異世界転生したら女に生まれ変わってて王太子に激愛されてる件

高見桂羅

文字の大きさ
77 / 97

(番外編)明けましておめでとうございます!

しおりを挟む
本日は白の表の火の1。前世で言うところの1月1日元旦。

俺こと谷口彰は、この異世界で何故か女のアンジェリカとして転生して、王太子の婚約者という大層な御身分として生きていた。

貴族令嬢なんて柄じゃないけど、前世の記憶を思いだす前は性格に難ありではあったが令嬢としての教養は積んでいたお陰で悲しいけども違和感なくぶりっ子が出来ている。


年明け前の夜会でイグナシオン侯爵の断罪が行われ、その娘であり、俺の友人のミシェルの今後の処遇を聞いて、自分の無力さを痛感した。
教えてくれたジョセフや一緒に居てくれたお兄様が部屋に戻り、俺も布団に入ったものの、眠れず早朝なってしまった。
もう少ししたら日も登るだろう。

せっかくの新年めでたい日だというに、ため息ばかりが出る自分に嫌気がさして、初日の出を見て気分転換をしようと布団から出てベランダに出ようと窓を開けた。

開けた瞬間、あまりの寒さに身を震わせて慌てて窓を締めた。

無理!寒すぎ!防寒ちゃんとしないと無理!

着替えようと服を取り出すが、持ってきたワンピース(王宮なのでほぼドレスに近い)は一人で着れないので、こんな時間で申し訳ないけ無いが侍女さんを呼んだら、年嵩の侍女さんと20代前半ぐらいの二人入ってきた。
昨日の夜も見た顔だから、夜通し待機してくれてたのかな。
え?王宮って警護だけじゃなくて侍女にも夜勤もあるの?大変だなー。


日の出が見たいので着替えたいと頼んだら、なぜ日の出を見るのかと二人とも不思議そうにしながらも、着付けを手伝ってくれて、髪も軽く整えてくれた。

コートを羽織ってベランダに出るが、年嵩の侍女さんに日の出を見るにはこの部屋では少し見にくいと言われ少し残念に思っていると若い侍女さんはよく見える所があると教えてくれた。

「じゃあそこに案内してくれますか?」
「しかし、このような時間に出歩くのは……」
「日の出だけ見たらすぐ戻りますから!」

渋る年嵩の侍女さんに時間もないのでお願いしますと頼み込み、渋々了承してもらい、廊下に出ると今度は扉の前にいた護衛騎士さんに捕まった。

日の出が見たいと言うと首をかしげたので、この世界には初日の出を見ると言う習慣がないのかな?


ランタンを持つ若い侍女さんに案内してもらいながら、後ろから年嵩の侍女さんと護衛騎士さんも着いてきて挟まれる形で進む。


大きな渡り廊下にたどり着き、その渡り廊下はガラス張りでベランダに出ることが出来るようだ。

渡り廊下の先には王族の居住区らしく、奥に見える立派な扉の前にはガッチリした騎士さんが二人立っていて、此方を訝し気に見ている。
騎士さんと並んでいた年嵩の侍女さんは説明してきますと一礼して、そちらに向かっていった。
若い侍女さんが扉の鍵を開けて窓を開いてくれたのでベランダに出るとスッゴク広くて少しキョロキョロしてしまい、二人に軽く笑われてしまった。恥ずかしい。


「凄く広いですねー」
「そうですね、景色も良いですし、春には色とりどりの花もそちらのプランターで咲いてて素敵ですよ」

そういって手を向けた方に白い花が咲くプランターがあった。
温室と違って外にあるので冬は少し寂しいがとても綺麗なんだろうな。

侍女さんに進められプランターの間のベンチに座る。
座る前にハンカチを置いてくれてたの見て、ジョセフも学校で外のベンチに座るときはひいてくれたなーと思い出して顔が火照る。

丁度辺りが赤くなってきて、誤魔化せて良かったと景色を見てると、年嵩の侍女さんが戻ってきた。

「ありがとうございます。明るくなってきたのでそろそろ上がってきそうですよ」

ゆっくりと薄暗い空が遠くの山の山頂からゆっくりと赤くなる。
何で日の入りや日の出の時に赤くなるんだろ?と不思議に思いながら、見てるとカタンと後ろから音がして振り替えると、ジョセフが出てくる所だった。

「ジョセフ!?……ぁ、殿下」

慌てて立ち上がり淑女の礼をとると横に来たジョセフは俺の手を取って微笑んだ。

「おはようアンジェ、眠れなかったのか?」
「おはようございます……えと……はい……でも何故殿下が此方に?」
「書類仕事とか後処理とか残ってて、片付けてたらこんな時間になってしまったんだ。そろそろ寝ようかと思ってたら、アンジェが日の出を見るために此処に来たと報告が来てね」
「それは申し訳ございません。せっかくの初日の出ですから見たくて……」
「初日の出?」

ジョセフも首を傾げたのでやっぱり初日の出を見る習慣は無いんだな。

「そう言えば毎年レオンも見たがってたな……見ると良いことがあるのか?」
「詳しいことは……ですが今日から新しい年で初めての日の出ですから」


確かにと頷いたジョセフも山の方に目を向ける。
ベンチに並んで腰を降ろし、俺の肩に手を置いて体がくっつく。
着込んでいても寒かったのでじんわりと暖かくてホッとする。

侍女さん達は少し離れた所に下がり、二人だけにしてくれる。

ゆっくりと赤から金色の光が滲み出るように出てくる。
少し眩しくて目を細めながらゆっくりと光を放ちながら上がる太陽を無言で二人で見る。

「…………なんと神々しい……黄金色に包まれる城下が美しい」

ほぅっと感嘆の溜め息をつくジョセフに「そうでしょう」と得意気に言うと、ふふっと笑われた。

「こんなに素晴らしいものを今まで見ていなかったのは勿体無かったな。心が浄化された気分だ」
「気に入って頂けて良かったです」
「また来年も見たいな、お前と」


抱き寄せ耳元で囁きに頬が火照る。


「……私も」

呟くように小さな声で答えるとジョセフは嬉しそうに微笑んで俺を抱き締めた。


「今年も宜しく」
「こちらこそ宜しくお願い致します」


そっと背中に手を添え抱き合いながら完全に出てくる太陽を見たのだった。







──────────────────


明けましておめでとうございます!
今年も宜しくお願い致します!


しおりを挟む
感想 74

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...