こんなはずじゃなかった

B介

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イケおじ

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「奴らは帰ったか、、。」
低いが良く通る、懐かしい声に睡蓮は振り返る。


「じいちゃん!!」
シルバーの髪を撫で付け、ブルーグレーの瞳は渋く光る。シワさえ彫刻のように感じる整った老人は、背筋を伸ばして、そこに立っていた。


「蓮花、睡蓮。久しぶりだな。」
ニッと笑う口元は身内も魅了する。


「相変わらずイケおじですね!お爺さま♡」

蓮花はうっとりと祖父の顔を見つめ、微笑んだ。

睡蓮は嬉しさに駆け寄り、祖父の身体に抱きついた。

「おっと、、!相変わらずだな睡蓮よ。」

高齢だが、しっかりと付いた衰えることのない筋肉が、決して軽くない睡蓮の身体を受け止める。


「じいちゃん!じいちゃん!元気か?」
太陽のような睡蓮の笑顔に、凛々しい顔を緩ませ、ニヤける身内に、海斗の瞳がゆっくりと細まる。


「睡蓮くん。…僕にはしてくれないのに、、、。」


むっすりとした海斗に対して、挑戦的視線を送り、ゆっくりと睡蓮の柔らかい髪を撫でる。
崎原 空太郎 75歳、性格的に海斗はこの人の血を濃く継いでいると言っても過言ではない。

「海斗、誰がお前に私の睡蓮をやると言ったか?…お前のではなく、私の睡蓮だ。」

抱きつく睡蓮を広い胸元で抱きしめ、背後で控えていた側近とボディガードに視線を送る。

妙齢の側近は抱えていた風呂敷を広げ、墓の前へと、供え始めた。


「さあ、あの馬鹿をと嫁を迎えてやろう。」


口は悪いが、どこか優しげな声で、空太郎は、いまや、会えない息子に視線を向けた。


「迎えに来たぞ、馬鹿息子。少しの間だが、我が家に帰ろうか。」



お線香の香りが辺りに広がり、ゆっくりと揺れる蝋燭の火は父を現しているようだった。




睡蓮は空太郎と海斗の争いにより、見事勝利した祖父の隣に座り、高級座席の柔らかさを楽しみながら、実家に向かった。


そして、ニマニマと面白そうに、不機嫌な海斗の車の助手席にちゃっかり座る蓮花。


「ふふっ。まだまだですね。叔父様も。」


「煩い、黙りなさい。そこは睡蓮の席なんですよ。」


普段あまり見せない明らかにイラついた顔の叔父に、蓮花は、どの息子も父親に対しては感情的になるのだと、面白くわらっていた。


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