こんなはずじゃなかった

B介

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猛獣より可愛いワンコがいい!3

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そこには、アメフト部員に襲われていた青年が座っていた。
彼は一瞬目を見開いたが、気まずそうにコーヒーを見つめた。手首には包帯を巻いており、あの光景を思い出させる。
睡蓮は一瞬躊躇った。彼としてはあの時の事を思い出したく無いだろう。知られたくないだろう。 
知らないフリした方が良いのかな…

「は、はじめまして?お邪魔してます。」
そういうと、彼はコーヒーからパッと俺へと視線を戻し、先程より大きく見開いた。そして、みるみると不機嫌さを醸し出した。

へ?怒らせた?

「………俺の従兄弟。2年森脇優希。」

い、従兄弟!しかも先輩!先輩と思わなかったから、なんか失礼なことしちゃったかな。

あわあわしていると、豪がじっと見つめてきた。
…なんか言いたそうだな。
あ、もしかして例の件、知っている?従兄弟なら言うか??

「あ、あの…豪?」
「……こいつ、生徒会長の親衛隊長…。」

「……へ?…エェェーーー!!!!!」

あの、あの西園寺の親衛隊!?しかも隊長!!ヤバいヤバい!俺、会長殴ったじゃん!しかも屋上で2人で過ごしたじゃん!それじゃー俺がいたら不機嫌になりますよね!
どっと全身から汗が出る。
豪は少し屈んで、そんな俺の様子を見て、少しほっとしていたようだ。

「………その様子だと、まだ何もされてないんだな。優希、めちゃくちゃ怒ってたから、止めたが、聞かない奴だから。」
な、なるほど!さっきから様子が変だったのは親衛隊に何かされてないか、心配してくれてたんだな!
…ってか、やっぱり怒ってたんだー!親衛隊!

「ちょっと!人をなんだと思ってんの!?豪くん!!」

こ、声、可愛い!アルトくらい?男にしては高い声。
プリプリしてる姿も可愛い、これこそチワワか!

キッ!と俺にも怒った表情を向ける。
「崎原睡蓮!!き、君も、はじめまして?じゃないでしょ!!忘れたっていうの!?あんな、あんなことしておいて!!!」

「!?」
あ、あんなことってどんなこと!?

優希は顔を真っ赤にしてプルプル震えて怒っている。

その表情に豪は、目を見開き、顔をほんのり赤くして俺を見た。

「……お、お前、優希とまさか…!」

まさか何!?えっえっ!?何考えてる!?

「な、何もしてない!!ちょっと会っただけ!会っただけだってば!!」
俺は何が何だか分からず、あわあわと手を振った。

「会っただけ?うそ!あんなことまでしておいて!!」

えーーーーー!?何?なんなの~!?

「…お、お前!嘘まで?」
普段吊り上がった眉が悲しそうに下がっていく。

ああー豪!!誤解だ!
「う、嘘なんてついてない!」

もう、全部説明してしまおうか???
縋るように豪のシャツの裾を握る。

それを見た優希はより、顔を真っ赤にして怒り、叫んだ。
「ぼ、僕のか、下半身に触れたくせに!ベルトに、ボタンまで!」

「「「なっなにーーーー!!!」」」
雄叫びと共にバン!!と扉が開き、雪崩れ込んで来たヤロー共!
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