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11.流れ者さん、いらっしゃい。
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四人が住む町は10kmほど先にあった。
途中に建設途中の町があり、魔物の対策の城壁を作っている。
城壁の中でないとゆっくり眠れない。
「確かに魔物が寄ってくるような所では寝られないわ」
「魔物の森で寝ていた人が何を言っているの?」
「周りに魔物は居なかったからよ。それに結界魔法も掛けてあったから大丈夫」
「まぁ、魔法が使えるの?」
「教えてあげようか?」
リリーは魔法を教わりたくて仕方ない。
魔法があれば、男に媚びを売る娼館に買われる事はない。
巧くすれば、貴族が通う学校に入学できる。
貴族と結婚する事もできる事も・・・・・・・・・・・・。
そんな夢を持っていた。
リリーは返事を保留した。
巧すぎる話に警戒したのだ。
「あれが聖碑だ。魔物を寄せ付けない効果がある」
「町ができると、幾つか周辺に立てるのね」
「多分、そうだと思う」
リーダーのヨヌツは自信なさげに答えた。
町は城壁と聖碑で守られているようだ。
この世界の神の波動が作る膜を越えた感触があった。
結界の一種だ。
聖碑は魔物の侵入を防ぐらしいが完璧ではないらしく、時々、魔物が侵入する事があると言う。
弱い結界であり、魔物が嫌がる程度なので仕方ない。
さあに西に進むと城壁が見えてきた。
彼らの町は『ウェアン』だ。
「通行料は小銀貨1枚だ」
「入るのにお金がいるのですか?」
「悪いなお嬢ちゃん。これもルールだからな」
「判りました」
門番は私が騎士の娘と勘違いした。
孤児達が来ているボロ着とはまったく違い、汚れ1つもない迷彩ワンピースを着ていたからだ。
決定的なのが布の靴だ。
孤児達の木の靴は泥に汚れているのに、私の靴だけ汚れていない。
魔法が付加されているのは一目瞭然だったみたいで、士長がじっと靴を睨んでから、部下に「貴族様の娘だ。丁寧に扱え」と指示を出していた。
この当りは街道が一本道らしい。
街道を通らずに東に行けるのは騎士様のパーティーしかない。
次の町を建設する貴族やその家臣が東の調査に行っていたが、彼らは街道を使わず、山の際を移動するらしい。
「お父さんと外れたか?」
「そんな感じです」
正確には捨てられました。
門番が勝手に納得してくれていた。
「どっちから来た?」
「あっちからです」
「なるほど。間違いない」
孤児達と一緒にいたので警戒も薄かった。
東を指差したので貴族の令嬢と思われた。
嘘ではない。
本当は南を指すべきだろうが、私の家は東の海岸に造った。
東から来たで間違いない。
この士長はお忍びで騎士様が東の調査に来ていると勘違いしてくれた。
ここの領主様もこの土地を開拓した騎士だったと言う。
騎士様は新しい土地を開拓に成功すると爵位を上げて領主となる。
どうやら私はその騎士様の娘と思ったらしい。
この世界の騎士は子供を連れて探索をするのだろうか?
まぁいいか。
入門料は小銀貨1枚だった。
孤児の記憶では、小銀貨1枚は1万円だ。
高い入門料だ。
町の子供らは証明書を身に付けているので出入り自由だが、通行書を持たない私は流れ者となり、入門料がいるらしい。
「小銀貨の代わりにこれでも宜しいでしょうか?」
「ポーションか」
「はい」
「質が良さそうだな。小銀貨数枚の価値はありそうだが、ここでは換金はできん。俺が小銀貨1枚で買い取ってもよいが損をするぞ」
「それで結構です」
「本当に損をするぞ」
「これからも何度か通ると思いますので宜しくお願いします」
「小さいのにしっかりしているな」
門番が小銀貨を取り出してポーションと交換した。
渡された小銀貨を他の兵に払った。
受け取った兵も士長の方が気なるようだ。
どうやら門の兵の給与はそれほど高くなく、お小遣いはエールを飲む為の銅貨を持っていないと兵達が呟いた。
「士長、狡いですよ」
「換金したら一杯奢ってやる」
「やった」「やった」「やっほ」
なんと六人も兵が居るのに士長しか小銀貨を持ち合わせていない。
ポーションなどという高価な物は、戦士以上か、傭兵しか所持しておらず、兵が持つようなモノではないらしい。
私が渡したポーションも商業組合に持って行って換金する。
質の良いポーションは小銀貨3枚もしており、引き取り値は半額なので小銀貨1枚と銅貨50枚になるらしい。
換金に行くだけで銅貨50枚が儲かる訳だ。
「ここは50枚しか儲からないと言ってほしいな」
「文句を言っている訳ではありません。足代と考えれば妥当と思います」
「そう言ってくれると嬉しい」
「これからも宜しくお願いします」
「貴族のお嬢ちゃんは礼儀正しいな」
「そんな事ありません」
小銀貨と交換した士長の周りに同じ士長や部下が集めってそわそわし始めた。
もう酒を奢って貰う事に浮かれていた。
ただ、エールは一杯が銅貨1枚らしいので、銅貨50枚の価値は高い。
酒に気を取られたのか?
私への尋問も簡単に済ませて門を通してくれた。
「早くお父さんが見つかるといいな」
「ありがとうござます」
「お嬢様、また交換して下さい」
「構いませんよ」
「馬鹿野郎!?」
4歳くらいにしか見えない私に警戒する気もないらしい。
毎回、ポーションをくれと強請っているのか?
士長が部下の頭を殴っていた。
◇◇◇
町を入ると土造り家が並ぶ。
ガラスの窓はなく、すべて木板であった。
上り坂を奥に進むほど高級街となり、この町を管理する代官の役所がある。
その周辺に商業組合と傭兵組合の建物が並んでいた。
商館や酒場などが街道沿いに並び、その両奥に役所の宿所がある。
今は討伐隊が泊まっているので、多くの兵と傭兵が金を落として町自体が景気良い。
商人が魔石を目当てに集まっており、高級な宿屋はすべて埋まっているとヨヌツが説明してくれる。
「泊まるならば、門前宿しか残っていないよ」
「どうして?」
私は知らない振りをして質問した。
全部、知っていますと言うのも変だろうと思ったからだ。
「判んねいのか。そんなの次の町がまだ出来ていないからさ」
イリエの言う通りだ。
次の町、その次の領地が出来れば、門前宿の利用者も増えるだろう。
魔石を購入するような豪商は安い門前宿を使わない。
余り儲からない小麦や大豆など運ぶ商人が使うのが門前宿だ。
それでも門前宿は一泊で銅貨50枚もする。
「食事付きの方が得です」
「銅貨10枚もする食事か。俺も食べてみたい」
「馬鹿言わない。そんなお金がどこにあるの?」
「食いたいと思わないか?」
「思わないわ。1日も早く小金貨4枚を貯めないと私達は売られるのよ」
「それとこれは別だろう」
「私も娼婦になりたくないのよ」
ヨヌツ (12歳)、イリエ (11歳)、ソリン (11歳)の三人は14歳までに小金貨1枚で自分を買って自由民にならないと役所に引き取られる。
そして、20歳までタダ働きを強制される。
一方、10歳のリリーは14歳になると娼館に引き取られる事になる。
リリーは預けられており、所有権は娼館にあった。
だから、娼館から小金貨5枚で自分を買わないと自由がない。
立ち止まっている余裕などなかった。
娼館と役所とどちらが幸せかと言えば、娼館だ。
死ぬ危険がない。
役所に引き取られる孤児はもっと悲惨だ。
同じ兵でも農民か、自由民ならば、給与が支払われる。
孤児にはそれがない。
女の子も20歳まで給付を命じられる。
安月給の兵の慰み者となる。
給付でも、農民や自由民は士官の担当になる。
士官同士のマナーもあり、下級士官との恋愛なども多いらしい。
こちらは花嫁修業気分でやって来る。
しかし、孤児達が相手をする兵士の給付にそんなロマンスはない。
兵の数が多すぎるのだ。
それを嫌がって、兵に志願する女の子も多いらしい。
孤児か自由民では、天と地ほどの違いがあった。
仮に自由民になっても終わりではない。
商業組合に登録して冒険者になるか、傭兵組合に登録して傭兵になる必要がある。
魔物の討伐に報酬が出るようになるが、常に死と隣合わせだ。
それでも肉壁の兵になるよりマシなのだ。
そこで協会から推薦状を貰うと、城の募兵に参加できる。
募兵は上曹長(分隊長)からスタートだ。
さらに、募兵の中で一番になると、1つ上の准尉 (戦士)から仕えられる。
貴族である騎士を目指すならば、これほどの近道はない。
イリエは騎士に憧れる少年であり、冒険者になって装備を調えた後に募兵に応じるつもりなのだ。
「兵士は駄目なのですか?」
「全然駄目ね」
「兵士でも手柄を立てる事はできますよね」
「上司が手柄を奪うからよ」
「なるほど」
兵士は士官の部下であり、兵士の手柄を士官が奪うのが普通なのだ。
もちろん、兵士見習い、等兵、上等兵、巡長、士長と出世して、士官である兵長まで出世すれば、討伐毎に地位を1つずつ上がって行くらしい。
討伐毎に最前線で戦うので士官が死んで上の席が空くのだ。
娼婦のお姉さんが討伐毎にお得意様が亡くなって悲しんでいるらしい。
貴族様は娼館など通わない。
一番、お金を落としてくれるのが士官達なのだ。
「階段を5つも上がるなんて奇跡ね」
「俺ならば、大丈夫だけどな」
「前も言ったでしょう。支給品の装備で挑むなんて無茶だからね」
「イリエ、危ない事は止めてね」
「判っているよ。俺は騎士になるんだ。下でウロウロとしている暇はない」
心配するソリンを無視して、イリエは根拠のない自信で胸を張っていた。
「あそこが道具屋よ」
私はリリーの案内で何でも屋の道具店を紹介してくれた。
-------------------------------
◆階級(地位)
王:エッシュール(Eshur)
大司祭:マヘロ
司祭:カヘノ
領主:ラボ
代官:ナヘボン
公爵:ボゥク
侯爵:マジク
伯爵:タージョ
子爵:バハト
男爵:バルーナ
騎士:ファリソ
戦士:ムファリソ
兵:ジョンディ
冒険者:ムガメロ
◆階級(軍職・役職)
<将官>(男爵以上の貴族)
元帥(総司令)?師団
大将
中将(師団長)師団〔3旗団(384分隊)、12000名〕
少将(旗団長)旗団〔4連隊(128分隊)、4000名〕
准将
<左官>(騎士)
大佐(連隊長)連隊〔4大隊(32分隊)、1000名(指揮官・副官40人と960人)〕
中佐
小左(大隊長)大隊〔2中隊(8分隊)、240名〕
<助官>(戦士)
大尉(中隊長)中隊〔2小隊(4分隊)、120名〕
中尉(小隊長)小隊〔2分隊、60名〕
少尉
准尉
<士官>(兵)
上曹長(分隊長)1分隊〔5班、30名〕
曹長
軍曹
伍長
兵長
<軍兵>(兵)
士長(班長)1班〔6名〕
巡長(1名)
上等兵(1名)
等兵(4名)
兵士見習い長
兵士見習い
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途中に建設途中の町があり、魔物の対策の城壁を作っている。
城壁の中でないとゆっくり眠れない。
「確かに魔物が寄ってくるような所では寝られないわ」
「魔物の森で寝ていた人が何を言っているの?」
「周りに魔物は居なかったからよ。それに結界魔法も掛けてあったから大丈夫」
「まぁ、魔法が使えるの?」
「教えてあげようか?」
リリーは魔法を教わりたくて仕方ない。
魔法があれば、男に媚びを売る娼館に買われる事はない。
巧くすれば、貴族が通う学校に入学できる。
貴族と結婚する事もできる事も・・・・・・・・・・・・。
そんな夢を持っていた。
リリーは返事を保留した。
巧すぎる話に警戒したのだ。
「あれが聖碑だ。魔物を寄せ付けない効果がある」
「町ができると、幾つか周辺に立てるのね」
「多分、そうだと思う」
リーダーのヨヌツは自信なさげに答えた。
町は城壁と聖碑で守られているようだ。
この世界の神の波動が作る膜を越えた感触があった。
結界の一種だ。
聖碑は魔物の侵入を防ぐらしいが完璧ではないらしく、時々、魔物が侵入する事があると言う。
弱い結界であり、魔物が嫌がる程度なので仕方ない。
さあに西に進むと城壁が見えてきた。
彼らの町は『ウェアン』だ。
「通行料は小銀貨1枚だ」
「入るのにお金がいるのですか?」
「悪いなお嬢ちゃん。これもルールだからな」
「判りました」
門番は私が騎士の娘と勘違いした。
孤児達が来ているボロ着とはまったく違い、汚れ1つもない迷彩ワンピースを着ていたからだ。
決定的なのが布の靴だ。
孤児達の木の靴は泥に汚れているのに、私の靴だけ汚れていない。
魔法が付加されているのは一目瞭然だったみたいで、士長がじっと靴を睨んでから、部下に「貴族様の娘だ。丁寧に扱え」と指示を出していた。
この当りは街道が一本道らしい。
街道を通らずに東に行けるのは騎士様のパーティーしかない。
次の町を建設する貴族やその家臣が東の調査に行っていたが、彼らは街道を使わず、山の際を移動するらしい。
「お父さんと外れたか?」
「そんな感じです」
正確には捨てられました。
門番が勝手に納得してくれていた。
「どっちから来た?」
「あっちからです」
「なるほど。間違いない」
孤児達と一緒にいたので警戒も薄かった。
東を指差したので貴族の令嬢と思われた。
嘘ではない。
本当は南を指すべきだろうが、私の家は東の海岸に造った。
東から来たで間違いない。
この士長はお忍びで騎士様が東の調査に来ていると勘違いしてくれた。
ここの領主様もこの土地を開拓した騎士だったと言う。
騎士様は新しい土地を開拓に成功すると爵位を上げて領主となる。
どうやら私はその騎士様の娘と思ったらしい。
この世界の騎士は子供を連れて探索をするのだろうか?
まぁいいか。
入門料は小銀貨1枚だった。
孤児の記憶では、小銀貨1枚は1万円だ。
高い入門料だ。
町の子供らは証明書を身に付けているので出入り自由だが、通行書を持たない私は流れ者となり、入門料がいるらしい。
「小銀貨の代わりにこれでも宜しいでしょうか?」
「ポーションか」
「はい」
「質が良さそうだな。小銀貨数枚の価値はありそうだが、ここでは換金はできん。俺が小銀貨1枚で買い取ってもよいが損をするぞ」
「それで結構です」
「本当に損をするぞ」
「これからも何度か通ると思いますので宜しくお願いします」
「小さいのにしっかりしているな」
門番が小銀貨を取り出してポーションと交換した。
渡された小銀貨を他の兵に払った。
受け取った兵も士長の方が気なるようだ。
どうやら門の兵の給与はそれほど高くなく、お小遣いはエールを飲む為の銅貨を持っていないと兵達が呟いた。
「士長、狡いですよ」
「換金したら一杯奢ってやる」
「やった」「やった」「やっほ」
なんと六人も兵が居るのに士長しか小銀貨を持ち合わせていない。
ポーションなどという高価な物は、戦士以上か、傭兵しか所持しておらず、兵が持つようなモノではないらしい。
私が渡したポーションも商業組合に持って行って換金する。
質の良いポーションは小銀貨3枚もしており、引き取り値は半額なので小銀貨1枚と銅貨50枚になるらしい。
換金に行くだけで銅貨50枚が儲かる訳だ。
「ここは50枚しか儲からないと言ってほしいな」
「文句を言っている訳ではありません。足代と考えれば妥当と思います」
「そう言ってくれると嬉しい」
「これからも宜しくお願いします」
「貴族のお嬢ちゃんは礼儀正しいな」
「そんな事ありません」
小銀貨と交換した士長の周りに同じ士長や部下が集めってそわそわし始めた。
もう酒を奢って貰う事に浮かれていた。
ただ、エールは一杯が銅貨1枚らしいので、銅貨50枚の価値は高い。
酒に気を取られたのか?
私への尋問も簡単に済ませて門を通してくれた。
「早くお父さんが見つかるといいな」
「ありがとうござます」
「お嬢様、また交換して下さい」
「構いませんよ」
「馬鹿野郎!?」
4歳くらいにしか見えない私に警戒する気もないらしい。
毎回、ポーションをくれと強請っているのか?
士長が部下の頭を殴っていた。
◇◇◇
町を入ると土造り家が並ぶ。
ガラスの窓はなく、すべて木板であった。
上り坂を奥に進むほど高級街となり、この町を管理する代官の役所がある。
その周辺に商業組合と傭兵組合の建物が並んでいた。
商館や酒場などが街道沿いに並び、その両奥に役所の宿所がある。
今は討伐隊が泊まっているので、多くの兵と傭兵が金を落として町自体が景気良い。
商人が魔石を目当てに集まっており、高級な宿屋はすべて埋まっているとヨヌツが説明してくれる。
「泊まるならば、門前宿しか残っていないよ」
「どうして?」
私は知らない振りをして質問した。
全部、知っていますと言うのも変だろうと思ったからだ。
「判んねいのか。そんなの次の町がまだ出来ていないからさ」
イリエの言う通りだ。
次の町、その次の領地が出来れば、門前宿の利用者も増えるだろう。
魔石を購入するような豪商は安い門前宿を使わない。
余り儲からない小麦や大豆など運ぶ商人が使うのが門前宿だ。
それでも門前宿は一泊で銅貨50枚もする。
「食事付きの方が得です」
「銅貨10枚もする食事か。俺も食べてみたい」
「馬鹿言わない。そんなお金がどこにあるの?」
「食いたいと思わないか?」
「思わないわ。1日も早く小金貨4枚を貯めないと私達は売られるのよ」
「それとこれは別だろう」
「私も娼婦になりたくないのよ」
ヨヌツ (12歳)、イリエ (11歳)、ソリン (11歳)の三人は14歳までに小金貨1枚で自分を買って自由民にならないと役所に引き取られる。
そして、20歳までタダ働きを強制される。
一方、10歳のリリーは14歳になると娼館に引き取られる事になる。
リリーは預けられており、所有権は娼館にあった。
だから、娼館から小金貨5枚で自分を買わないと自由がない。
立ち止まっている余裕などなかった。
娼館と役所とどちらが幸せかと言えば、娼館だ。
死ぬ危険がない。
役所に引き取られる孤児はもっと悲惨だ。
同じ兵でも農民か、自由民ならば、給与が支払われる。
孤児にはそれがない。
女の子も20歳まで給付を命じられる。
安月給の兵の慰み者となる。
給付でも、農民や自由民は士官の担当になる。
士官同士のマナーもあり、下級士官との恋愛なども多いらしい。
こちらは花嫁修業気分でやって来る。
しかし、孤児達が相手をする兵士の給付にそんなロマンスはない。
兵の数が多すぎるのだ。
それを嫌がって、兵に志願する女の子も多いらしい。
孤児か自由民では、天と地ほどの違いがあった。
仮に自由民になっても終わりではない。
商業組合に登録して冒険者になるか、傭兵組合に登録して傭兵になる必要がある。
魔物の討伐に報酬が出るようになるが、常に死と隣合わせだ。
それでも肉壁の兵になるよりマシなのだ。
そこで協会から推薦状を貰うと、城の募兵に参加できる。
募兵は上曹長(分隊長)からスタートだ。
さらに、募兵の中で一番になると、1つ上の准尉 (戦士)から仕えられる。
貴族である騎士を目指すならば、これほどの近道はない。
イリエは騎士に憧れる少年であり、冒険者になって装備を調えた後に募兵に応じるつもりなのだ。
「兵士は駄目なのですか?」
「全然駄目ね」
「兵士でも手柄を立てる事はできますよね」
「上司が手柄を奪うからよ」
「なるほど」
兵士は士官の部下であり、兵士の手柄を士官が奪うのが普通なのだ。
もちろん、兵士見習い、等兵、上等兵、巡長、士長と出世して、士官である兵長まで出世すれば、討伐毎に地位を1つずつ上がって行くらしい。
討伐毎に最前線で戦うので士官が死んで上の席が空くのだ。
娼婦のお姉さんが討伐毎にお得意様が亡くなって悲しんでいるらしい。
貴族様は娼館など通わない。
一番、お金を落としてくれるのが士官達なのだ。
「階段を5つも上がるなんて奇跡ね」
「俺ならば、大丈夫だけどな」
「前も言ったでしょう。支給品の装備で挑むなんて無茶だからね」
「イリエ、危ない事は止めてね」
「判っているよ。俺は騎士になるんだ。下でウロウロとしている暇はない」
心配するソリンを無視して、イリエは根拠のない自信で胸を張っていた。
「あそこが道具屋よ」
私はリリーの案内で何でも屋の道具店を紹介してくれた。
-------------------------------
◆階級(地位)
王:エッシュール(Eshur)
大司祭:マヘロ
司祭:カヘノ
領主:ラボ
代官:ナヘボン
公爵:ボゥク
侯爵:マジク
伯爵:タージョ
子爵:バハト
男爵:バルーナ
騎士:ファリソ
戦士:ムファリソ
兵:ジョンディ
冒険者:ムガメロ
◆階級(軍職・役職)
<将官>(男爵以上の貴族)
元帥(総司令)?師団
大将
中将(師団長)師団〔3旗団(384分隊)、12000名〕
少将(旗団長)旗団〔4連隊(128分隊)、4000名〕
准将
<左官>(騎士)
大佐(連隊長)連隊〔4大隊(32分隊)、1000名(指揮官・副官40人と960人)〕
中佐
小左(大隊長)大隊〔2中隊(8分隊)、240名〕
<助官>(戦士)
大尉(中隊長)中隊〔2小隊(4分隊)、120名〕
中尉(小隊長)小隊〔2分隊、60名〕
少尉
准尉
<士官>(兵)
上曹長(分隊長)1分隊〔5班、30名〕
曹長
軍曹
伍長
兵長
<軍兵>(兵)
士長(班長)1班〔6名〕
巡長(1名)
上等兵(1名)
等兵(4名)
兵士見習い長
兵士見習い
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