32 / 101
一章
⑤
しおりを挟むやっとこさ見えてきた寮に自然と足を速めながら、気付いたら2人ともダッシュしていた。
いやもうマジであの視線鬱陶しいもん、どのくらい鬱陶しいかって? かなり鬱陶しいもん!
寮の入り口を素早く抜けて、上へと進む階段を駆け上がる。
激しい運動に文化系な身体がついていけず、悲鳴を上げていたがもうこの際無視を決め込んで、通路側奥の205号室に飛び込み、すぐさま鍵を閉めた。
もちろん広太も先に飛び込んでいた為、中にいるよ。チッ!!
肩で息をする僕とは違い、息切れなしの広太と目を合わせ、二人で安堵の息を吐いた。
「さすがに無理だよな、あの視線は。マジ耐えらんねぇ…!」
「ッハァ……ふぅ、僕もだよ。気持ち悪くて未だにほら」
「お、凄い鳥肌」
鳥肌総立ちの腕を見せて、苦笑する。
足に限界がきていたのか、二人して玄関に座り込んだ。
いや、広太はただ座り込んだ僕にあわせて座っただけか。チッ、この体育会系め。
「……今日は意味分からん日だったな」
「意味が分からないってより、不運なだけだろ」
主に僕が。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
504
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる