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24.同胞と記憶
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俺は固まってるラノフに気づかずに嬉々と声を弾ませる。
「ラノフの前世は何て名前だったの?」
返事が無くて不思議に思って顔を見るとハッとした顔をして、顔を逸らされた。
「ラノフ?」
「す、すみません。色々うろ覚えな所もあって……その前世の名は覚えてなくて……」
申し訳なさそうに俯いたラノフを見て、自分の名前を覚えてない事あるのかと思ったが、俺も最近まで前世の記憶は覚えてなかった訳だし、記憶が戻った今は逆に、この世界の記憶を殆ど無くしてしまった。もろもろ考えたら、あり得なくは無いかな。
「……ごめん、無神経だったね。つい同じ境遇の人に会えて嬉しくて……」
「い、いえ、アンジェリカ様が謝ることでは……」
「また敬称と敬語……アンジェか彰でいいのに」
「いいえ、人前で、つい出てしまっては、まずいですから、このままにしていただけると嬉しいです」
「むー……じゃあ、せめて私と友達になってくれる?ラノフを見てると前世の親友と居るみたいで安心するんだ」
「っ…………はい、俺で良ければ……」
「ありがとう」
ラノフは苦笑してから俯いてしまった。真面目な性格みたいだし、やはり身分が気になるのかもしれない。
前世の事はあんまり聞いてほしくない気がするから深入りしないように気を付けないと。
でも一番気になるのは短冊の願いだ。
――――――もう一度会いたい――――――
その願いは叶ったのだろうか。
会いたいのは誰だろう?家族や友人……恋人かもしれない。
置いてきてしまって二度と会えなくなった大切な人にもう一度会いたいと願うのは俺にもある。
両親、妹……そして豊。
叶うなら、感謝の気持ちを伝えたいが、戻ることはできない。
向こうの俺が死んだから、こちらに転生してるのだから。
ふと顔を上げると、時計が目に付く。
「あ!もうこんな時間!お迎えの時間過ぎてる!」
勢いよく立ち上がり、大慌てで荷物整理する。
「ラノフごめん、迎え待たしてるだろうから今日は帰る!リーチェに怒られる」
「リーチェ?」
「お……んん!私の専属侍女。いつもは3年のお兄様と帰るんだけど、今は野外学習で週末まで帰ってこないから、比較的自由にさせてもらってるけど、日が落ちる迄に帰るのが条件なんだ」
「なるほど……でしたら本は俺が片付けておきますよ。あまり慌てると転けてしまいますよ。落ち着いて」
「人目もあるから廊下は走らないから大丈夫!明日も来ていい?沢山話したい」
「ふふ……構いませんが、お勉強もしますよ」
「う……そう言うとこ豊そっくり……じゃあまた明日!」
こんな時間になると流石に帰宅してる人が大半で人の気配がしない。静まり返った廊下を早歩きで通り抜け、駐車場まで急いだ。
その後、残されたラノフが項垂れながら涙を溢してるなんて俺には知るよしもなかった。
駐車場に着くと、ハラハラとしながら御者が待っていた。彼もリーチェに、きつく言い聞かせられているのだろう。俺の顔を見てホッとした顔をした。
一言謝ってから馬車に乗り込み、家路を急ぐ。
「お帰りなさいませ。ギリギリでしたね」
屋敷に着いて玄関に入ると、すっごく良い笑顔のリーチェに出迎えられた。
「あー、えと……ごめんなさい」
御者さんが少し何時もより飛ばしてくれました。
お陰で少し乗り心地は悪かったが、彼は悪くない。
遅くなった俺の所為だし。
「授業終わった後だと短いですね……」
「基本は皆様、ご自宅でお勉強なさりますからね。それに、ご令嬢は好きでもないかぎり、そこまでお勉強は、なさりません。学院に入る前に家庭教師で必要最低限は教わりますしね。学院を卒業すれば、嫁がれる方が多いのですから」
皆、家でやるのか。通りで図書室は人が居ないはずだ。
しかし本気で勉強しない令嬢が多いなんて、だったら何のために学校行ってるんだ?
横の繋がりか?たぶん、そうだよね……
一番下のクラス、ステラが女性率高いのはそのためか……ルナは男性の方が少し多いけど、半々と言ってもいいだろう。
逆にソールは男が多いようだ。30人いるクラスに女性が6人ほどなんて少なすぎでしょ……
「お嬢様、お食事の前に湯浴みなさいますか?」
「そうですね。その前に喉が乾いたのでお茶ください」
「畏まりました」
部屋に着いて、リーチェがドアを開けてくれる。
部屋に入ると一礼してリーチェがお茶を準備するために出ていく。
ソファーに腰かけて溜め息を付く。
明日はラノフと何を話そう。ジョセフ達が帰ってきたら今みたいに気軽に会えないかもしれない。それも何とかしないとな。
気がつくと、うたた寝をしてをして戻ってきたリーチェに起こされたのだった。
「ラノフの前世は何て名前だったの?」
返事が無くて不思議に思って顔を見るとハッとした顔をして、顔を逸らされた。
「ラノフ?」
「す、すみません。色々うろ覚えな所もあって……その前世の名は覚えてなくて……」
申し訳なさそうに俯いたラノフを見て、自分の名前を覚えてない事あるのかと思ったが、俺も最近まで前世の記憶は覚えてなかった訳だし、記憶が戻った今は逆に、この世界の記憶を殆ど無くしてしまった。もろもろ考えたら、あり得なくは無いかな。
「……ごめん、無神経だったね。つい同じ境遇の人に会えて嬉しくて……」
「い、いえ、アンジェリカ様が謝ることでは……」
「また敬称と敬語……アンジェか彰でいいのに」
「いいえ、人前で、つい出てしまっては、まずいですから、このままにしていただけると嬉しいです」
「むー……じゃあ、せめて私と友達になってくれる?ラノフを見てると前世の親友と居るみたいで安心するんだ」
「っ…………はい、俺で良ければ……」
「ありがとう」
ラノフは苦笑してから俯いてしまった。真面目な性格みたいだし、やはり身分が気になるのかもしれない。
前世の事はあんまり聞いてほしくない気がするから深入りしないように気を付けないと。
でも一番気になるのは短冊の願いだ。
――――――もう一度会いたい――――――
その願いは叶ったのだろうか。
会いたいのは誰だろう?家族や友人……恋人かもしれない。
置いてきてしまって二度と会えなくなった大切な人にもう一度会いたいと願うのは俺にもある。
両親、妹……そして豊。
叶うなら、感謝の気持ちを伝えたいが、戻ることはできない。
向こうの俺が死んだから、こちらに転生してるのだから。
ふと顔を上げると、時計が目に付く。
「あ!もうこんな時間!お迎えの時間過ぎてる!」
勢いよく立ち上がり、大慌てで荷物整理する。
「ラノフごめん、迎え待たしてるだろうから今日は帰る!リーチェに怒られる」
「リーチェ?」
「お……んん!私の専属侍女。いつもは3年のお兄様と帰るんだけど、今は野外学習で週末まで帰ってこないから、比較的自由にさせてもらってるけど、日が落ちる迄に帰るのが条件なんだ」
「なるほど……でしたら本は俺が片付けておきますよ。あまり慌てると転けてしまいますよ。落ち着いて」
「人目もあるから廊下は走らないから大丈夫!明日も来ていい?沢山話したい」
「ふふ……構いませんが、お勉強もしますよ」
「う……そう言うとこ豊そっくり……じゃあまた明日!」
こんな時間になると流石に帰宅してる人が大半で人の気配がしない。静まり返った廊下を早歩きで通り抜け、駐車場まで急いだ。
その後、残されたラノフが項垂れながら涙を溢してるなんて俺には知るよしもなかった。
駐車場に着くと、ハラハラとしながら御者が待っていた。彼もリーチェに、きつく言い聞かせられているのだろう。俺の顔を見てホッとした顔をした。
一言謝ってから馬車に乗り込み、家路を急ぐ。
「お帰りなさいませ。ギリギリでしたね」
屋敷に着いて玄関に入ると、すっごく良い笑顔のリーチェに出迎えられた。
「あー、えと……ごめんなさい」
御者さんが少し何時もより飛ばしてくれました。
お陰で少し乗り心地は悪かったが、彼は悪くない。
遅くなった俺の所為だし。
「授業終わった後だと短いですね……」
「基本は皆様、ご自宅でお勉強なさりますからね。それに、ご令嬢は好きでもないかぎり、そこまでお勉強は、なさりません。学院に入る前に家庭教師で必要最低限は教わりますしね。学院を卒業すれば、嫁がれる方が多いのですから」
皆、家でやるのか。通りで図書室は人が居ないはずだ。
しかし本気で勉強しない令嬢が多いなんて、だったら何のために学校行ってるんだ?
横の繋がりか?たぶん、そうだよね……
一番下のクラス、ステラが女性率高いのはそのためか……ルナは男性の方が少し多いけど、半々と言ってもいいだろう。
逆にソールは男が多いようだ。30人いるクラスに女性が6人ほどなんて少なすぎでしょ……
「お嬢様、お食事の前に湯浴みなさいますか?」
「そうですね。その前に喉が乾いたのでお茶ください」
「畏まりました」
部屋に着いて、リーチェがドアを開けてくれる。
部屋に入ると一礼してリーチェがお茶を準備するために出ていく。
ソファーに腰かけて溜め息を付く。
明日はラノフと何を話そう。ジョセフ達が帰ってきたら今みたいに気軽に会えないかもしれない。それも何とかしないとな。
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