異世界転生したら女に生まれ変わってて王太子に激愛されてる件

高見桂羅

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76.勉強会

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拝啓、前世の父さん、母さん、亜希那。お元気でしょうか?

俺は女になったけど元気に生活しています。
こっちでも家族に恵まれ、信頼できる友達も増え、男だけど婚約者もいます。

日本が恋しくなる事もあるけど、俺は幸せに暮らしていますので3人が幸せに暮らせていると良いなと思います。







「……アンジェリカ様、現実逃避は終わりましたか?」


少し低い声に振り替えると、目が笑っていない笑顔のラノフこと豊がいた。

視線を逸らした俺に、くすりと笑い声が聞こえてくる。

「ふふ、きっと疲れたのですわ。休憩に致しましょう」


俺の向かいに座っていたミシェルが立ち上がり、用意されていたティーセットでお茶を入れてくれようとしたのに気付き、豊が慌てて自分がすると申し出て変わっているのを横目で見ながら溜息をついた。


今日は元の世界では1月にあたる白の表の下旬で皆の休みボケも収まった頃である。

寒気休暇が終わり、学院が始まった初日、爵位が降格した事で残ってたミシェルの取り巻き達は波が引くように居なくなった。
前の騒動で離れていった者もいたけどそれでも、取り巻きが残っていたのは彼女が侯爵令嬢で父親が大臣だったからだ。
だが子爵に落ちた事でご機嫌取りをする必要がなくなったと、あっさりミシェルから離れていった。
それだけに飽き足らず、ある事ない事、陰口や嫌味を言うものも出てきたのだ。
でもミシェルは周りに何を言われても毅然とした態度を貫いていて、すごいと思う。


クラスが違うのはどうしようもないし、お昼休みの時は俺達と一緒に過ごしている。
クラスでは豊が気にかけてくれてるし、今のところ目立つような酷いこともされてないし、結構落ち着いてきた所である。


「お茶菓子を持ってまいりましたわ。アンジェ、これで元気を出してくださいまし」

シアが風呂敷の様なものに包まれた物をテーブルの上に置いて広げるとふんわりと甘い香りの漂う。
連日の俺のへばり様に見かねて持ってきてくれたのだろう。
シアの優しさが身に染みるぜ~~。


今、俺達がいるのは学院のホール近くの貸部屋だ。
月末が近付き、来月の二週目にくる学力試験に向け放課後に前回同様、豊に勉強を教えて貰っていたのだが、今回は学年二位のシアも参戦し、ソールクラスであるミシェルも教えてくれる事になった。
レティーツィアは婚約者に教えてもらってるらしく、時たまエミリーが参加するぐらいで大体は四人での勉強会だ。
まあ俺が一方的に教えてもらってる状態だけど……。

因みに新学期に入ってから卒業が間近だからかジョセフもお兄様も忙しいく放課後は二人と別行動だ。
お兄様は家でも会えるけど、ジョセフは朝の登校時しか会えないし、たまに朝すら会えない日もある。

だから、毎日豊と勉強してるのが気に食わないみたいで、朝の馬車の中でのスキンシップがちょっと激しい。
あんまり一緒に居られないのが寂しいのだろうと諦めている。
……まあ、俺も少し寂しいし……。恥ずかしいから言ってやらんけど。


そんなわけで四人で勉強してる訳だが、これが結構目立つのだ。

庶民だが学年首位のラノフ。
筆頭貴族のオーウェンス公爵令嬢のグレイシア。
父親が捕まり爵位降格し、いまだ噂の中心にいる元侯爵令嬢のミシェル。
そして王太子の婚約者の俺、アンジェリカ。

そこに極稀に時間が出来たと王太子であるジョセフや優良物件として注目の高いお兄様ことエレックまで顔を出すものだから、静かな図書室はギャラリーで溢れていて、ちっとも勉強に集中ができない。

だから貸部屋を借りる事にしたのだ。まあ学年トップ1,2が揃ってるから先生に教わってるのに近いんだけどさ…
落ち着いて勉強出来てるようになったものの、人目が無くなったことを良いことに豊が俺の限界ギリギリでスパルタでやるものだから俺は若干くたびれている訳である。


2年でソールクラスに行けなければ、このメンバーだと俺だけクラスが離れてしまうし、ミシェルとは約束したし、ソールクラスになったら少しでもジョセフの横に立つのに相応しくなれるかなと思ったのだから……頑張るしかないんだけどな。

シアが持ってきてくれたお菓子を頬張りながら決意を新たに意気込んでいると、豊がお茶のおかわりを用意しようとしていた。
このメンバーだと仕方がないけど、これでは給仕みたいだな。


「ラノフ、お手伝いします」
「いえ、アンジェリカ様にさせるわけにはいきません」
「私は皆さんの忙しい時間を割いて教えてもらってる身です。お礼も兼ねて淹れさせてください」


にっこり笑って立ち上がる。
他の人は落ち着かなくても我慢しているけど、豊には一方的に世話になるのはまだ抵抗がある。
困ったように見る豊に体を少し動かしたいからとお願いしてからポットを受け取った。


「それにジョセフに美味しく入れたものを飲ませてあげたいので練習中なんです。だからこっちも付き合ってください」
「それでしたら頂かないといけませんわね、グレイシア様」
「そうですわね。いろんな意味でご馳走様ですわアンジェ」

盛り上がる2人に、これでは惚気てるみたいじゃないか!と内心焦る。
豊から取り上げるための嘘だったけど…まずったなー。いや練習はしてるけどジョセフのためじゃないし!

2人に言われて豊が渋々席に着いたのを見届けてから俺は火照るのは熱いお茶から漂う湯気のせいにして、カップにお茶を注ぎ込んだ。




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