異世界転生したら女に生まれ変わってて王太子に激愛されてる件

高見桂羅

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66.相応しいのは

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「ミシェル様…」

目の前の美女を見上げ固まっていると、ミシェル様は微笑んで、向かいの席を見た。

「ご一緒してもいいかしら?」
「……どうぞ」

断る訳にもいかず承諾すると彼女は向かいに座り、ウエイターにお茶を頼んでから俺を見た。

「それで先ほどの質問には答えていただけて?」

微笑みを浮かべる彼女は笑っていない瞳を向けた。
こええええええ!!!
なんでこういう時の女子って怖いんだろ!?俺の周りの女子、シアもそうだけど強すぎないか!?
しかし、ここで怯んでは相手の思うつぼだろう。ここは元男として堂々とすべきところだと、自分を奮い立たせた。

「歴史を舞台とした虚構小説です」

いわゆる現実に合った昔の出来事を実際にはないことを織り交ぜて作られたフィクション小説である。
俺が読んでるのは主人公は創作だが、事実に沿って忠実に描かれているので、これなら楽しく読めるだろうと前に豊にお勧めされてたので、お父様に欲しいと頼んでみたらすんなり買ってもらった本なのだ。流石は親バカだ。
因みに全10巻ある。分厚くて未だに1巻すで半分過ぎたところだ。先は長い。

「虚構のお話ですけど、実際あった歴史に沿って話が展開するので楽しく読めて勉強にもなるんですよ」

にっこり微笑んで俺が言うと、クスリと笑われた。

「そういえば、アンジェリカさんはルナでしたわね」

バカにしたような言い方にムッとなり言い返そうとしたとこで、ウェイターがミシェルのお茶を運んできたので、慌てて口を噤んだ。
ここは人目もあるし堪えなければと、膝に置いていた手をぎゅっと握りしめた。
優雅にカップを口元に運ぶミシェルは、見た目は美人だけど常に上から目線でヤな感じだ。
美人は棘があるとはこの事だな。美人は離れて見るのがちょうどいい。
それに俺にはシアとレティーツィア、2人の美人な友がいるし可愛い系のエイミーもいる。
目の保養美人には困っちゃいない。
特にシアは最近は恋してるからか、さらに綺麗になってるしな。
俺が黙って居ることを良いようにとったのか、くすくすと笑っている。
高い声は少し耳に痛い。

「何も言い返さないのかしら?それとも言い返せないのかしら?」
「それは…」
「お優しい殿下に甘えて太々しく横に立ってるだなんて恥ずかしくありませんこと?わたくしなら恥ずかしくてお顔を合わせるのも辛いですわね」

言い返さない俺に、勝ち誇ったような笑みを浮かべるミシェルを軽く睨んでしまった。
思ってるさ!だから今必死に勉強してるんだよ!
少しでもふさわしい俺で横に立ちたい。恥ずかしいから言ってやらないけどな。
それにしても俺は気の長い方だと思ってたけど、そうじゃなかったようだ。
いい加減反撃しますかと、口を開いたその時に、聞きなれた声がした。

「アンジェ」

振り返るとジョセフがカフェの入り口に立っていた。
なんでここにジョセフが!?
突然現れた王太子様に俺とミシェル、この場にいた生徒はみな立ち上がり頭を下げた。
ジョセフは「気にせず楽にしてくれ」と言ってから中に入ってきた。
周りはこちらを気にしながらも緊張を解いて座った。
俺も顔を上げて、不思議に思っていると入り口に豊の姿が見えた。
そうか豊が呼びに行ったのか。俺が守るつもりだったのに結局いつも助けられてるな。

だが、ここでジョセフが来ても、この場は切り抜けられても火に油で、後日報復がありそうで怖いんですが。
内心びくびくしてる間にジョセフは俺の傍まで来た。
まだ立ったままの俺を見てから、同じく立ったままのミシェルを見た。

「ミシェル嬢、お茶会ぶりだな」
「ごきげんよう、ジョセフィード殿下」

ミシェルは優雅に淑女の礼を取る。俺とは比べようもなく綺麗な所作だ。
少し悔しくてむくれていると、ジョセフが俺の肩を抱いて俺を抱き寄せた。
おい!それが火に油を注ぐ行為だとわかってやってるのか!?
ミシェルの顔が少し引き攣った。ちょ!おま!無駄に煽るのヤメテくれよおおおおぉぉぉ!

「私の横に立つものは私が決める。私の横に立つ者はアンジェ以外認めない」
「殿下、お言葉ですが…アンジェリカさんより私の方が相応しいですわ!田舎者が未来の王妃だなんて誰も納得しません!」

田舎者はよく言われる嫌味だ。前の俺アンジェリカは知らないが、俺は努力はしてるつもりだ。文句を言ってやろうと思ったがジョセフがミシェルを、猫かぶりの笑顔すらしていなくて、冷めた目で見ていて思わず口を閉ざした。

「貴方が俺にふさわしい?ミシェル嬢こそ地位しか見ていないではないか。貴女の方が王妃などどうでもいいのだろう?」

いつもの声よりトーンの低い声で基本穏やかに微笑んでるジョセフが睨んだらすごく怖い。
ミシェルの顔は青ざめていた。

「わ、わたくしは………」
「お前は王太子の隣がいいだけで、王太子であれば俺でなくともいいのだろう?」
「ち……ちが…」
「違わない。地位に執着するだけのお前の方が相応しくない」

唇をぎゅっと噛みしめてミシェルは走り去っていった。
その顔は大粒の涙をこぼしながら苦しそうに歪んでいて、俺は気が付いたらジョセフの腕からすり抜けてミシェルを追いかけていた。





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