詐欺るシリーズ「冤罪！幾重にも塗り替えられた真実」

ビデオの謎②

坂本と大地二人でJRAの場外馬券売り場にビデオを再度借りようと行ったところ、なんとビデオは小比類巻綾香が返しにきた後に、警察を名乗る男性が来て持って帰ったとの説明を受けた。
(いったい誰が…？)
二人は誰が持って帰ったのか職員にを問いただした。
だが、職員はこのビデオは何度も警察関係者が事件発生後に持ち帰り、また元に戻してあったが、二年以上保管していてその管理は既に杜撰な形になっており、もう誰がそれを持ち帰ったのかの記録さえ残していなかったらしい。
ただ、警察官の制服を着ていたのでてっきり警察がまた同じ様に調べるのだろうと思ったらしい。
またもや犯人の可能性のある人物に先を越されて、ビデオの捏造の証拠を暴く事ができなかったのだ。
しかし一週間前にビデオを持ち帰ったという事は、小比類巻綾香さんがビデオを返してから持ち去った事になる。
何処かでそれを見ていたかその情報を知っている人物に知らされたかのどちらかになる。
どちらにしても未だこの事件は動いているのは確かだった。
ビデオが綾香の言っていた通りにすり替えられていたとすれば、林は犯人ではない可能性が出てくる。
しかし、何故林の指紋が小比類巻家のトイレの近くから出たのであろう？
もしかしたら犯人が林の指紋を利用して付けたのだろうか？
どうやって指紋を手に入れたのはわからないが、ジェーン斎藤ならばいとも簡単にやってしまうかもしれない。
しかしこの予測はあくまでも想像の世界でしかない。
いったん判決が下りた事件を再度審議するとなると確たる証拠がなければ、まずは相手にされる事はない。
坂本と大地は何処かにその証拠たる事実が現れないかをもう一度調べ直すしか方法はなかった。
その日のうちに元広早苗さん宅に行き、新谷学の荷物の中に何か手がかりがないかを入念に調べた。
するとある事に大地が気づいた！
それは今まで綾香や早苗も気にも留めなかった事だった。
「そういえばこのサボテン、どこかで見た覚えがあるんだけど…！」
さりげない一言が坂本の記憶を蘇らせた。
「そうだ！私もそれが気になっていたんだが、小比類巻家でもいくつか見た記憶がある…。
同じ様なサボテンだな…？…？」
坂本がサボテンの鉢を持ってクルクルと回してみた。
「何だこの針の間の穴は…？」
じっくり見なくてはわからなかったが、サボテンの針と針の間に小さな穴が開いていた。
「早苗さん、このサボテンの中を開けてもいいですか？」
坂本は早苗にハチに刺してあるサボテンを真っ二つにしても良いかを聞いた。
「それはあの人が大切な人にもらった物らしいのですが、私には全く興味がないので中を開けてください！」
早苗から了承を得た坂本は古い新聞紙を敷いてサボテンを二つに割った。
するととんでもない代物が中から顔を出したのだ！