異世界転生したら女に生まれ変わってて王太子に激愛されてる件

高見桂羅

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88.変わらない

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その後、途中までご一緒しようとなったけど、玄関ホールを通る時に登校してきた女生徒に水城が囲まれたので申し訳ないけど俺だけ退散した。


だって睨まれるもん。特に1年に。
飢えた獣並みでほんと怖い!


まあ、王族で物腰もやらかくてイケメンとくれば皆狙うよな……

二階の教室に向かうために階段を上りながら、ふと図書室の水城の様子を思い出す。

理由は分からないけど女性に良い思い出がないと警戒していた。
前世で何があったかは、ほんの数ヶ月隣の席だっただけの俺にはわからないが、怒りを滲ませていた。
なのに、あんなに女性に囲まれて大丈夫なんだろうか?



同じ転生者仲間で、それなりに仲良くしてた水城が困ってるかも知れないのに、知らんぷりなんて、やっぱり俺には無理だ。

それに、将来ジョセフと結婚したら俺の義理の弟になるのだから助けても問題ないよな!

女生徒達の怒りは買うかもしれないのがちょっと怖いけど……。

後ろに振り返り、もと来た道を引き返す。


玄関ホールに着くと、さっき逃げてきた時より輪が大きくなってる。

あんなに集まったら逆に覚えてもらえないだろ……と思いながら、どう突っ込んで助け出すか考えたけど、豊やシアみたいに頭良くないので正面突破しか思い付かなかった。


取り囲む令嬢達の輪に突撃して間を縫うように中心に行く。

「レオナルド殿下!」
「!?アンジェリカ嬢?」

声をかけると驚いた顔をして俺の方を見た。
まあ、さっき置いてったからな。
声をかける直前まで困った顔をしていたけど、俺を見て少しホッとした顔をしたのを見逃さなかった。
やっぱり戻ってきて良かった。

「少しお話があるのですわ。兄君のジョセフィード殿下のことで……」

怪訝な顔をしている周りをチラチラ見ながらジョセフの名前を出す。
人前では出来ない話と思わせる為だ。
虎の威を借りるつもりで出したのだが、効果はてきめんだったようだ。

1年は食い下がろうとしたけど、俺がジョセフの婚約者と知ってる人が止めてくれるだろうと「此方へ」と水城の手を引いて輪から連れだし水城の救出に成功した。

玄関ホールからガラス張りの向こう側の中庭に出る。
硝子越しならば人から見えるけど話を聞かれにくい。
硝子だから聞き耳をたてるほど近づけば此方からも丸見えだし、この時間は皆教室に向かうから中庭に来る人は居ない。
一応木々の間から人が来るかもと警戒していると水城は「先に行ったのでは?」と聞いてきた。

「そのつもりでしたが……その殿下は女性に苦手意識があるかと思って……囲まれると辛いのではと……」
「……その為に引き返して来てくださったんですか?」

キュッと唇を引き結び俯いてしまった。
やっぱり余計な事だったかな……

「余計な事をして申し訳御座いません。あ、ジョセフの事でお聞きしたいのも理由をつけて呼び出す口実でしたので特に何かあったわけではなく……」
「いえ、正直助かりました。沢山の女性に囲まれるのは少し怖いので……」
「それは前世むかしが関係してるのですか?」

水城は少し躊躇った様子をみせたが、ゆっくりと頷いた。

やっぱり前世で何かあったんだな。


「ごめん、無理に聞きたい訳じゃないんだ……でも何かあったら頼ってくれて良いから。同じ境遇の仲間なんだし力になれるならなりたい」

ね?と、首をかしげて俺が言うと水城は俯いてしまった。

「変わらないね、谷口くん あなた は……」

ぽそりと呟き、寂しそうに微笑む。

予礼の鐘が鳴り、ハッと見上げる。
同じように見上げている水城を見ると、水城も此方を見た。

「時間ですね。……アンジェリカ嬢・・・・・・・、助けて下さりありがとうございました。お礼は……」
「お礼なんていらな……」
「ハーブのお菓子でいいですか?」
「喜んで!」

返事してからハッとなり、慌てて口を手で覆う。

実の所、元々お菓子は好きだったけど、転生してから更にお菓子が好きになったんだなー。
だから、お茶を飲むときお茶請けは必須になってしまっている。
他の女子の事言えない……
これもアンジェリカの影響なのだろうか?

水城はクスリと笑ってから「後日持ってきます」と言い、時間がないので急ぎましょうとナチュラルに俺をエスコートして階段まで送ってくれた。

時間がないので此処までで申し訳ないと言いながら俺が見えなくなるまでその場から動かないから、立ち止まるわけにも行かず、途中の踊場から手を降って残りの階段を登る。
姿は見えないけどコツコツと音が聞こえたので、多分、向こうも教室に向かったのだろう。

急いで教室に向かいながら、さっきの水城が気になって仕方がない。


寂しそうに微笑んだ水城は何かに耐えるような顔をしていたから……



そして教室に着いた直後に本礼が鳴って慌てて席に着いたのだった。


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