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絵画のような人魚ー12ー
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第12話
少し遅れて学生食堂に着いた時、食道内は大勢の生徒で混雑していた。辺りを見渡していると、緑郎の関西弁が聞こえてきた。
「四季くん、こっちや」
緑郎と秋人が手を挙げて僕のことを呼んだ。すると視界に真壁純奈の姿も見えた。僕は定食を注文して彼らのテーブルへと急いだ。そして真壁純奈の向かいに座ると遅れたのを謝った。
「昨日はお疲れ様でした。四季くん引っ越しの作業頑張ってたから筋肉痛になってない?」と席に座るなり真壁純奈が話しかけてきた。そんな風に話しかけることが意外だったので内心驚くのだった。
何故なら昨日は、ほとんど会話した覚えがなかったからだ。
「純奈ちゃん、僕もごっつい筋肉痛になったわ」と緑郎が合いの手を入れるように会話へ入る。
「僕は全然大丈夫だよ。真壁さんこそ筋肉痛になってない?結構、重い荷物とか運んでいたよね」昨日の様子を思い浮かべながら言うと、彼女は上目遣いを使いながら、「そうかな、私って力がないからみんなの邪魔になってたかも」
彼女の仕草にドキッとした。上目遣いを使いつつ、あの巨乳を寄せるような仕草を見せたからだ。閉じた両脇で胸元が寄せられていた。正面に座った僕からは丸見えで、正直言って目線に困った。なんとなく、遅れて来たことに得したな……と心の中で思うのだった。このまま直視していたら頭の中がエロ一色になってしまうので、昼食に手をつけ始めた。
「そうそう、四季。例のサークルの件なんだけど、純奈も参加したいって言うんだけど良いよな」
秋人が言ったのは、緑郎がやりたいと話していたサークルの話だ。もちろん真壁さんが参加するのは問題ないけど、実際にどんなサークルなのか詳しくは知らなかった。
【アートの集い】と言っていたけど具体的にどんなサークル活動をするのだろうか?
「詳しい話は今夜、飯でも食べながらしないか?場所は【オリーブ】」
【オリーブ】は学生寮から歩いてすぐの喫茶店の事だった。吉祥寺へ初めて来た時に見つけた昭和の雰囲気が残る店である。秋人と初めて出会った場所でもあった。
夜になるとお酒などが飲めて、マスターが気さくで非常に便利な場所だった。
「他のメンバーには俺から連絡するよ。だから午後の授業が終わったら集合な」と秋人が言う。
「えっ!?他のメンバーって、まだいるの?」
「ほら、風子の引っ越しの時に来た子よ。みゆきもメンバーに入りたいって」と純奈が僕の顔を覗き込むように言ってきた。
「そうなんだ……」と僕は嬉しい気持ちを隠すように平然な態度で口にした。自分でもどうしてそんな態度を取ったのかはわからない。
そんなこんなで、僕の知らないところで予定は組まれて、午後からは自由行動となった。食堂でみんなと別れた後、僕は講師の春巻先生のところへ訪ねてみようと考えた。
昼下がりの構内は春の陽気に包まれており、行き交う学生たちが大学キャンパスを楽しんでいた。向かう途中でいろんなサークルから誘いの声をかけられたり、まさに大学ライフと呼ぶに相応しい状況を体験した。ようやく僕は大学生になったんだと実感をした。
そう言えば、食堂で秋人が別れ際に真壁さんに近づいて耳打ちしてたけど、何を話していたんだろう。気のせいだと思うけど、食堂を出る時に真壁純奈が僕の方を見ているような気がしたからだ。
しかし、後に真壁純奈から感じた視線は勘違いでは無かったと思い出させるのだった。それはある出来事によって、僕は真壁純奈から恨まれるとはこの時思いもしていなかった。
春巻先生の部屋に着いた時、目の前の扉が突然開いた!!一人の生徒が飛び出すように出て来たのだ。メガネをかけた女性は、扉に振り向き直して軽く会釈して後ろに下がった。そしてもう一度振り返ると、目の前に立っている僕の存在に気付いた。
「また会ったね。四季くん」
なんと、鮎川みゆきが再び、僕の目の前に現れたのだ!!
彼女は昼下がりの暖かい光に包まれて、優しい微笑みを見せていた。この時、僕は少なからず小さな運命を感じていた。
少し遅れて学生食堂に着いた時、食道内は大勢の生徒で混雑していた。辺りを見渡していると、緑郎の関西弁が聞こえてきた。
「四季くん、こっちや」
緑郎と秋人が手を挙げて僕のことを呼んだ。すると視界に真壁純奈の姿も見えた。僕は定食を注文して彼らのテーブルへと急いだ。そして真壁純奈の向かいに座ると遅れたのを謝った。
「昨日はお疲れ様でした。四季くん引っ越しの作業頑張ってたから筋肉痛になってない?」と席に座るなり真壁純奈が話しかけてきた。そんな風に話しかけることが意外だったので内心驚くのだった。
何故なら昨日は、ほとんど会話した覚えがなかったからだ。
「純奈ちゃん、僕もごっつい筋肉痛になったわ」と緑郎が合いの手を入れるように会話へ入る。
「僕は全然大丈夫だよ。真壁さんこそ筋肉痛になってない?結構、重い荷物とか運んでいたよね」昨日の様子を思い浮かべながら言うと、彼女は上目遣いを使いながら、「そうかな、私って力がないからみんなの邪魔になってたかも」
彼女の仕草にドキッとした。上目遣いを使いつつ、あの巨乳を寄せるような仕草を見せたからだ。閉じた両脇で胸元が寄せられていた。正面に座った僕からは丸見えで、正直言って目線に困った。なんとなく、遅れて来たことに得したな……と心の中で思うのだった。このまま直視していたら頭の中がエロ一色になってしまうので、昼食に手をつけ始めた。
「そうそう、四季。例のサークルの件なんだけど、純奈も参加したいって言うんだけど良いよな」
秋人が言ったのは、緑郎がやりたいと話していたサークルの話だ。もちろん真壁さんが参加するのは問題ないけど、実際にどんなサークルなのか詳しくは知らなかった。
【アートの集い】と言っていたけど具体的にどんなサークル活動をするのだろうか?
「詳しい話は今夜、飯でも食べながらしないか?場所は【オリーブ】」
【オリーブ】は学生寮から歩いてすぐの喫茶店の事だった。吉祥寺へ初めて来た時に見つけた昭和の雰囲気が残る店である。秋人と初めて出会った場所でもあった。
夜になるとお酒などが飲めて、マスターが気さくで非常に便利な場所だった。
「他のメンバーには俺から連絡するよ。だから午後の授業が終わったら集合な」と秋人が言う。
「えっ!?他のメンバーって、まだいるの?」
「ほら、風子の引っ越しの時に来た子よ。みゆきもメンバーに入りたいって」と純奈が僕の顔を覗き込むように言ってきた。
「そうなんだ……」と僕は嬉しい気持ちを隠すように平然な態度で口にした。自分でもどうしてそんな態度を取ったのかはわからない。
そんなこんなで、僕の知らないところで予定は組まれて、午後からは自由行動となった。食堂でみんなと別れた後、僕は講師の春巻先生のところへ訪ねてみようと考えた。
昼下がりの構内は春の陽気に包まれており、行き交う学生たちが大学キャンパスを楽しんでいた。向かう途中でいろんなサークルから誘いの声をかけられたり、まさに大学ライフと呼ぶに相応しい状況を体験した。ようやく僕は大学生になったんだと実感をした。
そう言えば、食堂で秋人が別れ際に真壁さんに近づいて耳打ちしてたけど、何を話していたんだろう。気のせいだと思うけど、食堂を出る時に真壁純奈が僕の方を見ているような気がしたからだ。
しかし、後に真壁純奈から感じた視線は勘違いでは無かったと思い出させるのだった。それはある出来事によって、僕は真壁純奈から恨まれるとはこの時思いもしていなかった。
春巻先生の部屋に着いた時、目の前の扉が突然開いた!!一人の生徒が飛び出すように出て来たのだ。メガネをかけた女性は、扉に振り向き直して軽く会釈して後ろに下がった。そしてもう一度振り返ると、目の前に立っている僕の存在に気付いた。
「また会ったね。四季くん」
なんと、鮎川みゆきが再び、僕の目の前に現れたのだ!!
彼女は昼下がりの暖かい光に包まれて、優しい微笑みを見せていた。この時、僕は少なからず小さな運命を感じていた。
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