異世界転生したら女に生まれ変わってて王太子に激愛されてる件

高見桂羅

文字の大きさ
92 / 97

90.もうひとり!

しおりを挟む
キープ部屋に着き鍵を開け、水城を先に中に入ってもらってから俺も中に入る。

中に入ると少しムワッとした空気が肌に絡み付く。

季節は初夏のだし、大分暑くなったなと思いながら窓へ歩み寄る。



「水城、座って待ってて。お茶淹れるから」

部屋を見渡していた水城に部屋の熱気を逃がすために窓を開けながら声をかけてから、簡易キッチンに向かう。

卒業パーティーの夜会の時の控え室の一室である部屋でもあり、窓際には大きなソファーがあり、壁に大きな姿見鏡や簡易キッチンもある。

簡易キッチンには戸棚も付いていて、ティーセット一式が揃っている。

ティーセットは、ほぼ全部屋に備わってるらしいから恐ろしい。

俺達みたいに放課後に集まったり、お茶会をする生徒に普段貸し出している部屋には、多目にカップが置かれている。

国からの援助以外に貴族達からも寄付金があるので、食器を充実させられるのだろうか。




戸棚からポットとカップを取り出しながら簡易キッチンで水を沸かす。
ガスなんて便利な物はこの世界に無いし、薪を燃やして使う竈が主流だが、こういう簡易キッチンとかに置かれているのは、お茶を飲む為のお湯を沸かす程度なので、アルコールランプみたいなやつにマッチで火を付ける。

ちょっと理科の実験をしてる気分になる。
少し懐かしく感じてると水城が傍に寄ってきた。

「谷口くん、僕にやらせてくれませんか?」
「え?でも王子に給仕の真似事させるのは流石に……」
「そう言って皆、殆どやらせてくれないんです。淹れるのも好きなのですが……」

しょんぼりする水城にウッと詰まって、ナイショだからねと場所を譲る。
嬉しそうに破顔した水城に苦笑いを返し、隣で持参した茶菓子を取り出してお皿に乗せてテーブルに運んだ。

水城はウキウキと二人分淹れるとテーブルに運び、俺と水城は向い合わせの席に座った。

せっかく淹れてくれたので、ありがたく口をつける。

やべぇ!めっちゃうまい!
俺が淹れるのとは比べ物にならなくね?

これがリアル女子力!?

最近上達した方だったけど、まだまだだと思い知らされ、少しへこみながらお菓子のアーモンドがたっぷり入ったクッキーを頬張った。

水城も一口お茶を口に含んで満足そうに微笑んだ。

俺は少し談笑してから、此所に来るときに考えてた事を水城に提案してみることにした。


「なあ、水城もし良かったらなんだけど、また此所に来てお茶しにこないか?」
「え?」

水城は少し目をぱちくりしながら小首を傾げた。

「ほら、女の子に囲まれて少し疲れてたみたいだし……避難所にどうかなって。あ、でも、この部屋には俺の友達が来るから女の子多いのは変わらないんだけどさ。でも俺抜いて四人中二人以外は婚約者いるし、残りの二人の内一人はシアだし、もう一人はきっと水城を困らせたりはしないと思うんだ」


シアは勿論だが、ミシェルも王家に害することはないだろう。

シアは筆頭貴族オーウェンス侯爵家の令嬢でそのことに誇りを持っている。
母親が王の姉であることからも角が立たないように立ち振る舞いも常に気を使っている。

ミシェルは父親が断罪された時、無関係との事で見逃された身の上だ。
次に王家に害をなせば今度こそ立場が危うい。
それに根回ししてくれたジョセフにも恩を仇で返すことになる。
彼女自身は本来は人を害したいタイプじゃないし、ジョセフにとても感謝していたから大丈夫なはずだ。

人目を気にしなくていいこの部屋は俺とシアだけでなくミシェルにも落ち着く場所となっていた。


「此所に来る令嬢達は、水城を害する奴はいない。俺が保証する」

ハッキリと言い切った俺に水城は困惑した顔になった。
これは…迷惑だったのだろうか?


「ご、ごめん。迷惑だった?」
「いえ……少し驚きましたが、嬉しいです……ありがとう谷口くん。でも女性ばかりの此所に来るのは……」
「男ならラノフがいるけど」
「首席と言えど彼は……その……せめてもう一人いらっしゃれば……」

つまり平民の豊だと立場が少し弱いから、周りにとやかく言われたりする可能性があるということだろうか?
今まで豊一人だけが此所に来ることは、豊が俺の従者的なポジションに収まってると思われているからましだが、多少はやっかみを受けているのは知ってた。
豊自身は問題ないと気にしてなかったけど、シアとどうにかしようと話し合ってた。
水城が来てくれるなら解決するかなーと軽く考えてたが水城は水城で問題が発生するのか。

でも水城は王族だから、立場は強いからやっかみは受けないだろうけど、女性陣の中に婚約者がいるわけでは無いし外聞が悪いのかもしれない。

もう一人男を増やせばと思うが、此所に誘っても問題の無い男の知り合い等いない……と言うか婚約者がいる身で他の男と仲良くするわけにはいかないから、男の友達なんて豊しかいないよ……

どうしたら丸く収まるかなと腕をくんで唸ってると軽くノック音が響いた。



返事をするとゆっくり開いた扉の向こうから入って来たのはシアだった。




しおりを挟む
感想 74

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...