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ビニールボール
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むかしむかしの儚い記憶
私は確か3、4歳頃だったと思う
動物園の砂利道の駐車場を親子3人で歩いた
父、私、母の順に手を繋いでいた気がする
途中にある売店で、キャラクターのイラストが描かれたビニールボールを買ってもらった
2人とも笑ってた
それが本当に嬉しくて嬉しくて
動物園よりもずっとずっと
唯一覚えている父のと思い出だった
そして母と父は離婚をした
数年後のある日、事情を全く知らない祖母が「これもう古いから捨てていいか?」と聞いてきた
そうかこの思い出は、客観的にみたらそう見えるのか
確かに取っておいたボールはかなり汚れて、萎んでいた
ボールは何十年も前のあの時に捨ててもらったのに、気持ちだけは捨てられない
汚れは拭けば綺麗になるかもしれない、空気を入れれば元の大きさに戻るかもしれない
(私が何かしら行動をしたら、また3人で笑える日が来るかもしれない)
怖くてできなかった
(もしも私の事なんか覚えてないなんて言われたらどうしよう、悪い方にばかり転がったらどうしよう)
自分で捨てるのも怖くてできなかった
(そんな唯一の親子3人の思い出の品を捨てるのも)
だから捨ててくれてありがとう
(あの時こうしてればよかったのかもしれないと後悔する方がずっと幸せです)
約20年後
父は再婚をして、今は男の子が生まれているらしい
私のことは覚えているのだろうか
そんなことをたまに考えてしまう
私は確か3、4歳頃だったと思う
動物園の砂利道の駐車場を親子3人で歩いた
父、私、母の順に手を繋いでいた気がする
途中にある売店で、キャラクターのイラストが描かれたビニールボールを買ってもらった
2人とも笑ってた
それが本当に嬉しくて嬉しくて
動物園よりもずっとずっと
唯一覚えている父のと思い出だった
そして母と父は離婚をした
数年後のある日、事情を全く知らない祖母が「これもう古いから捨てていいか?」と聞いてきた
そうかこの思い出は、客観的にみたらそう見えるのか
確かに取っておいたボールはかなり汚れて、萎んでいた
ボールは何十年も前のあの時に捨ててもらったのに、気持ちだけは捨てられない
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(私が何かしら行動をしたら、また3人で笑える日が来るかもしれない)
怖くてできなかった
(もしも私の事なんか覚えてないなんて言われたらどうしよう、悪い方にばかり転がったらどうしよう)
自分で捨てるのも怖くてできなかった
(そんな唯一の親子3人の思い出の品を捨てるのも)
だから捨ててくれてありがとう
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