僕の兄は◯◯です。

一章

④

　寮へと続く一本道な砂利道を歩いて、広太と楽しく雑談。


「なぁ……着いてきてないか、あの人」


「……。」


出来ていません。むしろ、現在進行形で気まずい空気が流れています。


それもこれも全て、背後からスローテンポで僕らをストーキングしてくる金髪ヤン…彼のせいである。


わざとなのか、スローテンポにも関わらず付かず離れずの距離で僕の背を睨みつけつつストーキングする金髪の意図がつかめず、僕らはほとほと困り果てていた。


もうほんとうに、何なんだあの人は。


「あー……どうする。撒くか？」


　撒く気満々の広太を横目で一瞥していや、と首を横に振る。


「何で追いかけてくるかも知らんし、下手に逃げたら余計相手を煽るだけだろ。シカトしろ、シカト」


「おぉ。随分と男前な意見ありがとーございます！」


「はっはっはっ、善きに計らえ愚民が」


「前言撤回を要求する！」


「却下だ」


金髪に追い掛けられてなお、このテンションは変わらないぼくたち素晴らしい。


どうにか気を紛らわせようと二人で色々な話をし、談笑していたが、ものの数分で俯き、黙ってしまう結果に。


……ごめん、正直に言うね。


凄く鬱陶しい、マジであの視線凄く鬱陶しい。