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絵画のような人魚ー68ー
しおりを挟む食事も終わりが近づいて、僕らのテーブルに最後のデザートが運ばれた。
梨のタルトに冷たいアイスが添えられた上品なデザート。味わい深くて口の中を爽やかにしてくれた。
ヒロセさんは終始、自分の指先を見つめてはうっとりしていた。そしてそのまま妖艶は目で僕の顔を見る。その度に僕の中で性的なイメージを想像させた。ヒロセさんの美しい指に魅力されていたのだ。アイスが溶けるように、僕の内側も溶けて無くなるような感覚に襲われた。
「四季くん、そろそろ帰りましょう。寮まで送ってあげるわ」その言葉に頷きながら、僕は帰りたいという気持ちではなかった。彼女の絶対的な美しさを味わいたいと心の奥底で思っていたのだ。
ヒロセさんは立ち上がると僕の肩に顔を近づけて、そっと耳元へ囁いた。
「四季くん、私を抱きたい?それとも私の美しい指で、あなたの勃起したペニスをシゴいてあげましょうか?」
ヒロセさん、僕は…僕は……………
……そんな妄想は結局のところ妄想であって、現実の世界に戻った時は寮の目の前に到着していた。
「今度、また機会があったら食事に行きましょう」ヒロセさんはそれだけ言うと、閑静な住宅街にポルシェの重低音を響かせて夜の闇へ消え去った。
テールランプが瞬きするように光っている。彼女の秘密を知り、ヒロセさんの言葉と絶対的な美しさが目に焼き付いて、しばらく僕の瞳の中を離れなかった。そして思うのは、彼女の美しさを体験してみたいという思いだった。
きっと彼女もそんな僕の気持ちに気付いているだろう。何となくそんな気がしていた。それでも彼女は、僕の気持ちをもて遊ぶように異世界へと帰って行くのだ。
夢のような経験だった。僕に不確かな色合いを教えてくれた。彼女が言った色彩の考えた方。頭では理解できないけど、身体に染み込むような経験はした。
あれだけ悩んでいた事だったけど、自分の色について前向きな気持ちで考えられるようになっていた。
その夜、僕は一人寮の部屋で、彼女を思い浮かべながらオナニーをしてから眠りについた。
つづく……
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