勇者は可愛すぎるキメラたんに夢中です。

B介

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町に到着

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「着いた…やっと町に着いた…」

これで宿にとまれる!

鍵が付いてる!!

目を潤ます、ライラックの背中をポンッと叩くヴィート。



あれから(キメラのライラック好き事件)ジンクに暗殺されそうになる事57回。
夜もハッと気付くと枕元に立っていて、死んだ様な無機質な目で見下ろされた時の恐怖と言ったら…それから眠れず、体力の限界だ。


「着いたのはいいですが、キメラ、このまま裸じゃ流石にまずいですね。」  

「魔物の姿もまずいだろ?」

ヨシュアとヴィートはうーん…と、ジンクに抱かれるキメラを見る。


パチパチと瞳を動かしながら指をしゃぶるキメラ。

「そうだ!僕のマントで包むか?」

ヴィートは魔術師団の王国の紋章入りのマントを脱ぎ出した。

「それは、大事な物では?」

「大丈夫。大丈夫!少しの間でしょう?ジンクもいいだろ?このまま町の人にキメラの裸を晒すより。」

ヴィートの物に巻かれるキメラを想像してドス黒いオーラを纏ったが、ヴィートの発言にムッと了承する。


キメラを黒いマントでぐるぐる巻きにすると、キメラはクンクンと匂いを嗅いだ。

「ゔぃーちょのにおい…いいにおい。」

ヘラッと笑うキメラにキュンッとするが、ジンクに悟られない様にする。


「…ヴィートの匂いが好きか?」

ほら、また始まった。


「しゅきー。」

「…俺よりもか?」


「じんきゅのにおいしゅきー。」


キメラの答えにホッと安堵し、町へと足を踏み入れた。


「まずは、子供服ですかね。」

「後、食料と、武器のメンテナンスもしたい。」


活気のある町中を歩くと、小さな服を飾ってある店があった。

中に入ると恰幅のいい女性がいた。

店主らしい。

「いらっしゃい!まぁ、可愛い!」


「この子の服を数点見繕ってくれ。」


「大きさを見たいので下ろしてもらってもいいかい?」

店主の言葉に渋々ジンクがキメラを下ろす。


「ん?裸なのかい!?」

「…訳あって服がなくてな。」

ライラックが気まずそうに答えると、可哀想に…と店主はキメラの身体を測り出す。


「あれ?キメラ…大きくなった?」

何というか、前は膝くらいだったのだが、膝を越している。

「やはり、成長スピードがわかりませんね。…すみません、少し大きめの服にして下さい。」


「わかりました。」

にっこりと笑い、幾つか服を持ってきた。


「オーダーも受けますが、まずはこれを着てみてもらえますか?」

白のツナギの服とインナーの黒いシャツ。

キメラには少し大きいが、注文通りだし可愛い。


「いいな。どうだ?」


キメラも嬉しい様でぴょんぴょんと飛んでいる。

「しゅきー!」


「俺とど「今はいいだろ!!」」

流石に遮るライラック。


「オーダーはどのくらいでできますか?」

「3.4日くらいですね。」

あまり、長いは出来ない。


「そこまでは滞在しないので、今ある同じ様なのを幾つか下さい。」


店主から5点受け取り会計を済ませた。


キメラはよっぽど気に入った様で、ジンクの抱っこを嫌がり、胸を張ってちょこちょこと、周りに見せつける様に歩いている。

ドヤ顔さえ、微笑ましいが、ジンクは目に見えてしょんぼりしていた。


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