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絵画のような人魚ー29ー
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第29話
翌日から僕の一日は忙しかった。
午前、午後と授業がいっぱい詰まっていた。大学に入ってから初めて勉強に追われる日々だった。重たい教材を肩に下げながら、僕はアトリエルームへ向かっていた。
もう一つの頭を悩ます課題だ。春巻先生から出題されている課題を考えなくてはならない。緑郎はすでに描くテーマが決まったのか、楽勝なんて言っていた。僕に関してはまったくイメージも湧かないし、何を描けば良いのか悩んでいた。
アトリエルームに入ると、何人かの生徒が思い思いに絵を描いていた。すると僕の姿を見て、緑郎が声をかけてきた。
「こっちや、四季くん」
呼ばれた方へ行くと、隣に風子が座っているのが見えた。
「あれ?何でお前が居るの。お前の専攻はデザインだろう」
緑郎と絵を描く約束をしていたのだが、風子が居ることに驚いた。何故ならてっきり秋人と一緒に居ると思ったからだ。
「何よ、私が居たら邪魔かしら?」と相変わらず強気に攻めてくる。僕はそれを無視して、緑郎が描いているデッサンを覗いた。
「風子ちゃんを呼んだのは僕や。僕の描きたいテーマが水をイメージした世界やから」
「そう言う事よ。ほら、高校まで水泳をしていたでしょう。だから緑郎くんが泳いでいる時や、どんな気持ちで目の前の見える光景を感じているのか教えてあげてるのよ」
「そうやで、実際に泳ぐ人の気持ちを聞いて、その感じを僕なりに表現していくんや」芸術的な発想と、キャンバスに描かれるデッサンを見て僕は緑郎の才能が羨ましかった。
「四季はイメージとか出来てるの?」と風子の痛い質問に、僕は真っ白いキャンバスがグレイ色の気持ちで塗られていくのを感じた。
結局この日、僕は何も描けないまま過ぎて行くのだった。
翌日から僕の一日は忙しかった。
午前、午後と授業がいっぱい詰まっていた。大学に入ってから初めて勉強に追われる日々だった。重たい教材を肩に下げながら、僕はアトリエルームへ向かっていた。
もう一つの頭を悩ます課題だ。春巻先生から出題されている課題を考えなくてはならない。緑郎はすでに描くテーマが決まったのか、楽勝なんて言っていた。僕に関してはまったくイメージも湧かないし、何を描けば良いのか悩んでいた。
アトリエルームに入ると、何人かの生徒が思い思いに絵を描いていた。すると僕の姿を見て、緑郎が声をかけてきた。
「こっちや、四季くん」
呼ばれた方へ行くと、隣に風子が座っているのが見えた。
「あれ?何でお前が居るの。お前の専攻はデザインだろう」
緑郎と絵を描く約束をしていたのだが、風子が居ることに驚いた。何故ならてっきり秋人と一緒に居ると思ったからだ。
「何よ、私が居たら邪魔かしら?」と相変わらず強気に攻めてくる。僕はそれを無視して、緑郎が描いているデッサンを覗いた。
「風子ちゃんを呼んだのは僕や。僕の描きたいテーマが水をイメージした世界やから」
「そう言う事よ。ほら、高校まで水泳をしていたでしょう。だから緑郎くんが泳いでいる時や、どんな気持ちで目の前の見える光景を感じているのか教えてあげてるのよ」
「そうやで、実際に泳ぐ人の気持ちを聞いて、その感じを僕なりに表現していくんや」芸術的な発想と、キャンバスに描かれるデッサンを見て僕は緑郎の才能が羨ましかった。
「四季はイメージとか出来てるの?」と風子の痛い質問に、僕は真っ白いキャンバスがグレイ色の気持ちで塗られていくのを感じた。
結局この日、僕は何も描けないまま過ぎて行くのだった。
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