素直になれなくて

忘れ物

それから私からも必要以上に話さなくなったため、今日までずっとこんな調子だ。


これからもこの関係は変わることはないんだろうな。

カタン。

私はテーブルにお弁当を置く。

吉哉さんはいつものようにそれを鞄に詰め出かけて行った。

バタン。

なんとも無機質な音が独りだけになった家に響く。


ふとテーブルに目をやると、１枚の封筒。

中を見ると資料らしきものが入っている。


…忘れて行ったのかな？

私はその封筒を眺め、どうしたものかと考える。


届けたほうがいい？
でも、要らないから置いていっただけかも。

あんまり話したくないのに…。


仕方がないとため息をついて、ケータイを取り出し、吉哉さんの番号を押す。

封筒はやはり忘れ物だったらしい。

戻ってる余裕がないので届けてほしいと言われた。


私は、会社の近くの駅までならと言うことで了承した。

吉哉さんの会社へはもう行きたくなかったから。



なんでだろう。
前に同じようなことがあったときは嬉しかったのに。

私はなぜかイライラする気持ちを抑えながら封筒を持って家を出た。