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日記の意味②
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そこはホテルの通常のドアではなく一般のお客は通れないようになっていた。
そのドアにはカーテンがかかっていてドアとはわからない裏口的なドアになっていて、何時もはほとんど開け閉めをしないドアだったのだ。
そのドアの存在を知っていたのは従業員でも上層部だけで、後は警察の一部の幹部がホテル側から聞いて把握していたくらいであった。
内海は鈴木らに指示を出しジェーン斎藤らを捕まえようとしたのだが、何故かそのドアを使って強引に逃走されたのだ。
そのドアの近くにいたのが鈴木であった。
すぐそばにいながらジェーン斎藤を取り逃した事に小比類巻純真は疑問を抱いていたのだ。
その事が日記帳に記された最後だった。
それから先は犯人もしくはそれに関連する人物が持ち去っているので書かれた事を想像するしか手はない。
ただ、鈴木警部補が怪しいのは確かである。
坂本と大地はホテルの会議室に持ち入れた日記帳をあらかた読んだ後、必要と思われるページをコピーしてダンボールに戻した。
「僕はこれから小比類巻さんの家にダンボールを返しに行ってきますね」
大地が少し嬉しそうな顔をしたのを坂本は見逃さなかった。
「そんなに綾香さんに会うのが嬉しいのか…?」
坂本はあまりに嬉しそうな大地を少し茶化した。
「そんなに顔に出ていますか…?」
茶化されても否定する事なく話した事に少し戸惑った坂本だったが、
「いいよ!じゃあ、一人で荷物を持って行ってきなよ。二人きりの方が話もしやすいだろうからな…!」
少し気を聞かせるつもりで坂本が大地に言うと、「やった!一人で行っていいんですか?」
嬉しそうに話す大地を見て、「荷物を持っていくだけだぞ!あんまり長居をしてはダメだからな…!」
「わかってますよ。綾香さんの顔見たらすぐにおいとましますから…」
そう言うと大地は借りていた会議室からダンボール二つを台車に積んで、スキップを踏みながら出て行った。
「おい、まだ話が終わっていないぞ…」
坂本がまだ話をしようとしているにもかかわらず出て行った大地を「大事な役目を警視総監から任されたというのに何を浮かれているんだ!」
少し浮かれすぎている大地を見て、坂本はしっかりとした警護をやりながら捜査を進めていかなくてはいけない事を肝に命じていたのだ。
大地は警視総監木村泰治の息子である。だが警察内においてはその事は全く関係がない。
それは木村泰治は勿論、坂本もわかっていた。
というよりは、木村泰治の方から捜査の前に坂本に伝えていたのだ。
「君のことだから私の息子という認識を持って捜査に入る事など1%の確率もないとは思うが、今回は内部の誰にも知られるわけにはいかない捜査故、君と木村大地を選んだのだ。
君のことだから遠慮などしないとは思うが、くれぐれも遠慮などしないで木村大地警部補をこき使ってくれ!」
捜査に臨む前に木村警視総監から言われた言葉だった。
警視総監から言われるまでもなく、遠慮などしないつもりでいた坂本だったが、シャイで真面目な大地の性格はよくわかっているつもりだった。
大地がダンボールを返しにいく姿を見ながら、何とかこの事件を早めに解決できるように一層気を引き締めたのだ。
そのドアにはカーテンがかかっていてドアとはわからない裏口的なドアになっていて、何時もはほとんど開け閉めをしないドアだったのだ。
そのドアの存在を知っていたのは従業員でも上層部だけで、後は警察の一部の幹部がホテル側から聞いて把握していたくらいであった。
内海は鈴木らに指示を出しジェーン斎藤らを捕まえようとしたのだが、何故かそのドアを使って強引に逃走されたのだ。
そのドアの近くにいたのが鈴木であった。
すぐそばにいながらジェーン斎藤を取り逃した事に小比類巻純真は疑問を抱いていたのだ。
その事が日記帳に記された最後だった。
それから先は犯人もしくはそれに関連する人物が持ち去っているので書かれた事を想像するしか手はない。
ただ、鈴木警部補が怪しいのは確かである。
坂本と大地はホテルの会議室に持ち入れた日記帳をあらかた読んだ後、必要と思われるページをコピーしてダンボールに戻した。
「僕はこれから小比類巻さんの家にダンボールを返しに行ってきますね」
大地が少し嬉しそうな顔をしたのを坂本は見逃さなかった。
「そんなに綾香さんに会うのが嬉しいのか…?」
坂本はあまりに嬉しそうな大地を少し茶化した。
「そんなに顔に出ていますか…?」
茶化されても否定する事なく話した事に少し戸惑った坂本だったが、
「いいよ!じゃあ、一人で荷物を持って行ってきなよ。二人きりの方が話もしやすいだろうからな…!」
少し気を聞かせるつもりで坂本が大地に言うと、「やった!一人で行っていいんですか?」
嬉しそうに話す大地を見て、「荷物を持っていくだけだぞ!あんまり長居をしてはダメだからな…!」
「わかってますよ。綾香さんの顔見たらすぐにおいとましますから…」
そう言うと大地は借りていた会議室からダンボール二つを台車に積んで、スキップを踏みながら出て行った。
「おい、まだ話が終わっていないぞ…」
坂本がまだ話をしようとしているにもかかわらず出て行った大地を「大事な役目を警視総監から任されたというのに何を浮かれているんだ!」
少し浮かれすぎている大地を見て、坂本はしっかりとした警護をやりながら捜査を進めていかなくてはいけない事を肝に命じていたのだ。
大地は警視総監木村泰治の息子である。だが警察内においてはその事は全く関係がない。
それは木村泰治は勿論、坂本もわかっていた。
というよりは、木村泰治の方から捜査の前に坂本に伝えていたのだ。
「君のことだから私の息子という認識を持って捜査に入る事など1%の確率もないとは思うが、今回は内部の誰にも知られるわけにはいかない捜査故、君と木村大地を選んだのだ。
君のことだから遠慮などしないとは思うが、くれぐれも遠慮などしないで木村大地警部補をこき使ってくれ!」
捜査に臨む前に木村警視総監から言われた言葉だった。
警視総監から言われるまでもなく、遠慮などしないつもりでいた坂本だったが、シャイで真面目な大地の性格はよくわかっているつもりだった。
大地がダンボールを返しにいく姿を見ながら、何とかこの事件を早めに解決できるように一層気を引き締めたのだ。
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