僕の兄は◯◯です。

一章

14

「確か君の担任は水嶋先生だったよね？ これを渡せば、事情は理解してくれると思うから」


「はぁ…ありがとうござーます」


「いえいえ。お大事に」


　人の良さそうな笑顔でヒラヒラと手を振る保険医に、小さく頭を下げて保健室を出る。


日が暮れた薄暗い廊下を歩きながら、疲労のため息をひたすら吐く。


何か…今日は無駄に疲れた。早くこれ届けて帰ろ。お家に帰ろ。


そうと決まれば、行動が早かった。


小走りで職員室に駆け込み、テスト採点中だった担任に保険カードを無理やり提出。


カードを提出した際、様子が可笑しくなった(というか訝しげ？)担任様々は不思議だったが、そこはスルーした。相手にしてられないよ。腐臭がするアル。


何だか色々うだうだと言われそうなところを逃げ切り、荷物を取りに教室へ。


やった！これで帰れるよー！