はぁ? 何言ってんの? これはアタシとキムのケジメの問題なの? アンタなんかに文句言われる筋合いはないわけ。それとも何なの? これでアンタの言う通りアタシがキム甘やかして舐められてなんかあったらアンタ責任取れんの?」
睨みながら返されるとゆーくんは俯きながら言葉を探す。しかしその姿はいささかキレた車塚の眼には不思議に写ったようだ。
「は? なんなの? 偉そうな事いうだけ言ってなにもうびびってんの? 言いたかっただけなの? ほら、キム庇うんじゃないの? 早く立ち上がってこっちきたらいいじゃない。ねえ」
「……」
追求をうけるもゆーくんは動けないでいる。思いつめた表情を見ていると、助け舟を出すことさえ躊躇われる。俺の中で必死で自分で頑張ろうとしてる奴は黙って見守るべきだと言う気持ちと、ただビビっているだけの自分への言い訳として使っちゃいないか? という気持ちが交差する。こんな時に自分の情なさに対して言い訳をしてしまう自分の心には嫌気が刺す。
何を恐れているのだろう? きっとその恐怖は物理的な”死”に対する恐れだけではないはずだ。見栄と罪悪感、そんな薄っぺら鋳物と根源的な暴力への恐怖が入り混じり、脳がいうことを利かない。ここに居る男たちはそんな俺をきっと許すのだろう、そりゃあ仕方ないよ、なんてね。
……けれどそれは違うだろう。俺は今どうしてここに居るのだろう。最初から関係ねーって逃げちゃえば、俺が悪かったって嘘でもいいから謝っちゃえばこんなことにはなっていない。雅人にゆーくん、キムだってこんな目にはあっていなかったかも知れない。今雅人が縛られたまま叫んでいるのも、ゆーくんが思いつめたように下を向いているのも、キムが酷く流れる血を抑えながら痛みを我慢してるのも俺のせいだ。終わらせよう、こんなことは。でもどうやって? ことの発端は車塚晶の跡をつけたこと、車塚晶はどんな女だった? 思い込みの激しい頭の悪い女だ。彼女に対してどんな対策をした? 彼女は学校では優等生ぶっている。少なくともこんな極悪な振る舞いは見せていない。だからそんな彼女の発言や行動を記録して、それを材料に脅してやろうと思ってこの部屋にカメラと盗聴器とセンサーを取り付けたけど、センサーは意味を成さなかったし、盗聴器は見つかり壊された。カメラだけはまだ生きているが、俺達を縛って転がしたのはキム達だし、車塚がキムを殴るシーンは多分写っていないし、場所が場所だけに、『襲われそうになって…』
とか言ってバックれることも出来るだろう。
「ねえねえ、立ちなさいよ、ボコボコにしたげるから」
車塚はゆーくんの胸ぐらを掴み引っ張る。
「テメー、頭おかしいんじゃねーのか? 何にそんなに執着してやがんだ? 引っ込みつかなくなってんだけじゃねーの?」
「は? 誰が執着してるって? そっちこそなに頑張って意地張っちゃってんのよ? 早く服従すりゃ痛い目見ずに家に帰れるのよ?」
何やらゴールの見えない会話を繰り広げる二人に口を挟む。
「おいおい雅人、あんま失礼なこと言うなよ」
「は? テメーいきなり何言ってんの? 失礼もクソもねーべ? こいつ無茶苦茶な事しか言わねーじゃねーか」
「いやいやいや、無茶苦茶言ってんのはワザとだろ? 意味分からん奴って強い奴よりこえーじゃん?」
「そりゃ、……まぁ」
「だからさ、ほんとは車塚だって落としどころ見つけて話つけたいだけなんだよ。ある程度俺らの意見だって飲む気でいるわけだ、よほどのアホじゃ無けりゃあふつーそうするよ。なあ?」
「え?! あー、そ、そうね、バレちゃあしょーがないわ!」
「それでも最初からそれを俺らに提示すると舐められて足元見られるから、最初は思いっきり脅すんだ。必要以上にね、キム達を従える晶さんならそれくらいやってのけるって」
嘘八百だ。最初から最後までこの女の発言は全く筋が通っていなくて勢いだけしかない。それでも今までやってこれたのは、本人の強さと怖さが頭の悪さと上手く噛み合っていたからってだけ。それできっと疑いもせず一度成功したやり方を繰り返し、ただワガママにいきてきたのではなかろうか? そう考えると必要以上に腹が立ってくる。
俺が調子よくべんちゃら立ててるところを雅人が睨んでくる。
「ちょ!…、いや、そうか」
反論しようとした雅人は俺の目を見て納得したようにそれを収めた。誰かを嵌めようとする時、俺は話しぶりが大げさになり、普段よりも自信ある風の空気感を無理やり作る癖がある。それを思い出し、俺の意図を見抜いたのだろう、伊達に付き合いは長くない。
「あ、当たり前じゃない! アホじゃあるまいし! しかしバレちゃあしょーがないわね。……かといってあんまし舐められちゃあアタシらだって無茶するってことは覚えておきなさいね!」
取り繕うように"アホ"と言う言葉に過剰反応する車塚。いやー、なんかアホって思われるの嫌いそーだなこいつとは思っていたが、予想以上にちょろいな。もうなんか俺の言った理屈に乗っかって喋ってるだけのクセしてちょっと得意げだもんね。
「わ、わかってるって、あれだろ? ホントは、こーすれば許してあげるって条件が決まっちゃいるんだけど、それを自分から言っちゃあさ、もっと緩い条件でもいけんじゃね? とか思われて文句が出るから、俺らから『〇〇するからゆるしてー』って言ってくんの待ってだよね?」
「そ、そうよ、意外とやるわねアンタ。でも、どうせアホなアンタには何をすれば手打ちに出来るかまでは分かってなかったんでしょ? アホなアンタには」
うわー、すげードヤ顔だ。目がキラキラしてるよ……。さてはこいつ、アホだと思われてないかどうかに目が行き過ぎて、自分が乗せられてる事に1ミリも気づいてないだろ。
「そーなんだよね、中々それがわかんなかったから俺達はこんなとこでふん縛られたり怖い思いしたわけだ。だから縛られてる間に必死で考えてさ、さっきやっと答えが出たよ」
俺の適当な決めつけに、頷き耳を傾けるアホ女。どうせ手打ちにするための条件なんて考えちゃいないだろう。
「なるほど、なら聞かせてもらおーじゃないの?」
ふんぞり返って腕を組むアホに俺は言う。
「それはズバリ! チ○コの写真を撮影させることだ!」
「は、はぁ? なんでそ~なるのよ?」
ぎょっとするも理由を尋ねる、思惑通りだ。
「いやさ、お前は最初、ゆーくんの弱みを欲しがった。そんで俺らはゆーくんの女装した写真を用意したが土壇場になってそれを渡すことを拒否したよな? そんでそん時お前キレた! 劣化の如く。それはお前が執拗に俺らを脅していた目的が、俺らの恥ずかしい弱みを握ることであることを意味する! 違うか?」
「そ、そこまでは当たってるわ、と、取り敢えず続けなさい。」
いやいや、当たってるわて……、思惑バラしたら舐められるんじゃなかったの? 舐められたら終わりなんじゃなかったの?
「でも、今更そんな恥ずかしい弱みなんて出てくるはずがない! 大体、自分から言い出した恥ずかしい弱みなんて嘘の可能性が高い!」
「……そうだったんだ」
小さく呟く車塚。あれバレてなかったのか。嘘の弱みだってバレたからあんなにキレてたのかと思ったのに。ならあれは単純に言ってた通り舐めた態度に腹がたっただけ? それであんな般若のような威圧感を? ……逆に怖くなってきたんですけど。
「……そ、そこで頭のいい車塚晶は考えた。ならば今から作ればいいと、その恥ずかしい弱みってやつを!」
「……わかってるじゃない」
ヒクついたしたり顔でニヤリと言うアホ女、……アホ過ぎて怖いんですけど、人ってあんまり殴ったら死んじゃう事とかマジに知らなそう、マジに怖いんですけど。
「そしてそれは俺らに訊いて答えるような恥ずかしいものじゃ物足りない! 弱い! 嘘くさい! ならば問答無用で恥ずかしいものってなんだ? それはチ○コだ! それも縛られながら無理やり晒されるチ○コだ! それを見越して頭のいい車塚晶はこんな場所に俺らを呼び出した、いや、呼び出すようしむけた! いや、実際恐れいったよ、ヤバそうなやつたくさん集めて追い回されたり、急にキレて胸ぐら掴んで凄まれたりするのもチ○コへの伏線だったとは、それも知らず俺達はノコノコと」
頭がいい、してやられたをことさら強調して弁を回す。……ちょっとやりすぎたかな?
「ふふん、そうでしょーよ、アホな奴ってのはホント行動がワンパターンなんだから」
今度は純度100%のしたり顔でドヤっている。……ちょっとうまく行き過ぎて恐ろしくなってきたんですけど。ていうかこんなバカはこの世に車塚晶1人にほかならないはず。
……ていうか、いくら打ち解けたとはいえ車塚晶の舎弟的なポジションのキム、ギョロ、宮脇は親分がここまでコケされて黙ってないんじゃなかろうか? 思い付いて得意になりすぎて今の今まですっかり忘れていた。これじゃこのアホ女と一緒じゃないか。先程から口を挟んでは来ないが場面が来たら俺をやってしまおうとしてるんじゃ……。
恐る恐る奴らの方に顔を向けると、三人とも下を向いてプルプルと震えている。怒りがそろそろ最高潮に達し、……そうなのではなくこいつら笑いを堪えてやがる。全く冷たい子分どもだ、……いや、いつも偉そうにしてる奴がここまでアホだったら誰でも笑うな。笑いを堪えているあたり相当な忠誠心と言えよう。
「……悔しいけどまんまとハメられたよ、ハメるわけでもないのに女の前でチ○コを晒すことになるなんて、……くそう、一生の不覚だ」
吹き出してしまいそうな心を無理やりねじ伏せて悔しそうな声色を作りながら言う。
「ふっ、なによ、うまいこと言ったつもり? こうなったらもう遅いんだから、諦めてチ○コ出しなさい、キム! こいつらもっかい後ろ手に縛ってズボンとパンツ下ろしちゃいなさい?」
「ふっ…は、ふぁい!」
鼻から勢いのある息を小刻みに吐き出しながら返事をしてこちらに近づいてくるキム。顔は真っ赤だがもう少しだ、全てが終わったら思い切り笑い転げられるんだ、だから頑張るんだ!
キムは俺達の前に来ると、顔を下げたまま
「……ふぁるく思うなよ」
もはやマトモに喋ることも出来ないまま俺たちを結束バンドで一人ずつ後ろ手に縛っていく。
それが終わると俺の下をすべて脱がし、俺のマーズ系入ってるジュニアをポロリと露出させると、次はゆーくんのレッドスネークヘッドをポロリさせる、……ゆーくんでけぇ。
そして雅人も脱がせてダブルエックス(雅人自作の勃起がバレないための革製の拘束具)だけの状態にした。
「ふぐぉっ……ごほっ、かはっ」
キムはプルプルと震えたままむせ始める。
「テメー笑ってんじゃねーよハゲ!」
「い、いや、そぉの、これは一体、いや、ふぐっ、やっぱ言わなくていい」
今まで笑いを堪えていたキムは雅人の拘束具でトドメを刺されかかっている。いや、気持ちはわかるよ? 笑っちゃいけない場面で面白くなってきた時って、ほんとしょーもないことでもメチャ面白いからね。……けど頑張れ!
「あ、キム、そいつはそのままでいーわ! その方が完全に恥ずかしいでしょ?」
「テメェ……」
「ふん、そんな恥ずかしいもの付けてるアンタが悪いんだっての」
悔しそうに俯く雅人に得意げな笑みを向ける車塚。雅人ナイス演技! ……あれ、こいつマジで悔しがってる?
「あははは、ほんとに情けないわねあんたたち! もう好きにしてー、チ○チ○好きにしてー、って感じね? これ広めたらあんたら人気者ね」
「ちょ、広めるのか? 広められたくなかったらって感じの取引じゃないの?」
「あたりまえじゃない、あんただって気づいたんでしょうが、取り敢えずこれ晒して、それでも由美に近づくようなら今度は本当に殺すに決まってんじゃない? アタシが甘い顔見せたら舐められるからとことんやる女だったって、その様子じゃそこまでは見抜けなかったようね? ふふん」
「くそ……」
ニヤニヤとしたアホはスマホのカメラを起動させこちらに向ける。それを見た雅人とゆーくんが不満げな視線をこちらに向けてきたので、俺は片眉を上げ、底意地の悪い目線で頷き返すと、二人は少し不満を残しながらも頷き返してくる。
「なに合図してんのよ? もう逃げようったって無駄よ? それにしてもあんたらキモいチ○コね? まあいいわ、はい、チー……」
「あ、ちょっと待って?」
脇を閉じたり開いたりもぞもぞとしながら待ったをかける。
「何よ?」
期限悪そうにこちらを向くアホは放っておいてキムに言う。
「なあ、一瞬でいいから腕解いてくれない?」
「は? 何言ってんのよ?」
「いや、ほんとすぐだから、ションベン漏れそうなんだよ? 車塚さんだって俺の放尿シーンなんて見たかないだろ?」
今度は下半身をモジモジとさせながらいう。
「……何か企んでるわけ? ……まあいいわ、今更暴れだしても殺すだけだし、キム、解いてやりなさい、そんで暴れだしたら尿道に釘かなんか突っ込んでやりなさい?」
「ウス」
キムがパチリとニッパーで腕を縛るバンドを切ってくれる。俺はすかさず上着からスマホを取り出し操作すると、画面を車塚の前に突き出した。
「ちょ……、何これ……」
凍りつく車塚晶、それもそのはずだ。俺のスマホに写っていたのはチンコ丸出しの俺たちに、ニヤニヤしながらスマホを向けるアホな女子高生の姿。その嬉しそうな表情までバッチリと撮れている。
俺はここで話し合いを始める前、天井のライトに隠しカメラを設置しておいた。そのカメラは俺の上着のポケットにあるスイッチがシャッターとなっており、さきほどそのシャッターを肘で押したのだ。また、このカメラで撮影した写真は自動で俺のクラウドに保存される仕様で抜かりは全くない。
「いやー、どうよ! よく撮れてるだろ?
男子高校生を監禁してどす黒い性癖をぶちまける淫乱女子高生ってか……っ! 」
言いながら強い視線を感じ車塚の方を見る。
「こ、……殺す」
車塚の顔は瞬時に今まで見た事もない恐ろしいものに変化し、思わず俺は固まった。般若のような顔だとか、人を貫いて殺しそうな視線だとか揶揄できているうちは人は本当に恐れてはいないのだと実感させられる。その視線に捉えられると、先程までの調子に乗ったテンションは跡形もなく消え去り、ただ単に『殺される』という想像だけが頭に浮かび思考が止まりそうになる。……返事をしなければ殺される、それだけをやっと考えられる状態で必死に言葉を絞り出す。
「あ、い、いや、そ、そ、そじゃ、な、……なく、なく」
「何? ちゃんとしゃべりなさいよ? おい!」
ここでビビっては全てが水の泡。逆にここで冷静に話を進められればまだ交渉の余地はある。わかっちゃいるが身体と頭がうまく動かない。
チ○コ丸出しのまま車塚に胸ぐらを捕まれガクガクと揺さぶられながら、なんとか平静を取り戻せるよう務めるが、一度脳裏に浮かんだ、死ぬかもしれないという想像が思考を停止させようとする。
「あ、晶さん」
「何よ? あ、ちょっと待って」
キムが車塚に呼びかけると、ピリピリとした空気を纏いながらも、俺に詰め寄ってる時よりは幾分か人間らしい声で返答すると、手に持っていた俺のスマホを床に落とすとぐしゃりと踏み潰す。……おいおい、まだローン残ってるのに。
「あの、もうちょっとこいつの話を聞いてやっては?」
「なんで? 写真のデータも消去したし、改めてチ○コ撮るだけよ?」
「いえ、多分データはまだ残っています」
俺が説明しようとしていた事を話し始める、ナイス!
「は? どこに?」
「多分、カメラからスマホへ写真を送る際、ネットを経由してるんじゃないですかね。あくまで予想ですが、そのデータはカメラから健二のスマホへ直接送ったんじゃなくてクラウドに保存して、それをスマホでダウンロードしたんじゃないかと」
大当たり、こいつ、ハゲのくせにそういうの詳しいのかよ。流石は工業高校生の電気化だね。
「は? クラウド? じゃあアンタそれ壊してきなさいよ?」
「いや、あの、クラウドは機械とかそんなんじゃなくてネット上のサーバー内に……」
「は? アンタ舐めてんの?」
車塚はキムの胸ぐらを掴んで持ち上げる。……こいつキムにやたら厳しくない?
「おい、キム!」
「ん、どうした?」
二人のやり取りを見ていて、幾分か精神の落ち着いた俺がキムに呼びかけるとフツーな感じでこちらを向く。やはりこいつは俺の作戦を潰そうとしてではなく助け舟的な意味で口を挟んだようだ。
「スマホ貸してくれよ?」
「ほらよ」
胸ぐらを掴まれて宙に浮いたままポケットからスマホを取り出し渡してくれる。俺はそれを操作して、また画面に先程の画像を表示させ車塚に見せる。
「は? ちょ! ……キム! アンタもグルか!」
「ちょちょちょ……! 待って苦しい、死ぬ、死にます!」
「違うっての。誰のスマホからでも見れるんだって! 取り敢えずキム離してやってよ」
俺が言うと、車塚は片手でキムを持ち上げたまま、もう片方の手でスマホを差し出してくる。その姿を見て俺は喉がきゅーっとなってくる。
「じゃ、アタシのスマホにもその写真写せるわよね?」
「……ああ、できるよ」
先程と同じようにスマホを操作し、車塚に渡す。
「ちょ、……あるじゃないの? なんで? あんたインターネット作ってる人なの?」
「……違うって、詳しくは説明できんけど、写真は俺がパスワード入れてわざわざ消したりしない限り俺はいつでもどの端末でも表示させられるんだよ。どこかのサイトにアップしたわけじゃないから今は俺しか見れないけどね」
「ふーん、なんかよくわかんないけど引き続きアタシを脅そうってわけね? もう腹は括ったわ。ばら撒くならばら撒いたらいいじゃない? そのあと殺すだけだし」
ふむ、やはりそうきたか。いくら頭が悪くても、相手に対して絶対に引かないその精神力は大したもの、俺にはとても真似できないや。最初はこいつにムカついてしょーがなくて、なんとかギャフンと言わせてやろうと思ったけど、今はこの場を生きて切り抜けるだけで精一杯か。
「いや、別に言いなりになれとかゆーくんの件には目を瞑れって言うんじゃないんだ。ただ、もう一度由美ちゃん呼んで話してみてくれないか? 俺らと車塚、そんで由美ちゃんも一緒にいる中で話し合って欲しいんだ、その結果やっぱ許せないってんならそれはまたその時考えるっていうかさ」
ならせめて、誤解を説いておきたい。ゆーくんはヤバイやつじゃないし、ストーキングしてないって話を俺らに嘘もついていないはずだ。感情がすぐ顔に出て、気ぃ使いーなこの男が、別に悪いことはしちゃいないはずだ。それをせめて証明したい。勘違いしたままでも、弱けりゃ勘違いされる方が悪くて、やられりゃやられっぱなし。そんなのムカつくから、せめて自分が何をしたのかくらいは思い知らせてやりたい。
「ま、いーわ。そんでこいつがいかにキモくて最低だかわかったら躊躇いなくしばけるし。 キム! 電話して」
「ウス!」
2
車塚に命じられ、キムが由美ちゃんに電話してから30分、ドアがバンと開いた。
「晶さーん、どーしたんすか? ケンカっすか?」
ドアから入ってきた由美ちゃんは上下グレーのスウェットにクロックスと言う出で立ちだ。髪も明るい茶色に染まっていてモロにヤンキーなファッションセンスだが、その顔立ちは少しおっとりした感じでわりと可愛らしい。
「アンタ、もう一度詳しく話してくれない? コイツのこと」
そう言いながら車塚がゆーくんの方を向いて顎をしゃくると、由美ちゃんは一瞬ハッとすると、とてとてとゆーくんの方へ歩いていき、
ひしっ!
……抱きついた。
「「「え?」」」
ん?
「あ、アンタ、何やってんの?」
「どーしたのゆーくん? なんで縛られてるの? どこも痛くない?」
由美ちゃんはショルダーバッグからニッパーを取り出すとゆーくんを拘束する結束バンドをプチプチと切り離す。……なんで女子中学生がニッパー持ち歩いてんだよ。
「いや、大丈夫だよ、ありがとう」
そう言いながらゆーくんが由美ちゃんの頭をポンポンと擦ると、彼女は顔を赤らめる。
「えへへー、……あいたっ!」
車塚がそんな由美ちゃんの後ろ頭をゴンと殴り、振り返った彼女をギロリと睨みつける。
「アンタ、どーいうことよ?」
「え、何がですか~?」
「コイツにストーカーされてたんじゃないの?」
「なんすかそれー? あ、なんかそんな感じなこと言ったかも? あれっすよ~、ゆーくんって高校の時尖った感じでもっとかっこよくて~、私が話しかけてもそっけなくて~、でもなんか大学入ったくらいから優しくなっちゃってー、それは嬉しいっちゃ嬉しいんすけどね? そんでなんか前よりはストーカーチックってゆーかね? そんな感じの意味っす!」
「……アンタ、他にもキモいだとか、色々言ってなかったっけ?」
頭を抱える車塚。もしかしなくてもこの由美という女、車塚と同じくらいにはアホだ。
「それはですね、昔はあんなにかっこよかったゆーくがっすよ? なんか前よりなよっちくなって~、なんかそれってキモくないですか? いや、もちろん今でも超かっこいいっちゃいいんすけど~、なんかキモく……ゴファっ!」
話し終わる前に車塚の完璧なボディブローが由美ちゃんの脇腹にめり込んでいた。
……それ、女の子に絶対やっちゃいけないパンチだろ。
3
「由美ちゃーん、調子どう?」
「いやー、お陰様でだいぶもういい感じっすよ。あ、梨剥いてくれません?」
「はいよー」
ここは近所の市民病院。ここに今由美ちゃんは入院中だ。車塚に殴られて肋が2本折れ、もう少しで肺に刺さるところだったらしい。あれから2週間が経ち、そろそろ痛みも落ち着いてきたみたい。
「しかしあの女ヒデーよなー、確かに由美もバカだけどあいつだって無茶苦茶バカだってのにな? バカな奴殴る資格ねーんだっての」
「あー、まーさん! バカとか言わないで下さいよー! まーさんだって毎日エッチことしか考えてないじゃん!」
「バカヤロー! 俺の崇高なる性欲をバカにすんじゃねーよ。頭よくないと気持ちいいオナニーとかできねーんだぜ? 毎日頭フル回転だよ! 例えばだな……」
「やめてくっさいよ~、そんなきちゃない話聞きたくないっすよ」
あれから車塚はしゅんとして、「……悪かったわね」と一言残し、その場を去っていった。
あれだけのことをしておいてそりゃないんじゃないの? とも思ったが俺はどうやら自分で思っている以上にビビっていたらしく言葉も出ず、動けもせずその場にへたりこんだ。
バカなことは罪なのだろうか? ヘタレなことは罪なのだろうか? 何が悪いかわからないまままた日常に平和が訪れた。
本当は誰も悪くはないのかもしれない。けれども人と人の間に悲しいことは起こってしまうのだろう。なんにせよ、ひどいことにならずかたがついて良かったが、スッキリとしない気持ちも少しは残っている。
けれども俺はこれからもこいつらと関わり、まだ見ぬ誰かと関わりながら生きていくのだろう。
誰かと関わるってことは、なんてものに答えはでにいけど、自分とは違う他者と認めたり許されたりするってことが嬉しいってのはわかるし、なんだか楽しいんだ。
またそのうち悲しいこととか腹立つことは起こるのだろう。
しかし今はそんなことは忘れて今を感じていたい。
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