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25.友情と恋心1(ラノフside)
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一緒に、いるのが当たり前だった。
嬉しいときも困ったときも、傍に居て一緒に笑い泣き、兄弟の様に育った彰は、幼馴染であり親友だった。
高校で違う学校になったけど、家が隣だったからか、ほぼ毎日、顔を合わしてた気がする。
あの日は、たまたま担任に荷物整理の用事を頼まれて学校に残っていた。
スマホに彰からメッセージが入っていて、こっそり見ると俺の学校の近くの本屋に行くから合流しようぜと書かれていた。
先生から用事を頼まれたから今日は無理だと送ると、よく分からないキャラのブーイングしてるスタンプが送られてきて、思わず笑ってしまった。
詫びを送り、持ち込み禁止だったスマホをズボンのポケットに携帯を仕舞いこんだ。
それが最後の彰との会話だった。
彰が亡くなって数ヵ月後、体調を崩して入院し、検査の結果、悪性のガンが見つかって三年の闘病生活も虚しく病状は悪化していった。
死ぬのは怖かったが、彰が待ってると思えば自然と落ち着いた。
最後はあまり覚えてないけど、最後の記憶は両親に見守られてたから、そのまま死んだのだろう。
目を覚ますと見慣れない家だった。
体も思うように動かせなくて、もどかしく思ってると、空色の髪と瞳をした女性が聞いたことの無い言葉を紡ぎながら、俺を抱き上げた。偶然、鏡が見えて自分が赤ん坊の姿で同じ髪と瞳を持っていることに気づいた。
記憶を保持したまま異世界に転生した事に気付き、動揺した。
始めは必死に言葉と文字を覚えた。
でもある程度理解したときに余裕ができて、前世の世界には二度と帰れないとホームシックに陥った。
死んだら彰に会えると思っていたのに、実際は彰はいなかったし、今世の両親には前世の記憶があるなんて信じてもらえないだろうと思い言い出せなかった。
こんな時、いつも傍にいて励まして信じてくれた彰は今は居ない。
苦しくて悲しくて……縋るように前世の七夕の日に短冊を作り願った。
もう一度会いたい、もう一度、彰に会わせてくれと。
願いは叶わなかったけど、弱ってた俺を両親がひどく悲しんだのを見て、前世の両親の顔と重なって見えた。
弱っていく息子を見て何度も泣いていた母。母を慰めながら、なぜ自分ではなかったのかと自身を責めた父。
また同じ事を繰り返す分けにはいかないと、何とか立ち直る事ができた。
彰に会いたいと願い書いた短冊は、お守りにして同じ症状に陥った時は、それを見て落ち着かせた。
町の教会が学校を運営していて、庶民の子供は皆、そこで必要最低限の勉強を習う。
俺も家の手伝いをしながら通った。
ある日たまに来る、学校に運営資金を寄付していた貴族の1人、ネイサン子爵が後見人になるから王都にある貴族の王立学院に行かないかと声をかけられた。
ネイサン子爵は60歳になり、息子に家督を譲って慈善活動しながら隠居生活をしているそうで、今以上に勉強したいと願い、その実力があるものに手を差しのべているらしい。
俺は勉強はもっとしたかったし、庶民では読めない本も沢山あるだろうし、学院を出れば庶民の俺でも良い職につける事もあり、親を楽にさせてやれると思った俺は、即座に了承した。
その後、半年はネイサン子爵の屋敷で家庭教師をつけてもらい貴族の最低限の勉強、貴族相手でも失礼の無いよう、マナーなどを教わった。
入試試験は首位で突破し、ネイサン子爵は後見人として鼻が高いと喜んでくれた。
貴族の中には地方に住み、王都に屋敷の無い家もあるため寮もある。庶民も後見人の家に住み込みか寮に入るのが基本で俺も寮に入った。
学院が成績順でクラスは振り分けられ、最高クラスのソールにはプライドの高い貴族が多かった。
庶民と言うだけで馬鹿にしてくる者もいたが、負け惜しみだと考え、失礼の無い範囲で軽くあしらい、放課後は日が暮れるまで図書室に入り浸り本を読む日々を繰り返していた。
そして、いつも様に図書室で読む本を選んでる時、彼女に出会った。
淡い桃色のふんわりした艶のある髪、潤んだ青みかかった緑の瞳、白い肌に、ふっくらした赤みを帯びた唇。
一目惚れだった。
困ってた彼女に声をかけると、驚かせてしまった。
転びかけた彼女を抱き締めるように支えると、驚いて慌て頬が赤くなった。あまりの可愛さに胸が高鳴った。
いつも使っていた席に、彼女が居たのは驚いたが、これも運命ではないかと相席を願うと、あっさり了承され、机を挟んだ前の席に座った。
本を読んでいると、彼女はテスト勉強に悪戦苦闘していて、教会の学校に通ってた時に、よく下の子達の勉強を教えていた癖で、つい教えてしまったが、特に気にせず真剣に聞いてくれた。
嬉しいときも困ったときも、傍に居て一緒に笑い泣き、兄弟の様に育った彰は、幼馴染であり親友だった。
高校で違う学校になったけど、家が隣だったからか、ほぼ毎日、顔を合わしてた気がする。
あの日は、たまたま担任に荷物整理の用事を頼まれて学校に残っていた。
スマホに彰からメッセージが入っていて、こっそり見ると俺の学校の近くの本屋に行くから合流しようぜと書かれていた。
先生から用事を頼まれたから今日は無理だと送ると、よく分からないキャラのブーイングしてるスタンプが送られてきて、思わず笑ってしまった。
詫びを送り、持ち込み禁止だったスマホをズボンのポケットに携帯を仕舞いこんだ。
それが最後の彰との会話だった。
彰が亡くなって数ヵ月後、体調を崩して入院し、検査の結果、悪性のガンが見つかって三年の闘病生活も虚しく病状は悪化していった。
死ぬのは怖かったが、彰が待ってると思えば自然と落ち着いた。
最後はあまり覚えてないけど、最後の記憶は両親に見守られてたから、そのまま死んだのだろう。
目を覚ますと見慣れない家だった。
体も思うように動かせなくて、もどかしく思ってると、空色の髪と瞳をした女性が聞いたことの無い言葉を紡ぎながら、俺を抱き上げた。偶然、鏡が見えて自分が赤ん坊の姿で同じ髪と瞳を持っていることに気づいた。
記憶を保持したまま異世界に転生した事に気付き、動揺した。
始めは必死に言葉と文字を覚えた。
でもある程度理解したときに余裕ができて、前世の世界には二度と帰れないとホームシックに陥った。
死んだら彰に会えると思っていたのに、実際は彰はいなかったし、今世の両親には前世の記憶があるなんて信じてもらえないだろうと思い言い出せなかった。
こんな時、いつも傍にいて励まして信じてくれた彰は今は居ない。
苦しくて悲しくて……縋るように前世の七夕の日に短冊を作り願った。
もう一度会いたい、もう一度、彰に会わせてくれと。
願いは叶わなかったけど、弱ってた俺を両親がひどく悲しんだのを見て、前世の両親の顔と重なって見えた。
弱っていく息子を見て何度も泣いていた母。母を慰めながら、なぜ自分ではなかったのかと自身を責めた父。
また同じ事を繰り返す分けにはいかないと、何とか立ち直る事ができた。
彰に会いたいと願い書いた短冊は、お守りにして同じ症状に陥った時は、それを見て落ち着かせた。
町の教会が学校を運営していて、庶民の子供は皆、そこで必要最低限の勉強を習う。
俺も家の手伝いをしながら通った。
ある日たまに来る、学校に運営資金を寄付していた貴族の1人、ネイサン子爵が後見人になるから王都にある貴族の王立学院に行かないかと声をかけられた。
ネイサン子爵は60歳になり、息子に家督を譲って慈善活動しながら隠居生活をしているそうで、今以上に勉強したいと願い、その実力があるものに手を差しのべているらしい。
俺は勉強はもっとしたかったし、庶民では読めない本も沢山あるだろうし、学院を出れば庶民の俺でも良い職につける事もあり、親を楽にさせてやれると思った俺は、即座に了承した。
その後、半年はネイサン子爵の屋敷で家庭教師をつけてもらい貴族の最低限の勉強、貴族相手でも失礼の無いよう、マナーなどを教わった。
入試試験は首位で突破し、ネイサン子爵は後見人として鼻が高いと喜んでくれた。
貴族の中には地方に住み、王都に屋敷の無い家もあるため寮もある。庶民も後見人の家に住み込みか寮に入るのが基本で俺も寮に入った。
学院が成績順でクラスは振り分けられ、最高クラスのソールにはプライドの高い貴族が多かった。
庶民と言うだけで馬鹿にしてくる者もいたが、負け惜しみだと考え、失礼の無い範囲で軽くあしらい、放課後は日が暮れるまで図書室に入り浸り本を読む日々を繰り返していた。
そして、いつも様に図書室で読む本を選んでる時、彼女に出会った。
淡い桃色のふんわりした艶のある髪、潤んだ青みかかった緑の瞳、白い肌に、ふっくらした赤みを帯びた唇。
一目惚れだった。
困ってた彼女に声をかけると、驚かせてしまった。
転びかけた彼女を抱き締めるように支えると、驚いて慌て頬が赤くなった。あまりの可愛さに胸が高鳴った。
いつも使っていた席に、彼女が居たのは驚いたが、これも運命ではないかと相席を願うと、あっさり了承され、机を挟んだ前の席に座った。
本を読んでいると、彼女はテスト勉強に悪戦苦闘していて、教会の学校に通ってた時に、よく下の子達の勉強を教えていた癖で、つい教えてしまったが、特に気にせず真剣に聞いてくれた。
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