異世界転生したら女に生まれ変わってて王太子に激愛されてる件

高見桂羅

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31.無防備な君と隠しきれない恋心

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結局、俺の願いも虚しく、早馬によって手紙は届けさせていると良い笑顔で夕食の時に爺に言われた。
ホントにごめんね、届けてくれる人……
帰ってきたら労って上げてくれとお願いしておいた。


次の日、朝からソワソワと落ち着きがなかったと、放課後シアが帰り際に言ってきた。
別に兄が帰ってくるから嬉しいとかではない。断じて違うからな。
シアは上の空だった俺を咎めてる訳でもなく、ただ微笑ましそうに言いながら俺が反論する前にさっさと帰っていった。
横のイーノスも何故か1日機嫌か悪かったのか、何時もより言葉にトゲが増えてた気がする。帰り支度をして、まだ教室にいるクラスメイトに挨拶をしてから玄関ホールに向かう。

玄関ホールに入ると人だかりがいつも以上に多かった。
どうやら3年生を出迎えている下級生でごった返していているようで、思わず渋い顔になる。
あの人だかりに入る勇気はないと思っていると、丁度人に揉まれながら人だかりから出てきた人に聞くことにした。
3年生は既に全員、到着してるものの一気に降りてくると混雑するから、順番に降りて来てるところだそうだ。
一度教室に戻って点呼をとってから帰る事になるそうだ。
つまりお兄様も帰れるのはもう少し後になる。
帰りは一緒に帰ると約束していたので、時間が空いてしまった。
せっかく時間が空いているなら勉強するかと思ったがお兄様を待つのには教室にいた方が分かりやすくて良いだろう。ならば図書室で歴史書でも借りて教室で読みながら待つことに決めて図書室に足を向ける。

図書室に入ると、まばらだが人がいた。皆、俺と同じで待ってる組なんだろうなと考えながら目的の本棚に向かう。歴史に関する本が並べられた本棚は奥まった場所にあって一番遠い。
辿り着くと、見知った後ろ姿があった。

「ラノフ」

空色の髪が揺れて振り向いて見えた同じ色の瞳が俺をとらえた。目を見開いたラノフは少し呆けたように口が小さく開いていた。

「アンジェリカ様、今日は来れなかったのでは?」
「一緒に帰ると約束したお兄様が、まだ帰れそうにないから時間潰しに勉強しようと思って……でも、何時もより時間はないだろうから歴史書を借りて読もうかなって」
「そうでしたか」

本棚を眺め、数冊手に取り中を確認する。
ラノフはスッと俺の近くにあった本を取ると俺に差し出した。

「この本がお勧めです。今度の試験の範囲がすべて入っていますし、他の本に比べれば分かりやすいです」
「わぁ!ありがとう助かるよ!」

にっこり微笑んで受けとると、ラノフはぐっと堪えるような顔をして顔を反らした。
どうしたんだと覗き込もうとすると、ジトリと軽く睨まれた。

「貴女は……どうして、そう無防備なのですか」
「え?」

無防備とはなんのことだ?そんな事ないと思うが、仮に無防備だったとしても友達に警戒する必要なんてないしと首を傾げていると、いつの間にか至近距離にラノフが立っていた。
ラノフは俺の頬をするりと撫でじっと見下ろしている。急に頬を撫でられた俺はくすぐったくて、肩を竦めた。見上げたラノフの瞳は熱がこっていて困惑する。現状が理解はできてないが何故かヤバいと思った。後退りすると、同じだけ詰めてくる。あっという間に本棚との間に挟まれてしまった。
逃げ道を塞ぐように本棚に手を置かれ、囲われてしまった。混乱した頭の端で、これが噂の壁ドンかと思っていた。

「ラ……ラノフ?あの……」
「貴女は……分かっているのか?俺だって男なのだと」

それぐらい解っている。と思うのに口から声が出ない。至近距離で見つめられ戸惑う俺の髪を一房持ち上げると唇を押し当てる。
髪にキスをされたと一拍置いてから理解し顔が赤くなる。

「昨日、貴女は気になる方がいるのかと聞きましたよね?」

確かに昨日、好きな人がいるかは聞いた。曖昧だったけど肯定と取れる返事をされたので誰だろうとは思ってた。
急に昨日の話を振ってくるラノフの艶のある笑みを見て、聞いてはいけないと心が訴えてくる。
ドクドクと心臓が早鐘を打ち、聞きたくないと必死に顔を反らして目を瞑り耳を塞ぐ。目を瞑っていても視線が突き刺さる。
耳を塞いでいた手に手が重なったと思ったら手を耳から退かされ抱き締められた。

「アンジェリカ……俺を見て……」

ラノフは懇願するような声色で囁く。最後は掠れたように小さくなって黙り混んでしまう。強張る俺の体を抱き締める腕は少しキツくなった。

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