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67.生まれた理由(ミシェルside)
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わたくしはイグナシオン侯爵家の長女として生を受けました。
父と母、そして5歳上の兄。
威圧的なお父様は幼いわたくしに恐怖心を受け付けるには申し分ございませんでした。
お母様と兄様もわたくしと同じで常にお父様の顔色を窺ってお父様に逆らず過ごしておりました。
お父様はわたくしをジョセフィード殿下の妃にと目論みました。
わたくしが生まれた時、立太子前でありましたがジョセフィード殿下は時期王太子であり、いずれ国王となり、彼の正妃になれば、いずれ王妃となれるからだと。
王族の婚約者に選ばれるのは国外の姫を除けば公爵から順に年の近い者が選ばれております。
公爵は3家ありますが年の近い令嬢がいるのはオーウェンス公爵家のグレイシア様だけ。
オーウェンス公爵夫人のオリヴィア様は現在の国王の姉君様で、当時の国王の娘であり、グレイシア様はジョセフィード殿下と従兄弟になり血縁的にも一番の婚約者候補でした。
幼いながらに彼女がいる限りわたくしが正妃になるなど無理ではないかと思いましたが、グレイシア様が嫁ぐとオーウェンス公爵家が力を持ちすぎるという事で候補から外されているとお父様はおっしゃいました。
実際はお父様が大臣である立場を利用し、自ら当時の王様に意見し、仲の良い貴族にこっそり根回しをして皆そう言ってると国王に思わせたのだとか。
―――――ジョセフィード殿下の婚約者になるのはお前だ―――――
今の第一候補はわたくしで、常に人の上に立つものとして振る舞い、相応しい令嬢になるようにと幼い時から厳しく育てられました。
あまりの厳しさに逃げ出したくなり、母に縋ろうとしたこともありましたがお母様はわたくしから目を逸らし、兄様だけを可愛がりました。
両親の前で泣くことも許されず、いつも隠れて泣いておりました、わたくしを兄様は、慰めてくれましたが、いつも母に可愛がられている兄様に慰められても逆に惨めに感じて拒絶し傷つける言葉を吐いてしまいました。
そんな中、殿下と会う機会がありました。王家主催のお茶会で、まだ婚約者が決まってらっしゃらなかった殿下の相手を決める為だと考えるものも多く、殿下に見初めてもらおうとする令嬢がたくさんおりました。
ですが、いつか殿下の横に立つのはわたくしなのだと信じて疑いませんでした。
だって、わたくしはそのために生まれてきたのですもの。
わたくしは、お父様に言われた通り上に立つものとして強気で振る舞いました。
自分は将来王太子妃になり、最終的には王妃となるのですからと周りを見下すようになりました。
気が付けば友人と呼べるものはおらず、近くに来るのは侯爵令嬢のわたくしにすり寄って甘い汁を吸おうとする者ばかり。
これではいけないと思ったけれど、いまさら人とどう接すればいいのか分からなくて、結局父の様に傲慢な接し方しか出来なくなっていました。
そんなわたくしの噂がどこからか漏れて王家に伝わり、ジョセフィード殿下の婚約者に選ばれたのは、滅多に登城しない辺境伯の令嬢が選ばれました。
これにお父様は激怒なさり、顔は目立つために避けられましたが、背中を殴られ、痛くて動けなくなりました。
流石にお母様も止めに入り、兄様もいつも酷い言葉ばかり言っていたわたくしを庇ってくれましたが、逆にお父様の怒りが増し、お母様は突き飛ばされ、兄様はわたくしの分も殴られてしまいました。
このままではわたくしの所為でお母様も兄様も死んでしまうかもしれない。
恐怖したわたくしは、何が何でも殿下の正妃にならなければ、父の怒りを静めなければ、わたくしを庇うお母様と兄様がまた殴られてしまう。
意気込み、学院に入学して何とか殿下の気を引こうとしましたが、悉くあしらわれてしまう日々。
それならばと、婚約者のアンジェリカさんをどうにかすればと思い至り、取り巻きの令嬢たちを使って嫌がらせをしてみましたが、グレイシア様や他の人達によって阻まれる。
自ら接触しようとしても、殿下本人が彼女を守っている現状。
なんと羨ましい事でしょう。
わたくしにはそんな風に助けてくれる友はおりません。
なぜ、わたくしだけこんな惨めな思いをしなくてはいけないのでしょう?
いつも楽しそうに笑う彼女が妬ましい。
彼女さえいなければわたくしが……
アンジェリカさんが一人になった時、わたくしは彼女を追い詰めようとしましたが、すぐに殿下がおいでになってしまいました。
殿下のお言葉はとても辛くて逃げ出してしまいました。
完全にあのお顔は軽蔑なさっていました。
酷くそれが辛かった。
殿下の言うとおり、わたくしは本当は王妃なんてどうでも良いのです。
ならねば、お父様のお怒りを受けてしまうのが怖いから……
ならねば、優しい兄様が私を庇ってお父様に折檻をうけてしまうから……
ならねば、わたくしは何の為に生まれてきたのでしょう?
夢中で走って学院の裏手の林まで来て、足が痛くなって立ち止まりました。
昔のように声を圧し殺し泣いていると、後ろでかさりと音が立ち振り返ったら、アンジェリカさんがいました。
きっと惨めなわたくしを笑いにいらしたのでしょう。
背を向け俯いて涙でぐしゃぐしゃになった顔を隠しました。
横に来たアンジェリカさんは何も言わず、目の前の風で葉を揺らす木を見上げました。
父と母、そして5歳上の兄。
威圧的なお父様は幼いわたくしに恐怖心を受け付けるには申し分ございませんでした。
お母様と兄様もわたくしと同じで常にお父様の顔色を窺ってお父様に逆らず過ごしておりました。
お父様はわたくしをジョセフィード殿下の妃にと目論みました。
わたくしが生まれた時、立太子前でありましたがジョセフィード殿下は時期王太子であり、いずれ国王となり、彼の正妃になれば、いずれ王妃となれるからだと。
王族の婚約者に選ばれるのは国外の姫を除けば公爵から順に年の近い者が選ばれております。
公爵は3家ありますが年の近い令嬢がいるのはオーウェンス公爵家のグレイシア様だけ。
オーウェンス公爵夫人のオリヴィア様は現在の国王の姉君様で、当時の国王の娘であり、グレイシア様はジョセフィード殿下と従兄弟になり血縁的にも一番の婚約者候補でした。
幼いながらに彼女がいる限りわたくしが正妃になるなど無理ではないかと思いましたが、グレイシア様が嫁ぐとオーウェンス公爵家が力を持ちすぎるという事で候補から外されているとお父様はおっしゃいました。
実際はお父様が大臣である立場を利用し、自ら当時の王様に意見し、仲の良い貴族にこっそり根回しをして皆そう言ってると国王に思わせたのだとか。
―――――ジョセフィード殿下の婚約者になるのはお前だ―――――
今の第一候補はわたくしで、常に人の上に立つものとして振る舞い、相応しい令嬢になるようにと幼い時から厳しく育てられました。
あまりの厳しさに逃げ出したくなり、母に縋ろうとしたこともありましたがお母様はわたくしから目を逸らし、兄様だけを可愛がりました。
両親の前で泣くことも許されず、いつも隠れて泣いておりました、わたくしを兄様は、慰めてくれましたが、いつも母に可愛がられている兄様に慰められても逆に惨めに感じて拒絶し傷つける言葉を吐いてしまいました。
そんな中、殿下と会う機会がありました。王家主催のお茶会で、まだ婚約者が決まってらっしゃらなかった殿下の相手を決める為だと考えるものも多く、殿下に見初めてもらおうとする令嬢がたくさんおりました。
ですが、いつか殿下の横に立つのはわたくしなのだと信じて疑いませんでした。
だって、わたくしはそのために生まれてきたのですもの。
わたくしは、お父様に言われた通り上に立つものとして強気で振る舞いました。
自分は将来王太子妃になり、最終的には王妃となるのですからと周りを見下すようになりました。
気が付けば友人と呼べるものはおらず、近くに来るのは侯爵令嬢のわたくしにすり寄って甘い汁を吸おうとする者ばかり。
これではいけないと思ったけれど、いまさら人とどう接すればいいのか分からなくて、結局父の様に傲慢な接し方しか出来なくなっていました。
そんなわたくしの噂がどこからか漏れて王家に伝わり、ジョセフィード殿下の婚約者に選ばれたのは、滅多に登城しない辺境伯の令嬢が選ばれました。
これにお父様は激怒なさり、顔は目立つために避けられましたが、背中を殴られ、痛くて動けなくなりました。
流石にお母様も止めに入り、兄様もいつも酷い言葉ばかり言っていたわたくしを庇ってくれましたが、逆にお父様の怒りが増し、お母様は突き飛ばされ、兄様はわたくしの分も殴られてしまいました。
このままではわたくしの所為でお母様も兄様も死んでしまうかもしれない。
恐怖したわたくしは、何が何でも殿下の正妃にならなければ、父の怒りを静めなければ、わたくしを庇うお母様と兄様がまた殴られてしまう。
意気込み、学院に入学して何とか殿下の気を引こうとしましたが、悉くあしらわれてしまう日々。
それならばと、婚約者のアンジェリカさんをどうにかすればと思い至り、取り巻きの令嬢たちを使って嫌がらせをしてみましたが、グレイシア様や他の人達によって阻まれる。
自ら接触しようとしても、殿下本人が彼女を守っている現状。
なんと羨ましい事でしょう。
わたくしにはそんな風に助けてくれる友はおりません。
なぜ、わたくしだけこんな惨めな思いをしなくてはいけないのでしょう?
いつも楽しそうに笑う彼女が妬ましい。
彼女さえいなければわたくしが……
アンジェリカさんが一人になった時、わたくしは彼女を追い詰めようとしましたが、すぐに殿下がおいでになってしまいました。
殿下のお言葉はとても辛くて逃げ出してしまいました。
完全にあのお顔は軽蔑なさっていました。
酷くそれが辛かった。
殿下の言うとおり、わたくしは本当は王妃なんてどうでも良いのです。
ならねば、お父様のお怒りを受けてしまうのが怖いから……
ならねば、優しい兄様が私を庇ってお父様に折檻をうけてしまうから……
ならねば、わたくしは何の為に生まれてきたのでしょう?
夢中で走って学院の裏手の林まで来て、足が痛くなって立ち止まりました。
昔のように声を圧し殺し泣いていると、後ろでかさりと音が立ち振り返ったら、アンジェリカさんがいました。
きっと惨めなわたくしを笑いにいらしたのでしょう。
背を向け俯いて涙でぐしゃぐしゃになった顔を隠しました。
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