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絵画のような人魚ー03ー
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第3話
午後三時、寮長の和泉さんから学生寮を住むための説明会が行われる予定になっていた。僕は隣部屋の秋人を呼びに、202号室の扉をノックした。すると中から眼鏡をかけた青年が現れたので、僕は隣の者と説明をした。
「北川くん、隣の人が呼びに来てるよ。えっと名前は……」
「あっ、胡桃って言います」と僕は自分の名前を告げた。そしたら眼鏡の青年は部屋の中に居る秋人へ伝えてくれた。「今行くよ」と秋人の声が聞こえる。僕は一歩下がって、秋人が出て来るのを待った。
「四季は準備が早いな。俺なんて荷物が多いから大変だよ」と扉に手をかけながら秋人が現れた。
「秋人、紹介するよ。僕と同じ部屋になった日置緑郎くん」
ここへ来る前、秋人のことを呼び捨てにしてなかったけど、何となく距離感を感じたのでここがチャンスだと思い、ごく自然に呼んでみたのだがーーもちろん、そんな僕の小さな勇気も知らず、秋人は僕の背中に隠れる緑郎を覗き込むように見た。
「まいど」といかにも関西人らしい挨拶をする緑郎に、秋人は靴の踵を直しながら、「もしかしてだけど関西の人?」と聞いた。
「ホンマかいな!!わかってもうたか」と僕の前でも見せたようにオーバーリアクションをする。
「わかりますよ。初めまして、北川秋人って言います」
「うわぁ!!君も四季くんと同じでかっこいい名前やな。秋人くんか、よろしくなあ」
意気投合するとはこの事なのか、誰に対しても気さくに話す秋人は経った五分で緑郎と仲良くなっていた。
「そうなんや、秋人くんは横浜出身かいな。ほんなら東京なんて何回も来てるんやな。僕なんか右も左もわからへんで」
「大丈夫だよ、緑郎……あっ、緑郎って呼んでいい?」
「ええよええよ。そんなんいくらでも呼んで。四季くんも僕のこと呼び捨てにしてや」と嬉しそうに言う。そんな緑郎の言葉に僕も笑いながら頷いた。
学生寮に来て早々、感じの良い二人に出会ったと嬉しい気持ちが溢れた。あれだけ不安だったけど、余計な心配だったかもと思った。僕たち三人は映画スタンドバイミーの少年たちのように並んで歩いた。まるで昔から友達のように会話を弾ませるのだった。
予定通り、午後三時から寮長の和泉さんから説明会が始まった。憩いの場と呼ばれるフロアーに集まる新一年生たち。まだ高校生気分が抜けていない連中だったり、いかにも初めて髪の毛を染めましたような人たちも、心機一転と意気込む者たちがこうして晴れて大学生になったのだ。僕たち若者が今後の人生を決める、大事な四年間が始まろうとした。
寮長の和泉さんの話しが始まった時、僕は耳で聞きながらも心の中では他事を考えていた。
それは、僕だけにある、僕だけの色を見つけることだった。
それが僕の大学に入ってやりたい事だった。もしもこの四年間で見つけることができなかったら……
きっと僕の大学生活は何も意味のないことになるのだろう。
午後三時、寮長の和泉さんから学生寮を住むための説明会が行われる予定になっていた。僕は隣部屋の秋人を呼びに、202号室の扉をノックした。すると中から眼鏡をかけた青年が現れたので、僕は隣の者と説明をした。
「北川くん、隣の人が呼びに来てるよ。えっと名前は……」
「あっ、胡桃って言います」と僕は自分の名前を告げた。そしたら眼鏡の青年は部屋の中に居る秋人へ伝えてくれた。「今行くよ」と秋人の声が聞こえる。僕は一歩下がって、秋人が出て来るのを待った。
「四季は準備が早いな。俺なんて荷物が多いから大変だよ」と扉に手をかけながら秋人が現れた。
「秋人、紹介するよ。僕と同じ部屋になった日置緑郎くん」
ここへ来る前、秋人のことを呼び捨てにしてなかったけど、何となく距離感を感じたのでここがチャンスだと思い、ごく自然に呼んでみたのだがーーもちろん、そんな僕の小さな勇気も知らず、秋人は僕の背中に隠れる緑郎を覗き込むように見た。
「まいど」といかにも関西人らしい挨拶をする緑郎に、秋人は靴の踵を直しながら、「もしかしてだけど関西の人?」と聞いた。
「ホンマかいな!!わかってもうたか」と僕の前でも見せたようにオーバーリアクションをする。
「わかりますよ。初めまして、北川秋人って言います」
「うわぁ!!君も四季くんと同じでかっこいい名前やな。秋人くんか、よろしくなあ」
意気投合するとはこの事なのか、誰に対しても気さくに話す秋人は経った五分で緑郎と仲良くなっていた。
「そうなんや、秋人くんは横浜出身かいな。ほんなら東京なんて何回も来てるんやな。僕なんか右も左もわからへんで」
「大丈夫だよ、緑郎……あっ、緑郎って呼んでいい?」
「ええよええよ。そんなんいくらでも呼んで。四季くんも僕のこと呼び捨てにしてや」と嬉しそうに言う。そんな緑郎の言葉に僕も笑いながら頷いた。
学生寮に来て早々、感じの良い二人に出会ったと嬉しい気持ちが溢れた。あれだけ不安だったけど、余計な心配だったかもと思った。僕たち三人は映画スタンドバイミーの少年たちのように並んで歩いた。まるで昔から友達のように会話を弾ませるのだった。
予定通り、午後三時から寮長の和泉さんから説明会が始まった。憩いの場と呼ばれるフロアーに集まる新一年生たち。まだ高校生気分が抜けていない連中だったり、いかにも初めて髪の毛を染めましたような人たちも、心機一転と意気込む者たちがこうして晴れて大学生になったのだ。僕たち若者が今後の人生を決める、大事な四年間が始まろうとした。
寮長の和泉さんの話しが始まった時、僕は耳で聞きながらも心の中では他事を考えていた。
それは、僕だけにある、僕だけの色を見つけることだった。
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きっと僕の大学生活は何も意味のないことになるのだろう。
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