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一章
②
しおりを挟む絶対近付いてなるものかと離れた僕は広太と2人、食堂の隅っこで持参した自家製おにぎりにパクつきながら、その様子を一種の余興のように楽しんでいた。
塩おにぎりうんまい。
「よくやるよなぁ…何が良くて、男なんかに惚れるンだろ。しかもお前の兄貴に」
心底分からないといった顔で「ほらよ」と玉子焼きをくれた広太が、宙で箸を動かす。
行儀が悪いと注意したら、素直に謝ってくれた。素直で良い子です。
「さぁなぁ~…顔じゃないか?」
あのクソアマに兄貴を見てろって言われただけで、大して興味もなくそう言えば、口の横に米粒つけた広太が確かにと頷く。
「さながら婚活に挑む女子ということか」
「……その例え下手くそ。ていうより人間誰しも見た目第一だからな。中身は二の次」
「そんな現実過ぎた発言やめろリアルすぎる。夢をもたせろ」
「でも真実だろ?」
うっと怯んだ広太の口横に付着した米粒をとり、ハーレム集団のところを向いて指で弾き飛ばす。
この米粒が兄貴の能天気な面に当たってくんないかなぁ、なんて一瞬でも思った自分は悪くないはず。
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