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3話

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 「お母様ってそうやって悲劇のヒロイン気取りは上手いわね」
ずっと家族に虐げられてきましたが、遂に思ってる本当の事を言いました。
 「何よ、お母様に向かってなんて事言うのかしら」
 はぁ。逆切れですか。
事実を指摘してもらったら受け入れて成長しないと、ずっと底辺のままですよ。
そのまま底辺でいいのでしょうか。
悲劇のヒロイン気取りでいつか誰かが助けてくれるのちゃんでは、状況がよくなるわけがありません。
なんで自分でどうにかしようと思えないのでしょう。
 「あら、本当の事よ。私のお母様だというのなら私の43億分の1でも努力して下さい」
 本当に、まったく努力しない人ですねお母様は。
努力せず、誰かが助けてくれるのを待っているだけという人間のクズのいいお手本です。
これ、人間のクズのサンプルでいいでしょう。
私のお母様じゃなくていいでしょう。
なんでこんなのが私のお母様なのですか。
おかしいですよね。
そんなに私を不幸にして楽しいですか。
これどこかに人間のクズのサンプルとして売れますかね。
100円で売れますかね。
いえ、立場が逆でしたね。ごめんなさい。
1万円払うので誰か引き取って下さい。
引き取った後はどうしようが好きにして下さい。
え、1万円でこんな厄介なの引き取りたくないですか。
正論ですね。
10万円!
まだ駄目ですか。
じゃあ100万円。もうこれ以上は出せませんよ。
出しようがありません。
だめですか。じゃあこの取引はなかった事にしましょう。
 「うるさいっ!いいからにっかり堂のガトーショコラを食え」
お父様は馬鹿なので話が理解できず別の話題で割り込んできます。
 「私は可哀想なのよ。私を助けてよ。もう十分苦労したでしょう」
やれやれ、これだからクズは困ります。
だから苦労ではなく努力をしろと言っているのです。
クズは努力をしませんねぇ。
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