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89.避難所
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水城に俺の事をカミングアウトしてから1ヶ月半ほどたった。
ソールになったのもあるかもだが二年になって授業が少し難しくなってきたので、テストには少し早いけど放課後に図書室で復習をするようになった。
せっかくソールになれたのに順位を下げて降格なんて笑えないからな。
放課後に図書室に入り浸っている俺に豊が教えてくれるようになり、それにシアが対抗して混ざり、その事を知ったミシェルまでもが混ぜて欲しいと来て、クラスの違うレティとエミリーも中々会えないからと頻繁に顔を出して来るようになったので大所帯になってしまった。
そして野次馬が増えた。
王太子の婚約者の俺や公爵令嬢であるシアと懇意にしたいのだと分かりやすい。
今回はジョセフは居ないので前ほどじゃないけど、あんまり利用者の少ない図書室で騒がれては図書室を使う人に迷惑がかかるし、1年の時の勉強会の時の様に部屋を借りる事にした。
毎日、手続きして借りるのは面倒だとシアが常に一部屋をキープしてくれることになった。
少なくとも学力検査が終わるまでは使うだろうし、学力検査が終わっても皆が気軽に集まれる場所で、人目を気にせずゆっくり出来るだろうから。
学院の庭や学食のテラスで談笑してると、空気読めない、いや、敢えて読まない人がわらわらと寄ってくるのだ。
ジョセフが居た時はホントに酷かったけど、ジョセフが居なくても、王太子の婚約者である俺や筆頭貴族のオーウェンス公爵令嬢であるシアが一緒に居るだけで繋がりを持ちたい人達が此方の都合お構いなしで話し掛けてくるのだ。
愛想悪くすると此方が悪くなってしまうらしい。
ほんの些細な事でも、ほっとくとすぐに根も葉も無い事を言われて酷くなってドン底に突き落とされたりする。
だからジョセフや水城も愛想が凄く良いのだろう。
水城は半分素だと思うけど。
辛くても顔に出さないのはそう言うことなのだ。
筆頭貴族の令嬢であるシアも同じでポーカーフェイスがうまい。
王族に嫁ぐ俺も、それができなければいけないと、侍女のリーチェに口酸っぱく言われている。
なのでキープした部屋は俺にもシアにもありがたいのである。
キープした場合、借りる部屋のスペアキーを2つ渡されるので、借りたシアと俺が1つずつ持つことになった。
一応目的は俺の勉強を教える為にだからね。
勉強が目的ではあるが、豊以外女子だ。
(俺も中身は元男だけど今は女子なので女子カウント)
今は軽い復習程度しかしてないからか、ついつい談笑に花を咲かせてしまう。
その度に豊の笑顔が怖いです。
みんな居るから敬語だし穏やかに話してくれるけどあんまり話し込むと目が笑ってない。
今では名前を呼ばれるだけで勉強に戻る程度には怖いです。
緑の裏(6月)に入り、雨が連日降って漸く晴れたある日の放課後。
シアは用事があるので先に行ってて欲しいと言われ、豊は図書室で本を借りてから向かうと言うので、1人でキープ部屋に向かっていた。
ミシェルは家の用事があると言ってたし、エミリーとレティも今日は来れないとお昼休みに聞いている。
二人が来るまで1人だなと寂しく思っていたら、名を呼ばれて振り向くと水城が取り巻きの令嬢の輪から出て此方に向かって来ていた。
あぁ、今日も令嬢達の視線が痛い。
「ごきげんよう、レオナルド殿下」
スカートを少し摘まみ淑女の礼をとると微笑みながら傍までやって来た。
「今帰りですかアンジェリカ嬢」
「いえ、借りたお部屋で皆でお茶会をするのですわ」
正しくは勉強会だが、人にいう事でもないしな。
それだけ言うと、水城は「ああ、成る程」と納得してくれた。
水城には前に部屋をキープして溜まり場にしてる話はしたのでそれだけで分かったようだ。
ちょっと羨ましそうな顔をされたことを思い出す。
今にも食って掛かりそうな顔をしている後ろ令嬢達を見て、水城を見ると少し疲労が顔に出ている。
水城にも逃げ場が必要なのかもしれない。
キープ部屋は俺やシアにとって避難所の様な場所。
水城にも避難所にならないかな?
水城は女性が苦手っぽいから、普段は女性が多いけど、幸い今日は水城にとって従姉のシアと豊しか来る予定がないから「良ければご一緒しませんか?」と誘ってみると、水城は嬉しそうに顔を綻ばせた。
「良いのですか?」
「はい。シアもおりますし、私のクラスメイトで友人の男性もおりますので」
「ああ、ラノフ・タイタスですね」
「ご存知なのですか?」
「名前だけは……庶民出身の学年首位なんて前代未聞らしいですしね」
1年にも有名なのか。
それにしても庶民が貴族を押さえて首位をとるのは豊が初めてだったんだな。
俺じゃないけど自分の事のように嬉しくなっちゃうな!
ちょっとドヤ顔してしまって、水城にキョトンとした顔をされてしまった。
他の令嬢達の視線が突き刺さるなか、水城は皆に挨拶してから俺と並んで部屋があるダンスホールの方へ向かうのだった。
ソールになったのもあるかもだが二年になって授業が少し難しくなってきたので、テストには少し早いけど放課後に図書室で復習をするようになった。
せっかくソールになれたのに順位を下げて降格なんて笑えないからな。
放課後に図書室に入り浸っている俺に豊が教えてくれるようになり、それにシアが対抗して混ざり、その事を知ったミシェルまでもが混ぜて欲しいと来て、クラスの違うレティとエミリーも中々会えないからと頻繁に顔を出して来るようになったので大所帯になってしまった。
そして野次馬が増えた。
王太子の婚約者の俺や公爵令嬢であるシアと懇意にしたいのだと分かりやすい。
今回はジョセフは居ないので前ほどじゃないけど、あんまり利用者の少ない図書室で騒がれては図書室を使う人に迷惑がかかるし、1年の時の勉強会の時の様に部屋を借りる事にした。
毎日、手続きして借りるのは面倒だとシアが常に一部屋をキープしてくれることになった。
少なくとも学力検査が終わるまでは使うだろうし、学力検査が終わっても皆が気軽に集まれる場所で、人目を気にせずゆっくり出来るだろうから。
学院の庭や学食のテラスで談笑してると、空気読めない、いや、敢えて読まない人がわらわらと寄ってくるのだ。
ジョセフが居た時はホントに酷かったけど、ジョセフが居なくても、王太子の婚約者である俺や筆頭貴族のオーウェンス公爵令嬢であるシアが一緒に居るだけで繋がりを持ちたい人達が此方の都合お構いなしで話し掛けてくるのだ。
愛想悪くすると此方が悪くなってしまうらしい。
ほんの些細な事でも、ほっとくとすぐに根も葉も無い事を言われて酷くなってドン底に突き落とされたりする。
だからジョセフや水城も愛想が凄く良いのだろう。
水城は半分素だと思うけど。
辛くても顔に出さないのはそう言うことなのだ。
筆頭貴族の令嬢であるシアも同じでポーカーフェイスがうまい。
王族に嫁ぐ俺も、それができなければいけないと、侍女のリーチェに口酸っぱく言われている。
なのでキープした部屋は俺にもシアにもありがたいのである。
キープした場合、借りる部屋のスペアキーを2つ渡されるので、借りたシアと俺が1つずつ持つことになった。
一応目的は俺の勉強を教える為にだからね。
勉強が目的ではあるが、豊以外女子だ。
(俺も中身は元男だけど今は女子なので女子カウント)
今は軽い復習程度しかしてないからか、ついつい談笑に花を咲かせてしまう。
その度に豊の笑顔が怖いです。
みんな居るから敬語だし穏やかに話してくれるけどあんまり話し込むと目が笑ってない。
今では名前を呼ばれるだけで勉強に戻る程度には怖いです。
緑の裏(6月)に入り、雨が連日降って漸く晴れたある日の放課後。
シアは用事があるので先に行ってて欲しいと言われ、豊は図書室で本を借りてから向かうと言うので、1人でキープ部屋に向かっていた。
ミシェルは家の用事があると言ってたし、エミリーとレティも今日は来れないとお昼休みに聞いている。
二人が来るまで1人だなと寂しく思っていたら、名を呼ばれて振り向くと水城が取り巻きの令嬢の輪から出て此方に向かって来ていた。
あぁ、今日も令嬢達の視線が痛い。
「ごきげんよう、レオナルド殿下」
スカートを少し摘まみ淑女の礼をとると微笑みながら傍までやって来た。
「今帰りですかアンジェリカ嬢」
「いえ、借りたお部屋で皆でお茶会をするのですわ」
正しくは勉強会だが、人にいう事でもないしな。
それだけ言うと、水城は「ああ、成る程」と納得してくれた。
水城には前に部屋をキープして溜まり場にしてる話はしたのでそれだけで分かったようだ。
ちょっと羨ましそうな顔をされたことを思い出す。
今にも食って掛かりそうな顔をしている後ろ令嬢達を見て、水城を見ると少し疲労が顔に出ている。
水城にも逃げ場が必要なのかもしれない。
キープ部屋は俺やシアにとって避難所の様な場所。
水城にも避難所にならないかな?
水城は女性が苦手っぽいから、普段は女性が多いけど、幸い今日は水城にとって従姉のシアと豊しか来る予定がないから「良ければご一緒しませんか?」と誘ってみると、水城は嬉しそうに顔を綻ばせた。
「良いのですか?」
「はい。シアもおりますし、私のクラスメイトで友人の男性もおりますので」
「ああ、ラノフ・タイタスですね」
「ご存知なのですか?」
「名前だけは……庶民出身の学年首位なんて前代未聞らしいですしね」
1年にも有名なのか。
それにしても庶民が貴族を押さえて首位をとるのは豊が初めてだったんだな。
俺じゃないけど自分の事のように嬉しくなっちゃうな!
ちょっとドヤ顔してしまって、水城にキョトンとした顔をされてしまった。
他の令嬢達の視線が突き刺さるなか、水城は皆に挨拶してから俺と並んで部屋があるダンスホールの方へ向かうのだった。
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